近年日本で外国人労働者が増えています。中でもベトナム人労働者の増加率が高く、多くのベトナム人労働者が日本で活躍しています。
本記事ではこれからベトナム人を採用したい方向けに、
・ベトナム人を採用するメリット
・採用にかかる費用
・注意点
など徹底解説していきます。
「特定技能」で働くベトナム人の現状
厚生労働省の『外国人雇用状況』の届出状況まとめ」(令和5年10月末)によると、ベトナムからの労働者が最も多く、外国人労働者全体の25.3%を占めます。数年前は中国からの労働者が多かったですが、現在はベトナムからの労働者が1番多くなっています。
写真
国籍 | ベトナム | 中国 | フィリピン | ネパール |
割合 | 25.3% | 19.4% | 11.1% | 7.1% |
【参考文献】「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】 (令和5年 10 月末現在)」厚生労働省
特に、特定技能の在留資格で働くベトナム人が急増しています。出入国在留管理庁の特定技能在留外国人数の公表等によると、令和5年12月末時点で、特定技能の在留資格で働く外国人労働者は20万人に達していますが、その中でベトナム人は約11万人で、全体の半分以上を占めます。
「特定技能」で働くベトナム人が増えている理由
中国はこれまで、日本で最も割合の多い外国人労働者でした。しかし、上図からも読み取れるように、日本で働く中国人技能実習生の人数が減少しています。そのため、日本企業は、中国人労働者の減少を埋め合わせるために、ベトナム人労働者を採用するようになりました。現在では、ベトナム人労働者の評価が高いということもあり、多くの企業がベトナム人を採用しています
特定技能で働くベトナム人が増えている理由は大きく3つあります。
給料が高いから
1点目の理由は給料が高いからです。ベトナムの平均年収は日本円で48万円程度(日本貿易振興機構調べ)です。一方日本の平均年収は461万円(国税庁調べ)になります。もちろん物価の違いはありますが、日本とベトナムでは給料の格差が非常に大きいことがわかります。そのため、ベトナム人は高い給料を求めて日本に働きに来るのです。
親日国だから
2点目の理由はベトナムが親日国だからです。ベトナムの生活環境にはあらゆるところで日本の文化が関わっています。例えば、ベトナム人が頻繁に使用するバイクは日本製の物が圧倒的に多いです。また、漫画やアニメなどのサブカルチャーもベトナムに浸透しており、ベトナム人は日本に好印象を持っているといえます。
特定技能の在留資格に変更するケースが多い
特定技能の在留資格を取得するには、日本語の能力試験とそれぞれの職業分野に特有の技能試験に合格する必要があります。ただし、技能実習2号を良好に終了した実習生は、日本語の試験は免除されます。さらに、職種と作業内容が移行する特定技能1号の業務に関連性が認められる場合は、技能試験と日本語試験が免除されます。
日本では現在、約11万人のベトナム人技能実習生がおり、これは全体の技能実習生の約53%に当たります。技能実習から特定技能に在留資格を変更することで、就労範囲や在留期間が拡大し、給与も増えます。そのため、長く日本に在留して働きたいというベトナム人が、特定技能の在留資格に変更しているケースが増えています。
ベトナム人を採用する4つのメリット
ここでは特定技能でベトナム人を採用するメリットについて解説します。
・意欲的に働いてくれる
・宗教的な制約が比較的少ない
・若い人材が多い
・親日国である
意欲的に働いてくれる
ベトナム人は技術を身につけたいと思い日本に来てる場合や家族の生活費のために稼ぎに来ている場合がほとんどです。そのため、働く意欲が非常に高く、大きな戦力になるケースが多いです。
宗教的な制約が比較的少ない
ベトナムは宗教的な制約が比較的少ないことが知られています。ベトナム人の宗教は全人口の80%以上が無宗教であり、働く上で「決まった時間にお祈りをしないといけない」「特定の行動を取ることが難しい」などの制約が比較的少ないです。
若い人材が多い
日本で働くベトナム人は若い人材が非常に多いです。ベトナムにおける高齢化率は11.89%(2019年)と日本の28.4%(2019年)に比べると非常に低く、働き盛りの若い世代が多いことが分かります。高校を卒業して日本で働きに来る人も多く特定技能の対象業種である建設業などでは若いエネルギーを発揮して、活躍してくれるでしょう。
親日国である
ベトナムには、多くの日本企業や日本製品が進出しています。在ベトナム日系企業には、イオン、ファミリーマート、パナソニック、ホンダ、ユニクロなどの有名な企業が多くあります。「日本製品は品質が良い」と非常に人気です。さらに、日本の漫画やアニメも浸透しています。日本のものに親しんでいるベトナム人が多いため、比較的日本に馴染みやすい人が多いでしょう。
■グローバル人材採用のメリットについて詳しく知りたい方は下記記事をご覧ください。
グローバル人材採用のメリットとは?人材採用成功のための注意点を解説!
ベトナム人を採用する3つのデメリット
ここでは特定技能でベトナム人を採用するデメリットについて解説します。
特定技能とは、日本の労働力不足を解消するために導入された制度で、特に製造業や建設業などの14業種において、外国人が就労できるようにした資格です。
技能実習とは異なり、「技能の移転」を目的とするものではなく、あくまで「労働者」として企業で働くことができる在留資格です。
特定技能について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください
[8選]特定技能1号と2号の違いについて解説!取得方法から共通点まで
転職のリスクがある
ベトナム人に限った話ではないですが、特定技能の外国人を採用する際のデメリットとして転職されてしまうことが挙げられます。特定技能として働く外国人労働者は同じ特定技能の資格で働くことができる業界であれば転職をすることが可能です。そのため、より良い条件の会社に転職されてしまわないように働きやすい環境作りや精神的なサポートが必要です。
特定技能1号の場合、最長5年までしか就労ができない
特定技能1号の場合最長で5年までしか就労が認められていないことがデメリットとして挙げられます。特定技能2号であれば、在留期間は設けられていないため5年以上働くことが可能です。ただ特定技能2号は業種が限られていて建設、造船、船用工業のみとなっています。
日本人に比べて費用がかかる
特定技能ベトナム人を採用するにあたって、日本人と比較しても追加費用がかかる点にも注意が必要です。教育訓練費用や社内での受け入れ体制の準備にかかるコスト、渡航費用などがあります。
ベトナム人を特定技能で採用すべき企業の特徴
ベトナム人エンジニアを積極的に採用すべき企業の特徴は以下の2つです。
質とコストを両立したい企業:
ベトナム人は、優秀な大学を卒業した人材が多く、高い質を担保できます。また、コスト面でも、日本人と比較して採用コストが低いため、コスト効率の良い選択肢となります。
日本では人材不足が深刻化しており、優秀な人材を採用するには高額な給与を支払う必要がありますが、ベトナム人の場合は同様の人材を低いコストで採用できるため、質とコストのバランスを取りやすくなります。
グローバル進出を考えている企業:
グローバル市場に参入する際、英語が共通のコミュニケーションツールとなることが多いため、英語が堪能なベトナム人は貴重な存在となります。
また、ベトナム人は英語に堪能であり、日本語も一部理解しているケースが多いため、日本語による業務と英語によるコミュニケーションの両方を円滑に行うことができます。
これによって、グローバル展開におけるコミュニケーションの円滑化やスムーズな業務遂行が期待できます。
特定技能でベトナム人を雇用のための費用
金額 | |
渡航費用 | 3~6万円 |
送り出し機関対する手数料、推薦者表交付申請代行費用 | 15~60万円 |
日本語・技術習得のための費用 | 場合によって異なります。 |
在留資格申請代行費用 | 10~20万円 |
渡航費用
フライトに必要な費用も受け入れ側企業が負担します。安い時で3万円、高い時で6万円ほど必要になります。また空港から受け入れ先までの移動費用も受け入れ側企業の負担になります。
送り出し機関に対する手数料、推薦者表交付申請代行費用
1名あたり15万円から60万円ほどかかります。受け入れ企業は送り出し機関に手数料を払わないといけません。費用は特定技能人材の基本給の1〜3ヶ月分を支払う必要があります。
日本語・技術習得のための費用
送り出し機関は日本語、技術習得のための費用を徴収することはできません。また特定技能人材から費用を徴収することもできません。そのため、特定技能人材の日本語・技術習得のための費用は受け入れ側企業の負担になります。
在留資格申請代行費用
特定技能人材は日本で働くために、在留資格申請をしなければいけません。在留資格申請をするための書類を発行する必要があり、行政書士に依頼する場合10万円〜20万円ほどかかります。在留資格申請は手続きが非常に複雑であるため、行政書士に依頼しましょう。
■外国人雇用にかかる費用に関しては下記の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
特定技能ベトナム人の採用ルート
では、実際にベトナム人を特定技能ビザによって雇用するにはどうすれば良いのでしょうか。ベトナム人を採用するにはDOLABという機関を通すことが最重要ポイントとなります。DOLABとはベトナム労働・傷病兵・社会問題省海外労働管理局のことでベトナムの出稼ぎ労働者の管理を行っています。ベトナムの送出機関はもし海外へ労働者を派遣したい場合はDOLABからの承認が必須となります。DOLABについて以下で説明します。
DOLAB(ベトナム労働・傷病兵・社会問題省海外労働管理局)認定の送出機関の利用が必要
ベトナムから、ベトナム人を採用する際はDOLAB(ベトナム労働・傷病兵・社会問題省海外労働管理局)認定の送出機関の利用をしなければなりません。そのため送出機関(ベトナムの企業、団体)がDOLABと労働者提供契約を結んでおかなければなりません。DOLABが送出機関(ベトナムの企業、団体)との労働者提供契約を承認後、日本側の会社は採用予定のベトナム人と雇用契約を結ぶことが可能になります。
日本国内に既に、ベトナム人がいる場合はこの手続きは不要になるので注意しましょう。
■現地採用に関して詳しく知りたい方は下記の記事をぜひ参考にしてください。
DOLAB(ベトナム労働・傷病兵・社会問題省海外労働管理局)または駐日ベトナム大使館の「推薦者表交付申請」が必要
日本の会社がベトナム人と雇用契約を結んだあと、在留資格を認可してもらうために、DOLAB(ベトナム労働・傷病兵・社会問題省海外労働管理局)から推薦表を取得する必要があります。この推薦表がない場合在留資格を認可してもらえず日本に入国ができないので注意しましょう。
特定技能のベトナム人を採用するまでの流れ
特定技能のベトナム人を採用するまでの流れを解説します。ベトナム人を採用する流れは、海外採用と国内採用の2つに分けられます。
海外採用の場合の流れ
海外採用の流れは以下の通りです。
➀労働者提供契約の締結
②労働者提供契約の承認申請
③労働者提供契約の承認
④労働者の斡旋
⑤雇用契約の締結
⑥推薦者表の申請
⑦推薦者表の発行
⑧推薦者表の送付
⑨在留資格(ビザ)変更申請
⑩ビザ許可及びCOE送付
⑪COE送付
⑫出国許可申請
⑬出国許可
⑭入社
国内採用の場合の流れ
国内採用の流れは以下の通りです。
➀雇用契約の締結
②推薦者表の申請
③推薦者表の発行
④在留資格(ビザ)変更申請
⑤ビザ許可
⑥入社
特定技能でベトナム人を採用する際の注意点
ここではベトナム人採用の注意点について解説します。
円滑にコミュニケーションを取れるようにする
ベトナム人が日本に来て、働き出して苦労することとして挙げられるのはやはり言葉の壁です。在留資格によってはほとんど日本語を話すことができないベトナム人も多いです。
そのため現場の社員は簡単な日本語でゆっくりと話すように意識しましょう。また少しでも日本語を学ぶ意欲を上げられるように日本語資格の取得支援も積極的に行っていきましょう。
社内で相互理解に努める
ベトナム人を採用する際には、異なる文化や習慣を尊重し、理解するように努めましょう。
ベトナム人労働者が持つ独自の背景や文化を考慮に入れ、受け入れるための適切な環境を整えることが、円滑な労働環境を構築し、トラブルを未然に防ぐために重要です。
ベトナム人が仕事する上での特徴は、「時間にルーズ」、「プライドが高い」「成果主義を重んじる」などです。このような特徴を理解し、社内全体で文化的違いや習慣についての理解と配慮をしていきましょう。
ベトナム人受け入れのためのサポート体制を充実させる
ベトナム人採用の成功のためには、適切なサポートとアクセスを提供することが重要です。言語学習の支援、住宅や生活環境のサポート、ビジネス文化や社内手続きに関するガイダンスなど、ベトナム人労働者が円滑に組織に適応できるような環境を整える必要があります。
また、文化的なイベントや交流の場を提供することで、他の社員とのつながりや組織への統合を促進することも重要です。
■文化・風習の違いについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください!
グローバル人材採用のメリットとは?人材採用成功のための注意点を解説!
気をつけなければいけない「MOC」とは?
概要
日本とベトナムの間で交換されたMOC(協力覚書)は、特定技能外国人の円滑かつ適正な送出し及び受け入れの確保、悪質なブローカーの排除、二国間の情報共有及び協議を目的としています。
1. 承認された者のみ受け入れ可能
MOCに基づき、日本での就労を希望するベトナム人は、ベトナム政府の承認を受けた者のみが許可されます。この承認の有無は「推薦者表」を通じて確認され、推薦者表交付申請が必要です。この取り決めは、安定した労働環境を確保し、不正なブローカーの介入を防止するために重要です。
2. ベトナム国の承認が必要
推薦者表の取得には、ベトナム政府からの承認が必要です。具体的には、駐日ベトナム大使館や労働・傷病兵・社会問題省海外労働管理局(DOLAB)からの承認を得る必要があります。これは、日本国内での継続就労や新規入国の際に必要とされます。
3. 2年間の学業経験が必要
MOCによれば、ベトナム人留学生は少なくとも2年間の学業を修了し、試験に合格する必要があります。これは、専修学校や短期大学などの学校での学歴を指します。この条件は、特定技能の資格を得るための基準を確立し、技術や能力の適切な評価を保証するために設けられています。
4. 禁止された地域や職業での就労は不可
MOCでは、ベトナムの法令で禁止された地域や職種での就労は認められません。具体的には、著しく困難な仕事や戦闘が予想される地域での労働は禁止されています。これにより、労働者の安全を保護し、適切な労働条件を確保することが目的とされています。
5. 認定の送出し機関を介して求人を探す必要がある
ベトナム人労働者は、労働・傷病兵・社会問題省に登録された送り出し機関を通じて求人を探す必要があります。
これは、ベトナムの法律で定められた「労働者提供契約書」の登録を確保するための措置です。この取り決めにより、労働者の権利や法的保護を確保し、不正な労働者派遣業者の排除を図ることが目指されています。
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まとめ
いかがだったでしょうか?特定技能制度で外国人を採用するには日本人と異なった手続きが必要です。そのため、抜け漏れがないように慎重に手続きを進めましょう。
ただ、ベトナム人人材は若い人材が多く、非常に勤勉で企業にとってプラスになるでしょう。
今後も人材不足を補うためにもベトナム人の採用を取り入れてみてはいかがでしょうか?