少子高齢化が進み労働人口が減少している日本国内では、特定技能で在留カードを取得している外国人は、即戦力として注目されています。特定技能外国人の雇用を考えている方や、すでに特定技能外国人を雇用している方も多くいらっしゃるでしょう。万が一、在留カードを持っていない方を雇用してしまった場合や期限が切れてしまった場合、雇用企業にとっても大問題です。
そこで、本記事では「特定技能外国人の雇用を考えている」「すでに雇用を始めたが資格の更新方法がわからない」と言った方向けに、特定技能在留カードの取得や更新について徹底解説していきます。
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在留カードとは
在留カードは、新規の上陸許可、在留資格の変更許可や在留期間の更新許可など在留資格に係る許可の結果として我が国に中長期間在留する者(中長期在留者)に対して交付されます。したがって、出入国在留管理庁長官が我が国に中長期間滞在できる在留資格及び在留期間をもって適法に在留する者であることを証明する「証明書」としての性格を有するとともに、上陸許可以外の在留資格に係る許可時に交付される在留カードは、従来の旅券になされる各種許可の証印等に代わって許可の要式行為となるため「許可証」としての性格を有しています。
在留カードには、氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地、在留資格、在留期間、就労の可否など、出入国在留管理庁長官が把握する情報の重要部分が記載されていますので、記載事項に変更が生じた場合には変更の届出を義務付けており、常に最新の情報が反映されることになります。また、16歳以上の方には顔写真が表示されます。
出典:)「在留カードとは?|出入国在留管理庁」
特定技能資格とは
「特定技能」は2019年4月から新在留資格として認められたものであるためまだ新しく、詳しくご存知でない方も多いでしょう。特に他の在留資格である技能実習生や外国人技術者(高度人材)と混同している場合が多く見られます。
・特定技能制度の目的
・特定技能1号・2号とは
・技能実習生との違い
・高度人材との違い
そこでまずは特定技能について、技能実習制度、高度人材制度との比較も交えて3つの視点からわかりやすく解説していきます。
特定技能制度の目的
特定技能は日本国内の人手不足を補うための制度として制定されたものです。したがって、特定技能外国人は日本の労働力不足を解消するための「即戦力」になってもらうことが目的であり、ある一定レベルに達している人材のみが特定技能資格を取得できます。
特定技能1号・2号とは
特定技能制度の中で資格は大きく「特定技能1号」と「特定技能2号」の2つに分けられています。出入国在留管理庁の「特定技能ガイドブック」にも詳細が記載されていますが、区分としては以下の通りです。
特定技能1号 :特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格
特定技能2号 :特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格
特定技能外国人と技能実習生の違い
特定技能外国人と技能実習生の1番の違いはその制度の目的にあります。先ほどの解説の通り、特定技能は日本国内の人手不足を補うための制度として制定されたものです。それに対し、技能実習は、発展途上国への支援を兼ねており、日本で習得した技術を母国に広めてもらうという、国際貢献のための制度になります。
細かい違いとしては、作業内容や就業できる職種、在留期間など様々な違いがありますが、どれも目的の違いから派生したものになります。
■技能実習外国人についてより詳しく知りたい方は下記記事をご覧ください。
特定技能と技能実習10個の違い!移行もできる?メリットなど徹底比較
特定技能外国人と外国人技術者(高度人材)の違い
特定技能制度と高度人材制度はどちらも目的が日本国内の労働力拡充にあるのですが、人材に求めるものに違いがあります。
特定技能制度が求める人材は、技術を持った即戦力的な人材です。それに対し、高度人材制度は豊富な知識や高い技術力を持ち、日本の経済社会への多大な貢献を期待される人材を求めるものです。
こちらも、細かい違いはいくつかありますが、どれも求められる人材像から派生したものになっています。
■外国人技術者についてより詳しく知りたい方は下記記事をご覧ください。
外国人技術者とは?取り入れるメリット・デメリットや採用のコツまで徹底解説!
特定技能資格の取得方法
では、そんな特定技能資格はどのようにして取得するのでしょうか。特定技能資格の取得方法は1号・2号で異なります。
・特定技能1号の取得方法
・特定技能2号の取得方法
それぞれ分けて解説していきます。
特定技能1号の取得方法
特定技能1号は、特定の分野での知識と経験を持つ外国人の在留資格です。この資格を取得するためには、以下の2つの主要な試験に合格する必要があります。
・日本語能力試験(JLPT)と日本語基礎テスト(JFT-Basic)
・特定産業分野の技能評価試験
それぞれについて詳しく解説します。
日本語基礎テスト(JFT-Basic)と日本語能力試験(JLPT)
最初に、外国人労働者は日本語能力を証明する必要があります。これは、日本での生活やコミュニケーションに必要なスキルを確認するための重要なステップです。
外国人労働者は、国際交流基金が提供する「日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(JLPT)」のN4レベル以上に合格する必要があります。これにより、日本での日常生活に支障がないことがわかるためです。
特定産業分野の技能評価試験
次に、外国人労働者は特定の産業分野に関連した技能評価試験に合格する必要があります。たとえば外食業で働く場合は「外食業特定技能1号技能測定試験」などが該当します。
これらの試験は、特定の産業に必要なスキルや知識を評価し、外国人労働者がその分野での就労に適していることを確認するために必要です。
特定技能2号の取得方法
特定技能2号の取得は、「特定技能1号からの移行」に制限されています。具体的には、特定技能1号を最初に取得し、その後技能試験に合格することで特定技能2号に切り替えるプロセスを経ることが必要です。
法的な規定において、特定技能2号を取得するためには特定技能2号評価試験に合格し、さらに実務経験要件を充足しなければなりません。ただし、特定技能2号への移行者がまだ限られているため、試験の詳細情報はまだ一般的には公開されていません。
■特定技能1号・2号についてより詳しく知りたい方は下記記事をご覧ください。
[8選]特定技能1号と2号の違いについて解説!取得方法から共通点まで
特定技能の在留可能期間
特定技能資格の在留期間は1号と2号で異なります。
・特定技能1号の在留可能期間
・特定技能2号の在留可能期間
それぞれについて詳しく解説します。
特定技能1号の在留可能期間
特定技能1号の在留期間の上限は、通算で5年と決められています。在留期間自体は在留カードに記載され、1年、6ヶ月、4ヶ月のいずれかとなっています。
特定技能2号の在留可能期間
特定技能2号の在留期間自体は1号と同様で在留カードに記載された1年、6ヶ月、4ヶ月のいずれかとなっています。しかし、1号と大きく異なるのが通算の上限在留期間であり、2号の場合は通算の上限が存在しないのが大きな特徴となります。
特定技能の更新期間
それでは、特定技能に更新は必要なのでしょうか。先ほどの在留期間に関する項を読まれた方はお気づきかもしれませんが、特定技能は在留カードに記載された1年、6ヶ月、4ヶ月の期限が切れるたびに更新を必要とします。
これは1号・2号ともに変わらず必須であるため注意が必要です。
特定技能の更新手順
では、特定技能資格の更新はどのような手順で行うのでしょうか。手順は主に3つあります。
・必要書類の準備
・特定技能ビザの更新申請をする
・在留カードの受け取り
申請自体は、書類の準備さえしっかりとしていればそれほど難しい内容ではありません。こちらで確認しておきましょう。
必要書類の準備
まずは必要書類を準備します。書類は後ほど解説するものをそろえれば大丈夫です。
しかし、書類によっては3ヶ月以内に発行されたものである必要があるため、注意が必要です。
特定技能ビザの更新申請をする
書類が全て揃ったら出入国管理局に更新申請をしにいきます。また、令和2年3月より利用申出をすれば、出入国管理庁ホームページにてオンラインでの更新手続きも可能となっています。
在留カードの受け取り
更新の審査には2週間から3ヶ月ほどを要します。審査終了の通知が来たら新しい在留カードを受け取りに行きましょう。
特定技能資格更新に必要な書類
特定技能資格は更新が必要である、ということはお分かりいただけたと思います。では、特定技能ビザの更新にあたって用意すべき書類にはどのようなものがあるのでしょうか。
詳しい解説は法務省の『「特定技能(1号)」の在留期間更新許可申請に係る提出書類一覧』『「特定技能2号」に係る提出書類一覧表 (在留期間更新許可申請用)』に掲載されていますが、ここでは準備すべき書類を企業側が用意すべきものと、申請人に当たる外国人本人が用意すべきものに分けて解説していきます。
・企業側が準備すべき書類
・申請人(外国人)が用意すべき書類
それぞれについて詳しく解説します。
企業側が準備すべき書類
企業が用意すべき書類は分野によっても異なりますが、基本的には以下の通りです。
・特定技能所属機関概要書
・登記事項証明書
・業務執行に関与する役員の住民票の写し
・特定技能所属機関の役員に関する誓約書
・社会保険料納入状況回答票又は健康保険・厚生年金保 険料領収証書の写し
・税務署発行の納税証明書
・法人住民税の市町村発行の納税証明書
・公的義務履行に関する説明書
・協議会の構成員であることの証明書
・労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書の写し及び申告書に対応する領収証書の写し(※労働保険事務組合に事務委託していない場合)
・労働保険事務組合が発行した直近2年分の労働保険料等納入通知書の写し及び通知書に対応する領収証書の写し(※労働保険事務組合に事務委託している場合)
この中でも、すでに初期申請時などに提出しているものがある場合、基本的には省略可能になります。
申請人(外国人)が用意すべき書類
特定技能の更新においては、在留カードを持っている外国人本人にも書類をいくつか準備していただく必要があります。過去一年以内の何かしらの申請で既に提出している場合は、省略できる書類もあるので分けて解説していきます。
・在留期間更新において必ず必要な書類
・1年以内に提出している場合、省略できる書類
それぞれについて詳しく解説します。
在留期間更新において必ず必要な書類
・特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧表
・在留期間更新許可申請書
・特定技能外国人の報酬に関する説明書
・特定技能雇用契約書の写し
・雇用条件書の写し
1年以内に提出している場合、省略できる書類
・申請人の個人住民税の課税証明書
・申請人の住民税の納税証明書
・申請人の給与所得の源泉徴収票の写し
・申請人の国民健康保険被保険者証の写し
・申請人の国民健康保険料(税)納付証明書
・請人の国民年金保険料領収証書の写しか申請人の被保険者記録照会
更新に必要な費用
更新に必要な費用は登録支援機関に委託する場合と企業単独で行う場合で異なります。
・登録支援機関に委託する場合
・企業単独で行う場合
それぞれについて詳しく解説します。
行政書士や登録支援機関などに委託する場合
特定技能ビザの更新は、高い難易度があるため、多くの外国人や企業が更新の手続きを弁護士・行政書士や登録支援機関に委託しています。委託した場合、サービス料が発生します。
弁護士・行政書士に委託した場合のサービス料の相場は約6万円程度です。一方、登録支援機関に委託した場合は、機関の料金規則によってサービス料が変動します。
企業単独で行う場合
特定技能ビザの更新には費用はかからず、更新が許可された場合は在留カードの手数料が4000円(非課税)かかります。この手数料は収入印紙での納付が原則です。また、更新が許可されなかった場合でも、出国準備のビザの手数料として同じく4000円(非課税)が発生する可能性があります。
特定技能の更新所要時間・更新準備を始めるタイミング
特定技能資格更新の申請手順はお分かりいただけたと思いますが、更新にはどのくらい時間がかかるのでしょうか。
こちらでは、特定技能在留カードの更新にかかる時間だけでなく、準備を始めるべきタイミングについても詳しく解説していきます。
特定技能在留カードの更新所要時間
先ほどの更新手順で解説した通り、不備のない書類を提出したとしても、その審査には2週間から3ヶ月ほどを要します。
更新準備開始は3,4ヶ月前が目安
在留期間の更新は手続き自体はそこまで難しくないものの、必要書類が多いことから総じて時間がかかり、審査期間が長引いた場合に在留期間満了となってしまうことがあります。また先述の通り、2ヶ月の特例期間は存在するものの、在留カードの期限が切れていると職務質問や銀行口座の凍結などにおいて無駄なトラブルが発生してしまうこともあります。
また逆に、更新方法に関する部分で軽く触れましたが、更新に必要な書類の中には直近3ヶ月以内に発行されたものでなくてはならないものも存在するため、準備が早いほど良いというわけでもありません。
それらを踏まえると在留期限3,4ヶ月前ほどから準備に取り掛かるのがベストと言えるでしょう。
特定技能資格の更新が間に合わなかった場合
審査が長引いた場合や書類に不備があった場合などは、意図せず在留期間を超えてしまうケースが多々あります。そう言った場合、在留期間更新の手続き中であれば、2ヶ月間の猶予が与えられます。この特例期間は故意に遅れて更新申請を行った場合は認められないケースもあるため注意が必要です。
また、この特例期間中は期限の切れた在留カードに印が押されることで在留資格として認められるのですが、更新申請をオンラインで行った場合は、受付済みメールがその代わりとなります。
ですが、職務質問や銀行口座の確認の際に、スタッフがメール措置を認知していないことも多く、不必要な連行や口座の凍結を招く可能性があるため注意が必要です。
更新する際の注意点
特定技能を更新する際の注意点は主に4つあります。
・同一労働・同一賃金を守る
・前回との変更点を記載する
・必要な届出や支払いをきちんとしておく
・早めに更新をしておく
それぞれについて詳しく解説します。
同一労働・同一賃金を守る
同一労働、同一賃金制度をきちんと守りましょう。外国人だからと言ってこれらの条件を破ることは許されません。外国人労働者に対して差別的な待遇をすることは違法であり、また倫理的にも望ましくないでしょう。
すべての労働者が同じ仕事を同じ条件で行い、同じ報酬を受け取ることが、社会的責任の一環として求められます。更新する際に、労働時間や賃金をチェックされるのできちんと守りましょう。
前回との変更点を記載する
前回のビザ申請時と雇用条件が異なる場合は、指摘を受ける可能性があります。そのため、変更の理由を説明することが重要です。大きく異なる場合、入管から指摘を受け、最悪の場合、更新が不許可となる可能性もあるためです。
前回の書類の内容が分からない場合は、入管に情報開示を求めましょう。これにより、前回提出した書類の内容を確認し、更新申請書類を正確に作成することができます。
必要な届出や支払いをきちんとしておく
特定技能ビザの更新時には、受け入れ機関の必要書類の届出状況や社会保険料などの支払い状況などが確認されます。したがって、受け入れ機関は住民税などの税金や健康保険料、年金保険料などの社会保険料をきちんと支払っておく必要があります。未払いがある場合は、更新申請前に支払いを済ませることが重要です。これにより、ビザ更新の際に問題が生じる可能性を回避できます。納税と社会保険料の支払いは、受け入れ機関が法令を遵守し、特定技能外国人の雇用に必要な条件を満たすために欠かせない要素です。
早めに更新をしておく
先ほど述べた通り、在留期間の更新は手続き自体はそこまで難しくないものの、必要書類が多いことから総じて時間がかかり、審査期間が長引いた場合に在留期間満了となってしまうことがあります。また先述の通り、2ヶ月の特例期間は存在するものの、在留カードの期限が切れていると職務質問や銀行口座の凍結などにおいて無駄なトラブルが発生してしまうこともあります。
また逆に、更新方法に関する部分で軽く触れましたが、更新に必要な書類の中には直近3ヶ月以内に発行されたものでなくてはならないものも存在するため、準備が早いほど良いというわけでもありません。
それらを踏まえると在留期限3,4ヶ月前ほどから準備に取り掛かるのがベストと言えるでしょう。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。本記事では特定技能外国人について、更新方法を中心に詳しく解説してきました。
在留カードは在日外国人にとって非常に大切なものです。特定技能外国人を雇用されている方だけでなく、これからの雇用を考えている方もこちらの記事を何度も読み返し、気をつけて特定技能の在留カード取得・更新を行うようにしましょう。