企業の採用担当の方の中には、海外から技能実習生を採用しようとしてる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、技能実習生の中でも多数を占める国「フィリピン」の技能実習生にフォーカスして、フィリピン人技能実習生の特徴や採用の流れを紹介していきます!
フィリピン人技能実習生の現状
フィリピン人の労働者と聞くと、日本の外国人労働者の中でも多いと感じる人は多いのではないでしょうか。そんなフィリピン人の技能実習生について、具体的なデータとともに紹介します。
技能実習生の受け入れ人数第3位
令和4年度の法務省の調査によると、フィリピンからの技能実習生の人数は約3万人で、第3位となっています。1位である約17.5万人のベトナムと比べると差はかなりありますが、現在フィリピンの人口は急増中であり、将来的には国民が2億人に達するとも言われています。よって、フィリピン人の技能実習生は今後も増えていくと予想されます。
フィリピンは労働力大国
現在、国民の10人に1人が海外に在住しており、フィリピンは世界最大の労働力輸出国と言われています。
また、後ほど詳しく言及しますが、若年層が多いことも「労働力大国」と言われることに影響していると言えるでしょう。フィリピンの人口が約1億人であることに対し、19歳未満の人口比率は44%であるため、非常に若年層が多いです。他の新興国と比べても、インド41%、インドネシア36%、ベトナム35%と、フィリピンの若年層の人口比率が高いことが見受けられます。
この先、この若年層が大人になるにつれて労働者の数が増えていくことは明らかですね。
フィリピンとはどんな国?
では、労働力大国であるフィリピンとはどのような国なのでしょうか。
三項目に分けて解説します。
・場所
・人口
・言語
場所
フィリピンは東南アジアにある国で、年間を通じて暖かいのが特徴です。
日本からは飛行機で5時間ほどの場所に位置しているため、比較的日本に来やすい地理と言えます。
人口
外務省のデータによると、2020年時点で1億903万人となっています。
先ほど紹介した通り、若年層が非常に多い国であり、この先日本を含め海外に出稼ぎに行くフィリピンが増加すると予想されています。
出典:フィリピン基礎データ|外務省
言語
フィリピンの公用語はフィリピノ語と英語です。
180以上もの言語がフィリピンにあるといわれていますが、日本人が話しやすい英語が通じるため、言語の壁は比較的低いでしょう。
フィリピン人の特徴
外国人を採用するうえで、その国の国民性や基本的な考え方を重視している人もいるのではないでしょうか。
ここでは主に、フィリピン人の特性として挙げられる
・明るい国民性
・家族第一主義
の2点について説明していきます。
明るい国民性
フィリピン人は、南国特有の明るくフレンドリーで陽気な人柄だと言われています。また、国民の8割以上がキリスト教徒なこともあり、他者へのホスピタリティがあふれているという国民性も特徴です。
そして、特徴として親日家も多いことも挙げられるため、日本人には特に優しい人が多いと考えられています。
家族第一主義
もう一つの特徴として、家族をとても大切にしていることが挙げられます。
家族を優先するが故に、欠勤、遅刻をすることもあるほどです。
フィリピン人の技能実習生を採用する際には、この点への留意は必須と言えるでしょう。
フィリピン人技能実習生を採用するメリット
ここまではフィリピンについての理解を深めていきましたが、では実際にフィリピン人を採用する際に当たって、フィリピン人であるメリットとはいったい何があるのでしょうか。
主に挙げられるメリットに、
・教育水準の高さ
・公用語が英語
この2点があります。それぞれ見ていきましょう。
教育水準の高さ
フィリピンでは英語が公用語になっているため、英語が義務教育となっている日本国内では、他の東南アジア諸国と比べてもコミュニケーションに困りにくくなっています。
また、近年フィリピン政府は教育に力を入れており、2019年のアジア経済研究所による調査「フィリピンにおける就労状況・労働市場と経済発展」によると、フィリピン技術教育・技能開発庁による認定職業訓練校、高等教育機関、訓練機関、その他国公立の大学や農業校などの機関数は、2017年時点で計3,966にのぼります。
この機関数は、ここ10 年間でも約 600 機関増加しており、教育にどれだけ力を入れているかが伺えます。
フィリピン人の教育水準の高さについては、こちらの記事でも解説しています。
特定技能のフィリピン人を採用するには?費用やメリット、注意点まで解説!
公用語が英語
先ほどフィリピンについて紹介した通り、公用語の一つに英語が採用されています。日本企業で外国人を採用する場合には英語圏の人材のニーズが非常に高いため、フィリピン人が英語を話すということはメリットとして挙げられるでしょう。
フィリピン人技能実習生を採用するデメリット
先ほどはメリットを紹介していきましたが、その反対にデメリットもいくつか挙げられます。
主なものに、
・文化、価値観の違い
・時間にルーズ
これら2点が挙げられます。それぞれ見ていきましょう。
文化、価値観の違い
違う国で生まれ育った人は必ず、異なる価値観や文化を持っています。
特にフィリピン人は、職場環境を重視します。温暖な気候で育ち、明るい性格の人が多いため、日本の「黙々と仕事をこなす」ような職場のスタイルについていけないと、早々に離職してしまう可能性もあります。
また、陽気な性格で、人との会話を楽しむ人が多い一方、時には鼻歌混じりで仕事をしていたり、おしゃべりをしすぎてしまうこともあります。これは文化の違いによるため仕方のないことですが、ビジネスマナーについてはきちんと指導をする必要があります。
時間にルーズ
先ほど紹介した通り、フィリピン人は家族を大切にするあまり遅刻、欠席があることもあります。しかし、日本社会は時間を重視する場合がほとんどと言えます。
日本人の感覚では理解しきれない面もあるため、双方の感覚の擦り合わせは必須でしょう。
フィリピン人技能実習生を採用する際の注意点
外国人労働者を採用するうえで、日本人との感覚の違いによるトラブルはよく見受けられることですが、これはフィリピン人技能実習生も例外ではありません。ここでは、フィリピン人ならではの特徴を踏まえて、フィリピン人技能実習生を採用する際の注意点が2点あげられます。
・人前で怒らないこと
・プライドが高いことへの留意
それぞれ見ていきましょう。
人前で怒らないこと
まず、フィリピン人はしかられることに慣れていません。そのうえ人前で怒られてしまうと、本人のやる気やモチベーションを削いでしまう可能性があります。注意や指導は業務をするにあたってよくあることですが、個別で行うことを心がけましょう。
プライドが高いことへの留意
また、プライドが高いことを把握しておくことも重要です。先ほど紹介した通り、フィリピン人は家族をとても大事にするため、家庭内で大切にされてきた人も多いようです。そのため、共に働く上でフィリピン人技能実習生への細やかな気遣いは必須と言えるでしょう。
フィリピン人技能実習生を採用する具体的な流れ
フィリピン人技能実習生を採用する具体的な流れについて解説していきます。
まず初めに、フィリピン人技能実習生を採用するに当たって必ず関わる機関が二つ、存在します。
この機関について説明させていただきます。
・DMW
・MWO
DMW
DMW(旧POEA)とは、移住労働者省を指します。
海外で働くフィリピン人の権利保護が目的のフィリピン政府機関です。DMWはフィリピンにあり、海外へ人材を送る前の審査を行っています。この機関を通さずに海外で働いていた場合、労働者、雇用者双方罰せられる可能性があるため、必ず手続きを行ってください。
MWO
MWO(旧POLO)とは、移住労働者事務所を指します。
この機関は海外に拠点があり、日本では駐日フィリピン大使館、在大阪総領事館に拠点があります。雇用企業がDMWの審査を受ける際には、MWOを介する必要があるため、この二つの機関はセットで覚えておきましょう。
採用までの10ステップ
それでは、実際にフィリピン人技能実習生を採用するにはどのような流れで行う必要があるのでしょうか。具体的な流れを見ていきましょう。
1,DMW公認の現地エージェントを選定し契約を結ぶ
2,MWOへ審査書類を提出する
3,MWOによる雇用主との面接の実施
4,面接通過後、許可書類が雇用主の元へ郵送
5,現地エージェントが受け入れ企業をDMWへ登録申請する
6,現地エージェントによる採用活動
7,認定証明書の交付
8,採用人材の決定後、就労ビザの申請
9,現地エージェントがDMWにOECを申請
10,OEC発行後、日本への出国
OECとは、海外雇用許可証のことです。
出国審査時に必要となるものであり、来日するフィリピン人技能実習生が実施する手続きです。この発行審査が通らないと来日できないため、注意しましょう。
また、フィリピンから技能実習生を採用する場合、必ず通さなければならない機関が存在するため、採用手順が複雑化しがちです。ですので、それぞれの機関についてしっかり理解したうえで採用に臨みましょう。
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まとめ
今回は、フィリピン人技能実習生を採用するに当たってのポイントについて解説しました。大事な点として、
・フィリピン人の特徴を理解する
・フィリピン人ならではの注意点を把握しておく
・具体的な採用の流れが複雑なので、専門機関について理解する
これらが挙げられます。
フィリピン人技能実習生は今後も増えていくと予想されるため、ぜひこの記事を参考にして採用を考えてみてはいかがでしょうか。