採用担当者の方の中には、外国人のエンジニアを採用しようと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで、参考になるのが日本全体や他社のエンジニアの外国人比率です。本記事では日本や世界のエンジニアについて解説します。
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日本のエンジニアの外国人比率
まず、日本全体のエンジニアの外国人比率についてです。正直に述べると、これについては正確な比率というものは存在しません。なぜならば、どこまでをエンジニアと呼ぶのかは企業により異なり、正確なエンジニアの数は把握できないからです。そのため、あくまで推測や予想の域を出ません。
日本人労働者の数
総務省統計局による「労働力調査(基本集計)2022年(令和4年)平均結果の概要」によると、日本の就業者数は6723万人となっています。(日本国内に常住する外国人は基本的に調査の対象)
では、そのうちどれくらいの人数がエンジニアとして就業しているのでしょうか。情報通信産業に携わっている人の数は405万人です。細かい分類については「日本の情報通信産業の部門別雇用者数の推移(総務省)」をご覧ください。
また、日本のエンジニアはILO(国際労働機関)の調査や各国の公開データから、一般的に132万人と言われています。
詳しくはILO公開のデータベースをご覧ください。
参照)データベース(ILO)
外国人労働者の数
厚生労働省の発表から、令和5年10月の時点で、在留資格別で「専門的・技術的分野の在留資格」が 59万6千 人で、前年比 11万6千人(24.2%)増加していることがわかります。「専門的・技術的分野の在留資格」にはITエンジニア以外の専門職も含みますが、出入国管理庁の資料からもわかるように、IT関連の職歴がある高度専門職や機械工学等の技術者を含む技術・人文知識・国際業務の在留資格を持つ外国人労働者は、在留者数の上位5つにあたります。
また、情報通信産業に限ったデータでは、約7万人の外国人が日本で働いていることが分かります。
これらのデータから、日本が高度な技術や専門知識を求める分野において外国人労働者を積極的に受け入れていると言えます。これを機に外国人エンジニアの採用を検討することは得策かもしれません。
参照)外国人雇用状況の届出状況について(報道発表)
専門的・技術的分野の外国人材受入れについて(出入国在留管理庁)
「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(厚生労働省)
日本のエンジニアの外国人比率の予想
IT人材の総数のデータは公開されていても、外国人エンジニアの数は見つかりません。そのため、日本人のIT人材総数とエンジニアの数を参考にすると、日本ではIT人材の約3割がエンジニアであることがわかりました。
このことを踏まえて、外国人のエンジニアの割合も約3割だと仮定すると21000人が外国人エンジニアの数になります。
以上のことから、少なくとも約1.5%程が外国人であると予想しました。また、情報通信産業に就業している外国人のうち、エンジニアとして活躍している割合は日本人より多いと考えられます。なぜならば、日本で就業する場合は言語の問題などから接客業ではなく、エンジニアなどの技術職の方が多いからです。しかし、明確なデータは存在しません。そのため、ここでは「日本にいるエンジニアのうち少なくとも100人に1人は外国人」だと結論付けます。繰り返しになりますがこの数字はあくまで憶測の域を出ません。
外国人労働者が増えていることと、外国人労働者の中のエンジニアの割合が日本人よりも高いことを考慮するとこれからさらに外国人エンジニアの増加率は増えることが予測できます。
世界のエンジニアの比率
では、世界のエンジニア人材はどのようになっているのでしょうか。世界109か国のIT技術者数は推計2517万人です。
参照)2022年度版:データで見る世界のITエンジニアレポート
エンジニアの数が多い国
1位 アメリカ 514万人
2位 中国 281万人
3位 インド 226万人
4位 日本 132万人
IT人材不足が叫ばれている日本でも、エンジニア総数の順位は4位となっています。また、アメリカは2位以下の国に大差をつけていて、世界のエンジニアの約2割がアメリカ人であるという驚きの比率です。
■アメリカのエンジニアについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
アメリカ人エンジニアを採用するメリットとは?採用すべき企業、特徴を徹底解説
エンジニア増加率 ランキング
1位 ペルー 55.1%
2位 アルゼンチン 51.1%
3位 キプロス 43.9%
続いては、エンジニア増加率のランキングです。1位と2位が南米にあるのは注目すべき点といえるでしょう。ITについて現在は中国やインドなどアジアを中心に発展が著しいですが、このデータから南米も急成長していることが分かります。地理的には非常に遠い地域ですが、南米のエンジニアと関わる機会があるかもしれません。注目しておきましょう。日本は8.2%増で22位となっています。
増加率の高い国のエンジニア採用は、未開拓の可能性がありブルーオーシャンとなり得ます。これからの成長が期待できる国々のエンジニアを視野に入れることはいい戦略となるかもしれません。
企業のエンジニアの外国人比率
外国人エンジニアを採用する場合は全体の比率ではなく、さまざまな企業の外国人比率を参考にすべきです。
大手企業や外国人採用に力を入れている企業の外国人比率を紹介します。
楽天株式会社
楽天は2014年に入社した開発職の約100人のうち、80%以上が外国籍者であり、特に外国人エンジニアの採用を重視しています。また、社内のコミュニケーションを英語に統一するなど、積極的なグローバル人材戦略を推進しています。
外国人の採用を積極的に行うことにより、従業員同士が国籍を超えて直接的に連携し合う風土が醸成されています。この取り組みにより、国籍、文化、性別などの多様性に配慮した職場環境が整備されており、楽天はグローバルな基準を持つ企業として進化を遂げています。
Sテクノロジー株式会社(旧誠信システムズ株式会社)
Sテクノロジー株式会社のエンジニアの外国人比率は、約50%となっています。海外に向けたサービスを持っている顧客が多いため、国籍がグローバルであることで仕事の広がりを感じているようです。きっかけは中国の企業からシステム開発の業務を受託するオフショア開発の案件であると述べています。
参照)外国人学生を新卒採用!来日の不安を払拭する愛のあるサポートとは?
富士通
富士通は日本の大手IT企業で、エンジニアの数は約5,600人と非常に多くなっています。外国人採用にも力を入れており、2022年の新卒採用では、約80名採用しています。
日本だけでも、35000人の従業員のうち674人が外国人となっています。他地域を合わせると従業員総数は12万人で、アジア各国や欧米にあたるため、そのエンジニアも合わせると、外国人比率はさらに大きくなるでしょう。
■企業の外国人エンジニア成功事例についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
外国人採用で成功した事例を紹介!メリットや注意点についても解説!
エンジニアの外国人比率が大きくなっている理由
では、なぜ日本において外国人エンジニアが増えているのでしょうか。3つの大きな理由を解説します。
日本においてのIT人材不足
日本は現在エンジニアを含むIT人材が不足していると言われています。それは、経済産業省の発表により明らかです。
経済産業省では、IT人材の需給モデルを構築し、既存の統計調査等のデータをもとにわが国IT人材数の推計を行った。その結果、若年層の人口減少に伴って、2019年をピークにIT関連産業への入職者は退職者を下回り、IT人材は減少に向かうと予想されている。また、IT人材の平均年齢は2030年まで上昇の一途をたどり、高齢化が進展することも予想されている。その一方で、IT需要予測から推計されるIT人材需要との需給ギャップから2030年までのIT人材の不足数を推計すると、労働集約業態となっている日本のIT人材の低生産性を前提とすれば、将来的に40~80万人の規模で不足が生じる懸念があることも試算された。
引用元)参考資料(IT人材育成の状況等について)経済産業省 商務情報政策局 情報処理振興課
このことから、人材不足が大きな問題となる日本のIT業界において、外国人エンジニアの需要は高まると予想できます。
IT業界の性質
IT業界の性質から、外国人のエンジニアは増えやすいと言われています。IT業界は比較的新しい業界であるため、日本ならではの年功序列制など、慣習にとらわれすぎることが少ないです。外国人のエンジニアにとって利点となる具体的なIT業界の性質としてはこのようなものがあります。
・バックグラウンドが関係ない
・将来性がある
エンジニアとして活躍している人にはさまざまなバックグラウンドがあります。年齢や性別、国籍や文化などはさまざまです。第一印象やその人物へのイメージが重要になる接客業とは違いエンジニアは技術職であるため、バックグラウンドにこだわる必要がないのです。
また、エンジニアは将来性があるといえます。身の回りには多くの電子機器が存在し、これからもAIを用いたエンジニアリングなどが発展すると考えられるでしょう。確約された未来があるというのは、外国人が安心して日本でエンジニアとして活躍する理由の一つです。
外国人IT人材の受け入れ環境が整いつつある
先ほども述べたように、日本におけるIT人材は不足しており、それに危機感を覚えた公的機関や企業が外国人人材の受け入れ環境をより良いものにしようと画策しています。
具体的には、法務省入国管理局が外国人人材の受け入れ促進のために「高度人材ポイント制による出入国在留管理上の優遇制度」 を設けており、国をあげてIT人材に限らず様々な分野での外国人人材を受け入れようとしています。
また、企業の中では、ITエンジニアの不足によって社内公用語を英語にして外国人人材が働きやすい環境を作ったり、外国人人材を積極的に採用したりするようになった企業もあります。
外国人エンジニアの比率を増やすには?
外国人エンジニアの比率を増やすメリットは多岐にわたります。多様性から企業のクリエイティビティやイノベーションの促進が期待できます。外国人エンジニアの比率を増やすために必要なことを紹介します。
働きやすい環境の確立
外国人エンジニアが円滑に業務に参加できるように、言語の壁を取り扱うプログラムやビザサポートを提供し、多様性を尊重する企業文化を構築します。
具体的には日本語会話の研修や社内でコミュニケーションの機会を提供しより円滑に作業を行えるようになるための時間を設けることが望ましいです。
そしてビザのサポートだけでなく外国人エンジニアが日本の企業に在籍するための手続きのサポートをすることが求められます。
これらのようなサポートを充実させることで業務に集中でき、働きやすい環境となります。
外国人エンジニアの採用に力を入れる
外国人エンジニアの採用には様々な方法があります。人材派遣サービス、エージェントの利用や国際的なジョブフェアに参加するなどの方法があります。企業にあった方法で適切な人材を獲得することが望ましいです。
求人を掲載する段階で人材紹介サービスを利用する企業は多く、サービスの内容も人材の選定や紹介の他に、他の採用業務も代行してくれるので簡単です。
外国人エンジニアの採用方法について気になる方はこちらをご覧ください
外国人ITエンジニアの採用方法は?IT人材の将来性やメリット・デメリットを解説
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まとめ
いかがでしたでしょうか。本記事では、日本のエンジニアの外国人比率の予想や詳細なデータ、企業ごとの外国人比率などを紹介しました。自社で外国人の採用を検討する際には他企業の外国人比率が参考になります。しかし、最終的には自社にあった人材を採用することが一番重要です。闇雲に外国人を採用すれば良いというわけではないということを心得ましょう。