外国人採用

外国人研修生・実習生の違いは?技能実習制度や監理団体について徹底解説

外国人研修生・実習生の違いは?技能実習制度や監理団体について徹底解説

近年人手不足が深刻化する中、「外国人労働者を雇用したい」と考える企業も多いと思います。そう考える企業の中には、

・外国人労働者を雇うにはどのような制度があるの?
・外国人研修生と実習生の違いって何?
・自分の企業に合った制度はどれだろう

など、さまざまな疑問や悩みを持つ方もいるでしょう。
この記事では、

・外国人研修生・実習生の違いやシステムを詳しく
・それぞれのビザについて
・詳しい制度とメリット・デメリット
・受け入れに適している企業の特徴

について企業目線で詳しくご紹介します!

外国人研修生・実習生とは?

外国人研修生、実習生のそれぞれの定義は、その在留資格の違いに基づきます。

外国人研修生・実習生の在留資格

出典:「外国人労働者の現状」厚生労働省

外国人研修生とは

外国人研修生とは、在留資格「研修」で日本に滞在する人々を指します。

以前の外国人研修・技能実習制度(以下、「研修制度」と呼びます)では、最初の1年は研修生として、講義と実務研修を受け、2年から3年は技能実習生として、雇用関係の下で実習に従事する仕組みでした。

しかし、一部の受け入れ機関が研修生と技能実習生を低賃金労働者として扱うなどの問題が生じ、制度が見直されました。

現在、外国人研修生は賃金を受け取ることはできませんが、研修手当として生活費・交通費等を受け取ることが可能です。研修生と企業は雇用関係を結ぶわけでは無い点に注意しましょう。

技能実習生とは

外国人実習生とは、つまり技能実習生を指し、在留資格「技能実習」で日本に滞在する人々です。
新しい研修・技能実習制度(以下、「技能実習制度」と呼ばれます)では、外国人を1年目から技能実習生として受け入れるのが特徴です。この技能実習生は雇用関係の下で実習に従事します。

海外で1ヶ月以上の講習を受けた後、日本に入国してから約1ヶ月間の座学の講習を修了すると、労働関係の法令が適用されるようになります。

技能実習制度は本来、技能や知識の国際的な共有と協力を促進するためのものであり、外国人労働力を雇用するための単なる労働制度ではありません。

しかし、研修生とは異なり、企業は実習生と雇用関係を結ぶため、原稿の労働関係の法令に準じて賃金を与え、労働してもらうことが可能です。

外国人労働者の種類についてさらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください
外国人労働者の種類とは?在留資格やビザの分類、技能実習生との違いを解説

研修ビザと技能実習ビザの違い

「研修ビザ」と「技能実習ビザ」の違いは、外国からの研修生を受け入れる際にどのような活動が許可されるかに関連しています。

「研修ビザ」を利用する場合、通常は座学による研修が主体であり、商品の生産や販売、サービスの提供などの実務を含む研修は行えません。研修生は労働者として雇用されるのではなく、研修生として受け入れられ、雇用契約は必要ありません。そのため、賃金のような労働対価は支払われず、代わりに研修生に対して生活費や交通費などの研修手当が実費で提供されます。

一方、「技能実習ビザ」を用いて研修生を受け入れる場合、実務実習が可能です。技能実習ビザは、外国人が技術や技能を学び、母国に持ち帰って応用することを目的としており、実務実習を通じて必要なスキルを習得する必要があります。技能実習ビザを持つ研修生は労働者として雇用契約を結び、労働関係に関連する法律が適用されます。したがって、彼らは実務実習と引き換えに賃金を受け取ります。

まとめると以下の表のようになります。

研修ビザ 技能実習ビザ
実務研修 できない できる
在留期間 1年・6ヵ月・3ヵ月 技能実習1号が1年、技能実習2号・3号が2年
労働者であるか でない である
時間外労働、休日出勤 できない できる
雇用契約 不要 必要
給与 研修手当 賃金

外国人研修生・実習生を受け入れる際の仕組み

研修・技能実習制度が新しくなって以降、外国人研修生の数は大きく減り、実務研修を伴わない非実務研修、国や地方公共団体などにより主として運営される実務研修などのみが行われるようになりました。

そのため、外国人労働力を求める企業は技能実習制度を利用することが多いです。
その制度について詳しく説明します。

技能実習制度の目的

1993年に設立された「技能実習制度」は、法的には「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(通称「技能実習法」)第一条で述べられている通り、主に以下の2つの目的を持っています。

技能実習の適正な実施: 技能実習の実施を適切に監督し、実習生が適切な環境で技能を習得できるように保護します。

国際協力の促進: 技能、技術、知識の移転を通じて、開発途上地域への国際協力を推進します。

つまり、発展途上国の人材に日本の高い技術を現場での職務経験を通じて習得してもらい、帰国後に培った技術を広めてもらう、という国際貢献が主な目的です。

技能実習生の種類

技能実習生は最長5年間、日本にて就労することができます。

その中でも「技能実習1号」「技能実習2号」「技能実習3号」の3種類が存在し,
1号が1年以内、2号が2年以内、3号が2年以内と、期間が定められています。

技能実習生が1年間の実習を終え、帰国せずに2年目以降も実習を続けたいと望む場合、そして受け入れ企業もそれを支持する場合、2年目以降の滞在延長の手続きが開始されます。

具体的には、最初の1年は主に技術を習得するための活動であり、これが第1号技能実習です。しかし、1年目の実習内容をさらに向上させ、スキルを磨くための2年目および3年目(2年間)の活動は「第2号技能実習」と呼ばれます。

この際、第2号技能実習では1年目の実習内容をさらに発展させることが目的です。そのため、職種や作業内容を変更することは許可されません。

ただし、重要な点として、第1号技能実習生全員が自動的に第2号技能実習に移行できるわけではありません。第2号に移行するためには一定の要件を満たす必要があり、試験に合格することがその一例です。

■特定技能と技能実習の違いについては、以下の記事をご参照ください。
特定技能と技能実習を徹底比較!10個の違いとメリット・デメリットをご紹介

技能実習生の受け入れ形態の種類

技能実習には、団体監理型と企業単独型の2つの受け入れ形態が存在します。

団体監理型の場合、監理団体と企業(実習実施機関)がそれぞれの特定の役割を果たします。

監理団体の役割は、技能実習1号および技能実習2号の期間中、技能実習が実習実施機関で適正に実施されているかを確認し、必要に応じて指導することです。

一方、技能実習生に技能を教える立場にある実習実施機関は、技能実習指導員を配置して技能実習計画に従って実習を実施し、さらに技能実習生の生活管理にも細かく配慮する役割が求められます。

次章にて、それぞれの内容について詳しく説明します。

外国人研修生・実習生の受け入れ形態

特に、技能実習制度にて外国人実習生を受け入れる際の形態「企業単独型」と「団体監理型」について詳しく説明します。

企業単独型

一方、日本の企業が直接、海外の支店や関連企業、取引先などから職員を受け入れて技能実習を実施する方法を企業単独型と呼んでいます。

企業単独型の技能実習では、受け入れ企業側が複雑な手続きを行う必要があり、実習実施期間に至るためには海外企業との連携も必要です。

海外企業との連携がない場合、企業単独型での受け入れを行うことができない状況となります。

団体監理型

団体監理型では、監理団体が技能実習制度におけるその活動の監督・取り締まり及び受け入れ企業へのサポートを行ってくれます。
技能実習生を受け入れる際の手続きは煩雑であるため、団体監理型を利用する企業が多いです。
その場合、以下の6要件を満たす必要があります。

1.修得しようとする技能が単純作業でないこと
2.18歳以上で、帰国後に日本で学んだ技能を活かす予定があること
3.母国で同様の技能を習得するのが難しい技能であること
4.本国の政府や地方自治体などから推薦を受けていること
5.日本での実習に関連する業務経験を持っていること
6.技能実習生やその家族が、送り出し機関や監理団体、実習実施機関から保証金などを要求されていないこと。また、契約による労働不履行に対する違約金の規定が存在しないこと

労働関係諸法令はどう適用される

労働関係諸法令の適用について、研修ビザと技能実習ビザで働く外国人には異なる規定があります。

研修生

研修ビザを持つ外国人に対しては、労働関係諸法令は直接適用されないものの、基準には従う必要があります。

実習生

一方、技能実習ビザを持つ外国人には、実習実施先との雇用関係があり労働関係諸法令が適用されるため、注意が必要です。たとえば、労働基準法に基づいて、強制労働や中間搾取などの違法行為は禁止されています。

ただし、労働関係諸法令の適用は、入国後の講習期間を終えてからになります。ただし、団体監理型の技能実習生が入国後に受ける座学講習期間中は、実際に雇用されて働いているわけではないため、労働関係諸法令は適用されません。技能実習1号の場合、外国人は入国後、通常2ヵ月の座学講習を受けることが求められます。

また、農業で活動する技能実習生には、通常の労働者と同じく労働時間や休憩、休日に関する労働基準法の適用はありません。ただし、農業分野における技能実習生に関しては、労働基準法の規定に準拠するよう農林水産省が指導しています。

外国人実習生を受け入れるメリット

実際に外国人実習生を受け入れるメリットをご紹介します。

・雇用の安定化が期待できる
・人件費・求人広告費を抑えられる
・職場の活性化に繋がる
・社員も成長しやすい

雇用の安定化が期待できる

技能実習は国際貢献を目指す一方で、企業には3〜5年といった一定期間にわたって、高いスキルを持つ技能実習生の協力を得るメリットがあります。実習という性質上、転職の概念は存在せず、したがって離職のリスクも低いです。

業界で人材不足が深刻な場合、技能実習生を採用することで、企業は雇用の安定化を実現できることがよくあります。ただし、国際貢献を目指すことが主要な目的であることを前提としつつ、実習生と企業の両者にとってメリットのある環境を築くことが重要です。

人件費・求人広告費を抑えられる

近年、人件費が高騰している業界では、求人募集に費用をかけてもなかなか適切な人材が集まらず、採用が難しいという課題が増えています。

技能実習生の雇用は国際貢献が目的であることを忘れてはなりませんが、「低コストで受け入れ可能」という側面があります。

通常、派遣労働者を雇用したり、求人広告費を負担したりする代わりに、技能実習生を採用することがコスト面で有益であることが多いです。

職場の活性化に繋がる

技能実習生の多くは10代から30代の比較的若い世代ですので、職場の活性化が期待されます。

たとえば、高齢化が進む中で慢性的な職員不足に苦しむ企業は、外国からの技能実習生を受け入れることで、従業員が先輩や指導員としての役割を果たし、より高い意欲で業務に取り組むようになる可能性があります。

また、日本語が完璧でない技能実習生とのコミュニケーションを通じて、職場内でのコミュニケーションが増加し、社内の交流が盛んになることも考えられます。

■外国人採用についてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
外国人採用のノウハウを伝授!費用やメリット、おすすめ人材紹介会社まで徹底解説!

社員も成長しやすい

技能実習生に日本の高度な技術を伝える際、企業の社員は教育方法について意識を高めることがあります。社員は自ら学び、自身の成長と実習生の成長を同時に期待されることで、結果的に国際的な貢献につながる可能性があります。

このような取り組みは、企業の成長や競争力の向上にも寄与します。

外国人実習生を受け入れるデメリット

外国人実習生を受け入れるデメリットをご紹介します。

・受け入れ体制の拡充が必要となる
・技能水準や日本語能力が乏しいケースがある
・受け入れまでに外部コストがかかる
・滞在期間が短い

受け入れ体制の拡充が必要となる

技能実習生は、高度な専門技術を学びに日本にやってきます。従って、受け入れ側は彼らに適切な育成と指導環境を提供する必要があります。

さらに、指導の質を保つために、受け入れる人数に制限が設けられているため、自社がどれだけの受け入れが可能であるかを検討し、それによってどれだけの雇用を確保し、利益を得ることができるかを慎重に評価する必要があります。

技能水準や日本語能力が乏しいケースがある

介護職以外の外国人技能実習生には、特定の技能水準や入国時の試験などが法的に要求されているわけではありません。

これらの実習生は、数ヶ月の日本語学習を通じてスキルを向上させることが期待されていますが、通常、十分な日本語理解力を短期間で習得することは難しいことが多いです。

そのため、受け入れ企業はしばしば「教育が必要であり、コミュニケーションが難しい」と感じることがあります。特に、コミュニケーションの課題は、母国から離れて働く技能実習生にとって大きな懸念事項です。

受け入れ企業は、実習生の状況を理解し、技能の教育だけでなく、日本の習慣や言語に関するコミュニケーションの側面にも十分な注意を払う必要があります。彼らに対する適切なサポートと配慮が欠かせないのです。

滞在期間が短い

技能実習には、雇用期間の制限があるというデメリットがあります。技能実習生を雇用できる期間は限られており、1人の技能実習生を5年以上雇用することはできません。そのため、優秀な人材が育成されても、契約を延長することはできません。

技能実習2号が終了した後に技能実習3号として2年間の雇用が可能ですが、技能実習生としての最大雇用期間は5年間となります。

受け入れまでに外部コストがかかる

通常、技能実習生を受け入れる際には、国外の派遣機関を介して実習生の選定、面接、および事前トレーニングが行われます。

以前はこれらの面接は主に現地で行われていましたが、新型コロナウイルスのパンデミック以降、ほとんどの場合、オンラインで行われるようになりました。

企業は技能実習生を直接受け入れることも可能ですが、通常、送り出し機関と契約し、技能実習計画の策定、在留資格の申請など、多くの文書作成と申請手続きを行う必要があります。

このため、多くの企業は選定から実習生の入国後までのサポートを含む監理団体に依頼することが一般的です。企業と実習生の間に介在する組織が増えることから、コストがかかることもあります。

外国人研修生・実習生受け入れに向いている企業の特徴

外国人研修生・実習生の受け入れに向いている企業の特徴には以下のようなものがあります。

高い専門技術を持つ

上にも述べた通り、外国人技能実習生は日本の高い技術を学び、それを母国の経済発展に生かすために実習を行います。
厚生労働省によって、技能実習生を受け入れられる業種は以下のように定められています。

1.農業関係(2職種6作業)
2.漁業関係(2職種10作業)
3.建設関係(22職種33作業)
4.食品製造関係(11職種18作業)
5.繊維・衣服関係(13職種22作業)
6.機械・金属関係(15職種29作業)
7.その他(20職種37作業)

これらの業種において技術力を誇り、またそれを教えることのできる経験豊富な人材を有する企業は技能実習生の受け入れに向いていると言えます。

異なる文化に対する受容性がある

外国人技能実習生を受け入れる際には、もちろん彼らの文化や言語、宗教などあらゆる個性を受け入れられる体制が必要です。

そのため、彼らとともに働くにあたり、英語を頑張って話す、翻訳アプリや優しい日本語によってコミュニケーションを図る、異なる文化を受け入れ理解するなど、歩み寄る姿勢が求められるでしょう。

あらゆる立場・個性を持つ人を受け入れる雰囲気を持つ企業が技能実習生の受け入れに向いているでしょう。

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まとめ

この記事では、外国人研修生、実習生(技能実習生)の違いについて解説しました。
現在の制度の下では、一般企業は研修生でなく技能実習生を受け入れる場合が多いとわかります。
技能実習制度の目的、仕組みをよく理解した上で、自社の状況に合う選択をしましょう!






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