外国人採用

外国人労働者の社会保険に加入は義務?保険加入率や加入条件について解説!

少子高齢化に伴う、労働人口不足が問題になっている中、外国人労働者を雇用しようと検討している企業も多いのではないでしょうか?
そこで雇用するにあたって手続きが必要になる外国人労働者の社会保険(「健康保険」「厚生年金保険」「労災保険」「介護保険」「雇用保険」)制度について本記事では解説していきます。

そもそも社会保険とは?

社会保険とは「健康保険」「厚生年金保険」「労災保険」「介護保険」「雇用保険」 の5つで構成される公的な保障制度です。企業に務める正社員やアルバイト・パート(条件を満たす)労働者が加入する保険で、介護や失業や労働災害といった万が一のリスクに備えるための制度です。5つの保険のうち、狭義では健康保険、厚生年金保険、介護保険の3つをまとめて社会保険と呼び、労災保険と雇用保険を労働保険と呼ぶこともあります。

外国人労働者は社会保険に入る必要があるのか?

外国人を雇う場合どんな雇用形態であっても社会保険への加入が必要となります。日本国民だけではなく、日本で働く外国人も保険に加入が可能です。

■外国人採用の注意点について詳しく知りたい方は下記記事をご覧ください。
外国人採用で抑えなければならない注意点とは?採用を成功させる秘訣を伝授

外国人の保険・年金加入率はどのくらい?

ここでは実際にどのくらいの外国人が健康保険・年金に加入しているのか解説していきます。

外国人労働者の健康保険の加入率

「2022 第二回在留外国人総合調査 「在留外国人の保険・年金について」」株式会社サーベイリサーチセンターによると2022年在留外国人の健康保険の加入率は95.9%でした。未加入の割合は3〜4%とごくわずかで、ほとんどの在留外国人は健康保険に加入していることがわかりました。95.9%の割合を詳しく紐解いていくと、公的な社会保険である国民健康保険が45.7%、企業で加入している健康保険の加入割合が44.8%という結果になりました。

外国人の年金加入率

「2022 第二回在留外国人総合調査 「在留外国人の保険・年金について」」株式会社サーベイリサーチセンターによると2022年在留外国人の年金の加入率は78.8%でした。「厚生年金」の加入率は、39.9%で「国民年金」の加入率は26.4%でした。
年金に加入していない理由は「近日帰国予定」の割合が1番高く、27.8%で2番目の「金銭的な理由」が25.5%で、3番目は「日本の公的年金制度がわからない」が19.8%でした。

外国人労働者の社会保険加入は免除されることがあるのか?

大前提、日本に在留して、日本に住所がある外国人労働者は社会保険に入る義務があります。
ただ、外国人労働者は社会保険加入が免除されることがあります。ここでは免除される条件について解説していきます。
免除される条件は主に2つあります。

・一時的に日本に来ている場合
・外国人がアルバイト・パートの場合

それぞれについて詳しく解説します。

一時的に日本に来ている場合

一時的に日本に来ている外国人は、社会保険の適用対象外となります。原則、3ヶ月以上日本に来て働く外国人は社会保険適用対象となります。したがって、3ヶ月以内の旅行者は適用対象外となります。

外国人がアルバイト・パートの場合

外国人がアルバイト・パートの時短労働者の場合は社会保険加入が免除になります。正社員と比較して、所定労働日数が3/4未満であれば、社会保険に加入する必要はありません。

もう一度確認ですが、外国人労働者も原則社会保険に加入しなければなりません。外国人本人の意向で社会保険の加入の可否が決まるものではなく、会社が社会保険に入る義務があります。そのため、加入条件に当てはまっているのであれば当然加入の義務があります。

外国人労働者は「健康保険」に加入する必要があるのか?

ここでは健康保険の制度、外国人が健康保険に加入するための条件について解説します。

健康保険とは?

健康保険には2種類あります。

「健康保険」とは怪我や病気に伴う休業や死亡といった事態に備えて民間企業に勤めている人とその家族が加入している医療保険のことを指します。
一方で「国民健康保険」とは会社に勤めていない年金受給者や自営業者やフリーランスとその家族が加入する公的な医療保険のことを指します。

外国人労働者も健康保険に加入する必要がある

外国人労働者の場合、民間企業に属しているのであれば「健康保険」に加入することになります。
基本的に法人事業所は必ず加入しなければならず、これを強制適用事業所といいます。適用事業所とは「5人以上を常に雇用している個人の事業所」「国・地方公共団体または法人の事業所」のことを指します。

ただ、必ずしも外国人労働者は健康保険に加入する必要はありません。以下の条件に当てはまる外国人労働者は健康保険の加入が義務になります。

・週の労働時間が20時間以上

・月額賃金が8.8万円以上

・2ヶ月を超える雇用の見込みがある

・学生以外(大学の夜間部の学生や休学している学生などは加入対象となります。)

・従業員が101人以上の事業所(令和6年10月からは51名以上)

出入国在留管理局では健康保険証が必要

外国人労働者が働き始めて保険に加入すると保険証が発行されます。在留資格の変更や申請を行う際に、出入国在留管理局では健康保険証の提示を求められます。そのため、社会保険に加入をしておかないといけません。

外国人労働者も「年金保険」に加入する必要があるのか?

ここでは年金保険の制度、外国人に関する年金保険の注意点について解説します。

年金保険とは?

「年金保険」とは生命保険の1種で保険金が一定期間に渡って分割されて給付されるものを年金保険といいます。年金保険には2種類あり「国民年金」「厚生年金保険」があります。国民年金は20〜60歳の全国民が加入対象者となります。それに対して厚生年金は会社員または公務員が加入する年金で企業が運用する年金です。厚生年金は国民年金に上乗せされている制度です。

■外国人労働者受け入れのメリットについて詳しく知りたい方は下記記事をご覧ください。
外国人労働者を受け入れるには?メリット、デメリットや受け入れ企業を解説

外国人労働者も「年金保険」に加入が必要

外国人労働者は日本人と同様に年金保険の加入が必要です。ここで注意が必要なのが、国民年金または厚生年金に加入していた外国人が日本を去る場合です。この場合「一時脱退金」が支給されます。

一時脱退金については後ほど説明します。

外国人労働者は「介護保険」に加入する必要があるのか?

ここでは介護保険の制度、外国人の介護保険の加入条件について解説します。

介護保険とは?

介護保険とは介護が必要な方に費用を給付する制度です。皆で保険料を出し合い、介護が必要になった時にその費用を受け取る制度です。介護保険の加入は40歳以上から始まります。

外国人労働者でも介護保険に加入ができる

外国人労働者でも介護保険に加入することが可能です。加入条件は以下の通りです。

①日本に3ヶ月を超えて滞在する
②40歳以上である
③日本に住所を所有している(住民基本台帳に登録している)

外国人労働者は「労災保険」に加入する必要があるのか?

労災保険給付の概要については以下の表をご覧ください。

出典:)「労災保険給付の概要|東京労働局

労災保険とは?

労災保険とは雇用されている労働者が業務上または通勤による疾病・負傷・障害・死亡等に対して必要な保険給付を行う制度のことです。健康保険は業務外での傷病、死亡を補償する制度であるため労災保険とは異なるので注意しましょう。ここでの労働者は会社に雇われている労働者だけではなく、アルバイトやパートも含まれます。労災保険は1人でも従業員を雇用する会社には加入が義務付けられています。

外国人労働者も労災保険に加入が必要

外国人労働者も労災保険に加入が必要となります。労働形態や国籍にかかわらず加入が義務であるため注意しましょう。万が一、不法労働者であっても労災保険は適用範囲になるため、加入する必要があります。

外国人労働者は「雇用保険」に加入する必要があるのか?

ここでは雇用保険の制度、外国人の雇用保険の加入条件について解説します。

雇用保険とは?

雇用保険とは失業した場合に給付を受けて労働者の生活の安定を目指し、再就職の援助を行うことが目的とした公的保険です。加入の対象となるには条件を満たしている必要があります。外国人の加入条件について下記で解説します。

外国人労働者でも雇用保険に加入が必要なのか?

雇用保険も日本人同様に加入が必要です。加入に必要な条件は日本人と同じです。もちろん技実習生であっても条件を満たしていれば加入が可能です。
以下が必要な条件です。

①1週間の労働時間が20時間以上である
②1ヶ月以上働く見込みがある
③学生ではない
※③の学生に関しては大学の夜間部の学生や休学している学生などは加入対象となります。

保険に加入する際に必要な書類や手続き方法について知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
外国人労働者の社会保険加入に必要な手続きは?方法や必要書類など解説!

社会保険を労働者に説明する際のポイント

外国人労働者が社会保険に加入する際に伝えておくべきポイントについて詳しく解説します。ポイントは主に2つあります。

・社会保険に加入するメリットを伝える
・加入が義務であることを伝える

それぞれについて詳しく解説します。

社会保険に加入するメリットを伝える

社会保険に加入すると主に6つのメリットが得られます。

・健康管理と医療費の負担軽減
・定期健康診断の受診ができる
・ 家族も保険の対象になる
・介護サービスを利用できる
・年金を受給できる

それぞれについて詳しく解説します。

健康管理と医療費の負担が軽減される

日本の健康保険に加入することで、病気や怪我をした場合の医療費を大幅に軽減できます。健康保険では、診療費の一部を保険でカバーし、自己負担額は通常30%程度となります。これにより、高額な医療費の心配をせずに治療を受けることが可能です。

定期健康診断の受診ができる

日本の企業では、従業員に対して定期的な健康診断を行うことが義務付けられています。健康保険に加入していることで、これらの健康診断を受けることができ、自身の健康状態を定期的にチェックできます。

家族も保険の対象になる

健康保険に加入していると、一定の条件を満たす家族(配偶者や子供など)も被扶養者として保険に加入させることができます。これにより、家族全体の医療費負担が軽減されます。

介護サービスを利用できる

日本では40歳以上の健康保険加入者は介護保険にも自動的に加入します。これにより、介護が必要になった場合に介護サービスを利用することができ、経済的な負担を軽減することができます。

年金を受給できる

健康保険に加入することで、同時に厚生年金保険にも加入することになります。これにより、将来的に年金を受給する権利が生じ、老後の生活を経済的に支える一助となります。

治療費や休業補償が受けられる

労働中に事故が発生した場合、労災保険により治療費や休業補償が受けられます。これにより、労働中の不測の事態に備えることができます。

加入が義務であることを伝える

外国人労働者も原則社会保険に加入しなければなりません。外国人本人の意向で社会保険の加入の可否が決まるものではなく、会社が社会保険に入る義務があります。そのため、加入条件に当てはまっているのであれば当然加入の義務があります。

加入をしないと法律違反になる恐れがあります。
法律違反により罰則を受けるだけでなく、社会的信用を失うことになります。企業にとっては労働基準法などの法令遵守は非常に重要であり、従業員の健康保険や年金保険の適正な管理は企業の社会的責任の一部です。違反が発覚すると企業の評判が低下し、労働者の雇用環境にも悪影響を及ぼす可能性があります。

年金保険を免除できる制度

外国人労働者が日本で働く際の年金制度上の不利益を軽減するために重要な制度が二つあります。

・一時脱退金
・社会保障協定

それぞれについて詳しく解説します。

一時脱退金

一時脱退金は、厚生年金保険に加入していたが、その加入をやめる(脱退する)場合に支払われる一時的な給付金です。厚生年金保険制度では、加入期間に応じて厚生年金加入者やその家族に年金や給付金を支給しますが、加入者が組織を離れる際には、その加入期間や納付期間に応じて一時的な給付金が支給されることがあります。ただし、一時脱退金を請求することができる期間は2年以内です。

以下が支給の条件です。

  • 日本国籍を有していない
  • 公的年金制度(厚生年金保険または国民年金)の被保険者でない
  • 国民年金※または厚生年金保険(共済組合等を含む)に6月以上加入していた
  • 老齢年金の受給資格期間(国民年金保険料納付済期間、厚生年金保険加入期間及び合算対象期間を合わせて10年間)を満たしていない
  • 障害年金等の年金を受ける権利を有したことがない
  • 日本国内に住所を有していない
  • 最後に公的年金制度の被保険者資格を喪失した日から2年以上経過していない(資格喪失日に日本国内に住所を有していた場合は、同日後に初めて、日本国内に住所を有しなくなった日から2年以上経過していない)出典:)「年金Q&A」日本年金機構

社会保障協定

社会保障協定とは二重の保険料負担を防ぎ、年金受給資格を確保するための制度です。加えて、出身国の社会保障協定を活用することで、将来的に帰国した際にもその国の年金制度を利用できます。

企業が外国人労働者を雇用する際には、その労働者の出身国が社会保障協定を結んでいるかを確認し、適切な対応を行うことが大切です。
企業の担当者が外国人労働者にこれらの制度について説明し、活用できるよう支援することは、労働者の安心感と就労意欲を高める重要な役割を果たします。

社会保障協定の締結状況については以下の表を参考にしてください。

出典:)「社会保障協定の締結状況|厚生労働省

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まとめ

いかがでしたでしょうか?本記事では外国人労働者が社会保険の加入が必要かどうか解説しました。外国人でも社会保険の加入が必要です。日本人と同様の手続きを進めていきましょう。






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