日本では、2019年に新たな在留資格制度が導入され、特定の産業分野における労働力不足を補うために、外国人労働者の受け入れが拡大されました。この在留資格は、特定の業種に従事する外国人に対して与えられ、一定の条件を満たすことで取得可能です。
在留資格には「特定技能」や「技能実習」、さらには「高度専門職」など、目的や職種に応じた複数のカテゴリーがあります。各資格には就労可能な業種や滞在期間などが細かく定められており、適切な資格を取得することが日本での就労を合法的に行うための基本条件となります。
この記事では、外国人労働者の受け入れにおける主要な在留資格の種類、申請方法、そして申請の際の注意点を解説します。
在留資格とは?
在留資格は、外国人が日本に滞在するための「許可」です。入国管理局が審査し、在留資格が許可された外国人だけが日本に滞在できます。「出入国管理及び難民認定法」に基づいて定められた法的資格で、一定期間における特定の活動への従事、もしくは一定の身分・地位を証明します。
在留資格には、就労できない資格、就労可能な資格など、全部で29種類の資格があります。
在留資格の種類
在留資格の種類は前述したとおり29種類ありますが、大きく分けて活動制限の少ない身分または地位に基づく在留資格(居住資格)と、活動内容や在留期間などの制限を受ける在留資格(活動資格)の2種類があります。
居住資格とは?
居住資格は以下の4つです。
・永住者
・日本人の配偶者等
・永住者の配偶者等
・定住者
以下でそれぞれについて見ていきましょう。
永住者
日本に長期間住み続けることができる在留資格で、在留期限がないため、自由に職業を選び、社会保障などの日本人と同様の権利を持つことができます。10年以上の継続的な在留、日本での安定した収入と生活基盤、犯罪歴がないことなどが必要です。更新手続きが不要です。
日本人の配偶者等
日本人と結婚している配偶者、または日本人の子どもに与えられる資格です。結婚証明書や子どもの出生証明書などを提出し、真実性の確認を受けます。職業選択の自由があり、更新は必要ですが、比較的簡単に長期在留が可能です。
永住者の配偶者等
永住者と結婚している配偶者、またはその子どもに適用される在留資格です。永住者と同様の安定した生活基盤を証明する必要があります。日本人の配偶者等と同じく職業選択の自由があり、更新が必要です。
定住者
特定の事情により長期的に日本に住むことが認められた外国人に付与される資格で、主に日系人や難民などが対象です。日系3世や日本に家族がいるなど特定の条件を満たす場合に取得可能です。職業の自由があり、生活基盤がしっかりしていれば永住権に移行しやすいです。
次に、活動資格の主なものを就労可能かどうかで分類して、それぞれの活動資格を紹介します。活動資格の中には就労可能でない資格も存在するので注意が必要です。
就労可能な活動資格
以下の資格では、日本での仕事が認められています。また、在留期間は5年・3年・1年、または3カ月に定められている場合が多いです。
技術・人文知識・国際業務
学術的知識や技術、外国語を活かした仕事が対象で、企業の企画業務や翻訳、ITなどが該当します。また、マーケティング業務なども含まれることに注意が必要です。
技能実習
日本での技能習得を目的とする制度で、一定の職種に従事しながら学びます。主に製造業、建設業、農業、介護などの分野で多く見られます。
特定技能1号
12の特定産業分野で働ける資格です。特定技能1号は5年以内の在留が可能で、家族帯同は不可です。
特定技能2号
1号より高度な技能が求められる職種が対象で、家族の帯同が認められ、在留期限の更新も可能です。
高度専門職
高度な技術や専門知識を持つ外国人に付与される資格です。海外MBA出身などの多くの実績が必要ですが、永住権への優遇措置や家族の帯同が認められます。また、1号と2号では在留期間に違いがあるため注意が必要です。
▪外国人のビザの取得方法を詳しく知りたい方はこちらをご覧ください!外国人がエンジニアビザを取るには?在留資格や取得方法など詳しく解説!
就労制限のある活動資格
仕事が許可される場合もありますが、資格外活動許可が必要です。
留学
学生としての活動がメインで、アルバイト等の就労には資格外活動許可が必要です。
家族滞在
日本で生活する外国人の家族が取得する資格で、パートやアルバイトをするためには資格外活動許可が必要です。
就労が認められない活動資格
これらの資格では、日本国内で働くことは原則として認められません。
短期滞在
観光や親族訪問など、短期間の滞在が対象です。仕事はできません。
文化活動
文化交流や芸術活動などが目的の資格で、報酬のない活動に限られます。就労可能な資格である「宗教」とは異なるため注意しましょう。
研修
職業訓練を受けるための資格で、技能習得が主目的です。
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在留資格とビザ(査証)は違う?
ビザ(査証)と在留資格は、混同されがちですが異なります。
在留資格は日本国外の日本大使館・領事館が発行し、入国前に取得するものです。入国審査官によって日本国内で決定され、入国後に適用されます。日本国内でどのような活動を許可されているかを示すもので、滞在を実質的に許可するものです。
一方、ビザは、日本に入国するための入国許可を求める申請の際に、外国の日本大使館や領事館が発行するものです。日本に入国する前の段階で必要なものであり、日本の入国審査場で入国の可否を判断するための書類にすぎません。
ビザは入国目的(留学、観光など)を示しますが、それ自体が滞在を許可するものではありません。また、入国後ビザは役割を終えます。
在留資格申請の手続き方法
在留資格の申請には以下の4つのステップを踏む必要があります。
①在留資格認定証明書の取得
日本に入国する前に必要な証明書で、日本での活動内容が適法であることを証明します。これを取得して初めてビザ申請が可能となります。
日本国内の地方出入国在留管理局に申請者本人または日本にいる代理人(雇用主、親族など)などが在留資格認定証明書の取得申請を行います。現在はすべての手続きがオンラインで完結するようになっています。
その際必要になるものは以下の6つです。
・マイナンバーカード(個人番号カード)
・在留カード(外国籍の方が利用する場合)
・パソコン
・ICカードリーダライタ
・JPKIクライアントソフト
・顔写真
その他の必要書類は在留資格によって異なるため、自身の在留資格にあった書類を用意しましょう。問題がなければ在留資格認定証明書が発行されます。発行された認定証明書を申請者が海外の日本大使館または領事館でビザ申請時に提出します。
参考:)「在留申請のオンライン手続き」出入国在留管理庁
② ビザ(査証)の取得
ビザ(査証)は、在外日本大使館や領事館で取得する必要があります。日本に入国する際には、原則としてビザの取得が求められています。
ビザは、外国人本人が所持する旅券が有効であることを証明し、その外国人が入国しても問題がないということを日本政府が推奨する意味を持ちます。
しかし、入国のための条件を満たしていない場合や、入国審査で問題が認められた場合は、たとえビザを所持していても入国が拒否されることがあります。
③各在留資格にて在留
在留資格ごとに認められる活動範囲が明確に規定されており、外国人はその範囲内で在留活動を行う必要があります。規定された範囲を超えて活動することは法律で禁止されています。また、規定された範囲ではない単純労働をさせた場合、その外国人を雇用している企業は罰金などの刑に問われる可能性もあります。
例えば、「家族滞在」の在留資格を持つ外国人は、日本に在留する就労者や留学生などの家族として滞在することが目的であり、原則として就労は認められていません。収入を伴う仕事を希望する場合は、事前に「資格外活動許可」を申請して許可を受ける必要があります。この許可を得ずに働くことは違法行為となり、法律により処罰の対象となります。
もし在留資格の範囲外の活動を行ったり、不法に在留した場合、退去強制(強制送還)などの厳しい措置が取られる可能性があります。在留資格を適正に維持し、法に基づいて行動することが重要です。
④在留期間更新・変更
各在留資格(永住者を除く)には、一度の許可で在留できる期間が定められているため
一定期間毎に更新手続きを行う必要があります。
この在留期間は日本国内で更新・変更が可能なので、引き続き日本への在留を希望する場合は早めに専門家である行政書士等に相談するなどの対応が必要です。
また、在留カードの更新も忘れずに行いましょう。
在留資格申請で注意すべき点
在留資格申請を行う際には、以下のような3つの注意点があります。
・在留資格が適切かどうかの確認
・期限の確認と更新の手続き
・再入国許可の確認
以下でそれぞれについて解説します。
在留資格が適切かどうかの確認
各在留資格には活動範囲が決められており、申請する在留資格が実際の活動内容と合致していることが重要です。特に、就労ビザ申請の場合は、職務内容が資格の活動範囲内である必要があります。申請前に業務内容が資格に適しているかを企業側も意識して確認しましょう。
日本にいる外国人が新たな活動を始める場合や転職する場合は、在留資格の変更申請が必要です。例えば、留学生が卒業後に就職する場合、または転職先の業務が現在の在留資格に適さない場合などです。
申請者本人は申請を早めに行い、活動を始める前に許可を得るようにしましょう。企業側はその申請が適切かどうか確認するサポートをするべきです。その際専門家の意見も参考にするとよいでしょう。
期限の確認と更新の手続き
在留資格には期限が設定されており、更新が必要です。更新手続きは期限の3ヶ月前から可能な場合が多く、早めの準備が重要です。期限切れのままでは不法在留となり、強制送還などのリスクがあります。企業側も従業員が強制送還されないように在留資格の管理者を用意するなどの対策を行っておくべきでしょう。
再入国許可の確認
一時的に日本を離れる場合、再入国許可が必要です。ただし、短期間(通常1年以内)での再入国を予定している場合は、特別な許可なしで再入国できる「みなし再入国許可制度」が適用されることがあります。この制度を利用するには、出国時に在留カードの提示が必要です。
活動資格一覧
日本の活動資格は、主に「就労が可能なもの」「就労が制限されるもの」「就労が認められないもの」「特定活動」の4種類に分類されます。以下は、活動資格をその4種類に分類して一覧にしたものです。
在留資格 | 該当する活動 | 在留期間 | |
就労が可能なもの | 外交 | 外国政府の大使、公使、総領事、代表団構成員およびその家族 | 外交活動の期間 |
公用 | 外国政府の大使館・領事館の職員、国際機関から公の用務で派遣される者およびその家族 | 5年、3年、1年、3月、30日、または15日 | |
教授 | 大学教授等 | 5年、3年、1年、または3月 | |
技術・人文知識・国際業務 | 技術者、通訳、デザイナー、マーケティング業務従事者等 | 5年、3年、1年、または3月 | |
経営・管理 | 企業の経営者、管理者 | 5年、3年、1年、6ヶ月、4ヶ月、または3月 | |
介護 | 介護福祉士 | 5年、3年、1年、または3月 | |
技能 | 外国料理の調理師、スポーツ指導者、航空機操縦士、貴金属等の職人 | 5年、3年、1年、または3月 | |
医療 | 医師、歯科医師、看護師等 | 5年、3年、1年、または3月 | |
研究 | 政府関係機関や企業等の研究者 | 5年、3年、1年、または3月 | |
法律・会計業務 | 弁護士、公認会計士等 | 5年、3年、1年、または3月 | |
宗教 | 外国の宗教団体から派遣される宗教家 | 5年、3年、1年、または3月 | |
報道 | 外国の報道機関の記者、カメラマン | 5年、3年、1年、または3月 | |
就労が制限されるもの | 特定技能1号 | 特定産業分野での労働 | 1年、6ヶ月、または4ヶ月(更新可) |
特定技能2号 | 特定技能1号に該当する職種で、さらに高度な技術を持つ労働者 | 無期限(更新可) | |
企業内転勤 | 外国の事業所からの転勤者 | 5年、3年、1年、または3月 | |
興行 | 俳優、歌手、ダンサー、プロスポーツ選手等 | 3年、1年、6ヶ月
、または3月 |
|
就労が認められないもの | 文化活動 | 日本文化の研究者や芸術活動家 | 3年、1年、6ヶ月、または3月 |
留学 | 大学、高等専門学校等の学生 | 4年3月、4年、3年3月、3年、2年3月、2年、1年3月、1年、6ヶ月、または3月 | |
研修 | 技能研修生 | 1年、6ヶ月、または3月 | |
観光・短期滞在 | 観光、親族訪問等 | 90日、30日、15日 | |
特定活動 | 特定活動(難民認定申請者) | 難民認定申請中の者 | 6ヶ月(更新可) |
特定活動(家事使用人) | 外交官や駐在員の家事使用人 | 5年、3年、1年、または6ヶ月 |
参考:)「在留資格一覧表」出入国在留管理庁
まとめ
この記事では在留資格の取得方法や種類について解説しました。現在在留資格を取得しようと思っている方や、外国人を採用しようと考えている企業の採用担当者様のお役に立てれば幸いです。
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