近年、人材不足などの影響から、外国人労働者の採用を実施する企業が多くみられるようになってきました。その際に外国人受け入れ研修を実施するか検討する方もいらっしゃると思います。
そこで今回は、
外国人受け入れ研修の目的は?
研修の実施方法や流れは?
研修後に行うことは?
など、まるごと解説します!
外国人受け入れ研修とは
外国人受け入れ研修は、日本の企業や団体が外国人労働者や留学生などを受け入れる際に実施する研修プログラムです。日本で必要となる知識やスキル・マナー、文化などを学びます。
受け入れ研修の目的
受け入れ研修の目的は主に5つあります。
・スムーズな社会・職場への適応
・文化理解と異文化交流の促進
・法的・行政的な知識の提供
・職場での円滑なコミュニケーション
・人材の定着と離職率の低減
それぞれについて詳しく解説します。
スムーズな社会・職場への適応
外国人が日本の社会や職場環境にスムーズに適応し、円滑に生活・働けるようにサポートする必要があります。
文化理解と異文化交流の促進
円滑に業務を進めるためには、日本人と外国人の双方が互いの価値観・文化の違いを理解しておく必要があります。
異なる文化的背景や習慣からくる仕事に対する異なるアプローチや、日本の一般的な社会習慣に関する認識は違います。外国人の価値観や文化は日本人の持っている価値観や文化と違うことがほとんどです。
法的・行政的な知識の提供
日本での生活に必要な法的・行政的手続きについての知識を提供する必要があります。これにより、外国人が適切な手続きを行い、法的な問題を避けることができます。法的・行政手続きには、在留資格の維持、税金、社会保険などが含まれます。
職場での円滑なコミュニケーション
職場でコミュニケーションスキルを向上させる必要があります。これにより、外国人労働者が日本人同僚や上司と円滑にコミュニケーションを取ることができ、職場の一体感や協力関係が強化されます。
人材の定着と離職率の低減
人材の定着と離職率の低減を図ることが必要です。
外国人労働者が仕事内容や労働環境に関して不明点や不平不満があっても、言語の壁や文化の違いから自分の意見を表現しづらいことがあります。
研修を通じて外国人労働者が職場に満足し、長期間働く意欲を持つことを促進しましょう。
外国人採用の注意点について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください!
外国人採用の注意点は?募集や採用時、採用後の3つの視点から解説!
受け入れ研修を行うメリット
受け入れ研修を行うメリットについて外国人人材側、日本人労働者側に分けて説明します。
・外国人労働者側
・受け入れ企業側
それぞれについて詳しく解説します。
外国人労働者側
受け入れ研修を行うメリットは主に3つあります。
・言語スキルの向上
・文化理解の促進
・キャリアの成長
それぞれについて詳しく解説します。
言語スキルの向上
研修を通じて日本語のスキルが向上し、職場でのコミュニケーションがスムーズになります。これにより、自信を持って仕事に取り組むことができます。
文化理解の促進
日本の文化や社会習慣に関する理解が深まり、職場での適応能力が向上します。異文化間のコミュニケーションや相互理解が促進され、職場でのストレスや誤解が減少します。
キャリアの成長
研修を受けることで、自己成長やキャリアの機会が広がります。新たなスキルや知識を身につけることで、将来のキャリアパスを拓くための基盤が築かれます。
受け入れ企業側
受け入れ研修を行うメリットは主に2つあります。
・グローバル化に適応しやすくなる
・イノベーション促進になる
それぞれについて詳しく解説します。
グローバル化に適応しやすくなる
外国人労働者との交流を通じて、国際的な視野が広がります。異なる文化や価値観を理解し、世界観を豊かにすることで、グローバルなビジネス環境においても適応力を身につけます。
イノベーション促進になる
外国人受け入れ研修を通じて、異なる文化やバックグラウンドを持つ同僚との交流が促進されます。多様な視点やアイデアが組織内に取り入れられ、イノベーションや問題解決能力が向上します。
研修を行う前の準備
研修を行う前の準備として、外国人労働者雇用労務責任者講習を受講することをおすすめします。
この講習では、外国人労働者がその能力を十分に発揮し活躍できる就労環境整備に取り組むために必要となる外国人雇用に関するルール・制度のほか、言語・文化の違いや必要な配慮などについて学ぶことができます。
詳しくは以下のサイトを参考にしてください。
出典:)「外国人労働者雇用労務責任者講習|厚生労働省」
研修の実施方法
研修の実施方法は主に2つあります。
・自社で行う
・外部委託する
それぞれについて詳しく解説します。
自社で行う
自社の社員やリソースを活用して研修を行うため、外部委託に比べてコストを抑えることができます。また、研修を自社で行うことで、外国人労働者が社内の文化や価値観に直接触れる機会が増えます。これにより、より良いチームワークやコミュニケーションが生まれる可能性が高まります。
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外部委託する
外部委託により、研修プログラムの設計から運営までを専門家に任せることで、効率的かつ円滑な運営が期待できます。企業内の負担を軽減し、時間や労力を節約できます。
研修の流れ
外国人受け入れ研修の流れは以下の図の通りです。
それぞれについて詳しく解説します。
研修プログラムの設計
研修する目的を明確化すること・研修内容を選定することが必要です。
・目的を明確化すること
・研修内容を選定すること
それぞれについて詳しく解説します。
目的の明確化
研修の目的を明確にし、何を達成したいのかを設定します。例えば、日本の文化理解、言語習得、職務内容の理解などです。また、外国人労働者によって日本語レベルが異なるので、それぞれにあった日本語レベルで研修を行うことが必要です。
研修内容の選定
研修プログラムを設計したら次に、具体的な研修内容を決定します。
例えば、以下のような内容を研修します。
日本語教育(基礎会話、専門用語)
日本の文化・生活習慣の説明
会社のルールやマナー
異文化コミュニケーション研修
労働法や労働条件の説明
職務に関する具体的な指導
安全教育(災害対策、職場での安全管理)
法的手続きとサポート
研修資料の準備
会社のルールや業務手順をまとめたハンドブックを用意します。スライド、動画、図解などを用いて視覚的に理解しやすい資料を作成するとよいでしょう。
研修講師の選定
自社の社員の中で、外国語が話せる人や異文化に理解がある人など、外国人労働者の指導に適した人を選びます。
必要に応じて、専門の研修講師を招きます。特に、日本語教育や文化理解に関する専門知識を持つ講師は役立ちます。
研修スケジュールの策定
研修期間や1日のスケジュールを詳細に決めます。初期の集中研修と、継続的なフォローアップ研修を組み合わせると効果的です。また、研修生の理解度に応じてスケジュールを調整しましょう。
フィードバックと改善
研修終了後にアンケートを実施し、研修生からのフィードバックを収集します。フィードバックを基に研修内容や方法を改善し、次回の研修に活かします。
研修を行う際の注意点
研修を行う際の注意点は主に3つあります。
・外国人労働者の価値観を尊重する
・外国人が十分に理解できる言語で実施する
・環境に合わせて適切な内容を伝える必要がある
それぞれについて詳しく解説します。
外国人労働者の価値観を尊重する
外国人労働者の価値観を尊重することは、彼らが職場で安心して働ける環境を作り、企業全体の活力を向上させるために非常に重要です。
外国人労働者が十分に理解できる言語で実施する
外国人労働者が十分に理解できるように研修を実施することが原則です。研修では専門的な用語や普段慣れない内容も含まれているので、日本語をある程度理解している外国人であっても理解しにくい場合があります。
簡潔で理解しやすい説明になるように工夫することが必要です。また、母国語で資料を作成するなど、必要に応じて対応することが重要です。
環境に合わせて適切な内容を伝える必要がある
環境に合わせて伝えなければならない情報はゴミ収集のスケジュールや分別方法、公共交通機関の利用方法、地域ごとの医療機関、緊急時の連絡先などです。
また、外国人労働者にとって日本は新しい環境です。冬季の寒さ対策や夏季の暑さ対策、積雪時の注意事項なども伝えましょう。
これらの情報は、特定技能外国人が地域社会に溶け込み、安心して生活できるよう支援するために重要です。事前に地域調査を行い、彼らのニーズに合った情報提供を行うことが求められます。
研修の実施例
ここでは外国人受け入れ研修を実施している企業を紹介します。
リスキル
リスキルの研修には3つの特徴があります。
1. 外国人労働者の特性を理解することができる
外国人労働者の現状や特徴を学び、さまざまな背景を持つ外国人労働者を受け入れることが当たり前であることを理解することができます。
2. 相手の状況に合わせたアプローチができる
異文化適用と言われるU時曲線を用いて、外国人労働者がどのように日本に適用していくのかを理解し、相手に合わせたアプローチができるようになります。
3. 外国人労働者への対応を実践的に身に付ける
ケースごとにあなたならどう対応するかを考えることで、実践的にスキルを身に付けることができます。
リスキルが行っている研修のカリキュラムは以下の通りです。
出典:)「外国人活躍推進研修|社員研修のリスキル」
研修後に行うこと
研修後にも実施すべきことが主に2つあります。
・フォローアップ体制の構築
・継続的な日本語学習支援
それぞれについて詳しく解説します。
フォローアップ体制の構築
研修終了後も、社内でメンターを設定し、外国人労働者が継続的にサポートを受けられるようにします。定期的に面談を行い、仕事や生活に関する問題や悩みを聞く機会を設けます。
継続的な日本語学習支援
研修終了後も、オンラインの日本語学習リソースやアプリを紹介し、自主学習をサポートします。
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まとめ
今回は、「外国人受け入れ研修」について紹介しました。
特に大事な点として、
研修を行うことで、外国人労働者だけでなく受け入れ側もメリットがあること
自社で行う場合、研修プログラムの設計が必要であること
研修後にも支援が必要になること
これら3点が挙げられます。
ぜひこの記事を参考にして今後の方針を立てていただけると幸いです。