外国人採用

外国人労働者の社会保険加入に必要な手続きは?方法や必要書類など解説!

少子高齢化に伴う、労働人口不足が問題になっている中、外国人労働者を雇用しようと検討している企業も多いのではないでしょうか?
そこで雇用するにあたって必要になる外国人労働者の社会保険制度について本記事では解説していきます。

社会保険制度とは

社会保険とは「健康保険」「厚生年金保険」「労災保険」「介護保険」「雇用保険」の5つで構成される公的な保障制度です。企業に務める正社員やアルバイト・パート(条件を満たす)労働者が加入する保険で、介護や失業や労働災害といった万が一のリスクに備えるための制度です。5つの保険のうち、狭義では健康保険、厚生年金保険、介護保険の3つをまとめて社会保険と呼び、労災保険と雇用保険を労働保険と呼ぶこともあります。

・健康保険
・厚生年金保険
・労災保険
・介護保険
・雇用保険

それぞれについて詳しく解説します。

健康保険

健康保険とは怪我や病気に伴う休業や死亡といった事態に備えて民間企業に勤めている人とその家族が加入している医療保険のことを指します。
ただ、必ずしも外国人労働者は健康保険に加入する必要はありません。以下5つの条件に当てはまる外国人労働者は健康保険の加入が義務になります。

・週の労働時間が20時間以上
・月額賃金が8.8万円以上
・2ヶ月を超える雇用の見込みがある
・学生以外(大学の夜間部の学生や休学している学生などは加入対象となります。)
・従業員が101人以上の事業所(令和6年10月からは51名以上)

厚生年金保険

「年金保険」とは生命保険の1種で保険金が一定期間に渡って分割されて給付されるものを年金保険といいます。年金保険には2種類あり「国民年金」と「厚生年金保険」があります。国民年金は20〜60歳の全国民が加入対象者となります。それに対して厚生年金は会社員または公務員が加入する年金で企業が運用する年金です。厚生年金は国民年金に上乗せされている制度です。

外国人労働者は日本人と同様に年金保険の加入が必要です。ここで注意が必要なのが、国民年金または厚生年金に加入していた外国人が日本を去る場合です。この場合「一時脱退金」が支給されます。以下7つが支給の条件です。

・日本国籍を有していない
・公的年金制度(厚生年金保険または国民年金)の被保険者でない
・国民年金※または厚生年金保険(共済組合等を含む)に6ヵ月以上加入していた
・老齢年金の受給資格期間(国民年金保険料納付済期間、厚生年金保険加入期間及び合算対 象期間を合わせて10年間)を満たしていない
・障害年金等の年金を受ける権利を有したことがない
・日本国内に住所を有していない
・最後に公的年金制度の被保険者資格を喪失した日から2年以上経過していない(資格喪失 日に日本国内に住所を有していた場合は、同日後に初めて、日本国内に住所を有しなく  なった日から2年以上経過していない)

出典:)「年金Q&A」日本年金機構

労災保険

労災保険とは雇用されている労働者が業務上または通勤による疾病・負傷・障害・死亡等に対して必要な保険給付を行う制度のことです。外国人労働者も労災保険に加入が必要となります。労働形態や国籍にかかわらず加入が義務であるため注意しましょう。万が一、不法労働者であっても労災保険は適用範囲になるため、加入する必要があります。

介護保険

介護保険とは介護が必要な方に費用を給付する制度です。皆で保険料を出し合い、介護が必要になった時にその費用を受け取る制度です。介護保険の加入は40歳以上から始まります。外国人労働者も介護保険に加入する必要があります。加入条件は以下3つの通りです。

①日本に3ヶ月を超えて滞在する
②40歳以上である
③日本に住所を所有している(住民基本台帳に登録している)

雇用保険

雇用保険とは失業した場合に給付を受けて労働者の生活の安定を目指し、再就職の援助を行うことが目的とした公的保険です。加入の対象となるには条件を満たしている必要があります。外国人の加入条件について下記で解説します。雇用保険も日本人同様に加入が必要です。加入に必要な条件は日本人と同じです。もちろん技実習生であっても条件を満たしていれば加入が可能です。以下3つが必要な条件です。

①1週間の労働時間が20時間以上である
②1ヶ月以上働く見込みがある
③学生ではない
※③の学生に関しては大学の夜間部の学生や休学している学生などは加入対象となります。

社会保険制度の加入は必要なのか

大前提、外国人を雇う場合どんな雇用形態であっても社会保険への加入が必要となります。
ただ、外国人労働者は社会保険加入が免除されることがあります。ここでは免除される条件について解説していきます。

免除される条件

免除される条件は2つあります。

・一時的に日本に来ている場合
・外国人がアルバイト・パートの場合

それぞれについて詳しく解説します。

一時的に日本に来ている場合

一時的に日本に来ている外国人は、社会保険の適用対象外となります。原則、3ヶ月以上日本に来て働く外国人は社会保険適用対象となります。したがって、3ヶ月以内の旅行者は適用対象外となります。

外国人がアルバイト・パートの場合

外国人がアルバイト・パートの時短労働者の場合は社会保険加入が免除になります。正社員と比較して、所定労働日数が3/4未満であれば、社会保険に加入する必要はありません。

社会保険加入の手続き方法

次に社会保険に加入する際の手続き方法について説明します。

・健康保険・厚生年金保険
・労災保険
・介護保険
・雇用保険

それぞれについて詳しく解説します。

健康保険・厚生年金保険

健康保険・厚生年金保険に加入するときは、事業主が「被保険者資格取得届」を日本年金機構へ提出する必要があります。被保険者資格取得届を提出する際は、「資格取得時の本人確認」を行い、手続きをします。また、マイナンバーを有していない短期在留外国人、海外居住者で、過去に本人確認を行っていない方は、書類の写しの送付が必要です。

短期在留している外国人の本人確認は以下の通りです。

・旅券の身分事項のページの写し
・①~③いずれかの写し
①旅券の資格外活動許可証印のページ
②資格外活動許可書
③就労資格証明書

日本国外に居住している方の本人確認は以下の通りです。

日本国内に居住している方に準じて、運転免許証、旅券(有効期限内のパスポート)、現地における公的機関の発行した資格証明書(写真付き)等の写しにより行います。

手続き内容、必要書類は以下の通りです。

出典:)「就職したとき(健康保険・厚生年金保険の資格取得)の手続き|日本年金機構」

労働保険

外国人労働者も労災保険に加入が必要となります。労働保険成立の手続き方法、保険給付を申請する際の手続き方法の2点について説明します。

・成立の手続き方法
・保険給付の手続き方法

それぞれについて詳しく解説します。

成立手続き方法

労働保険の適用事業となった場合、まず労働保険の保険関係成立届を所轄の労働基準監督署又は公共職業安定所に提出します。そして、その年度分の労働保険料は、保険関係が成立した日からその年度の末日までに労働者に支払う賃金の総額の見込額に保険料率を乗じて得られる金額となります。この金額を概算保険料として申告・納付します。

一元適用事業の場合は以下の通りです。

二元適用事業の場合は以下の通りです。

出典:)「労働保険の成立手続き|厚生労働省」

保険給付の手続き方法

保険給付を申請するためには、被災労働者またはその遺族が所定の保険給付請求書に必要事項を記載し、労働基準監督署長に提出する必要があります。

詳しくは以下の表を参考にしてください。

出典:)「保険給付の手続き|東京労働局」

労災保険料の算出方法

労災保険の保険料は、事業主が全額負担します。労災保険料は、従業員ごとに個別に計算する必要はなく、従業員の賃金の総額に業種ごとに定められた労災保険料率をかけて算出されます。算出方法としては以下の通りです。

労災保険料=賃金総額×労災保険率

業種によって異なる労災保険料率が設定されており、これはその業種における労災事故の発生率やリスクの程度に基づいています。したがって、従業員の賃金総額が高いほど、また業種によって異なりますが、保険料の金額も増加することになります。

労災保険率については以下のサイトを参考にしてください。
出典:)「労災保険率表|厚生労働省」

労働保険料の算出方法

労働保険料は、労働者に支払う賃金総額に労働保険料率(労災保険率+雇用保険率)を掛けた額になります。そのうち、労災保険分は全額事業主負担、雇用保険分は事業主と労働者両方で負担することになっています。
算出方法としては以下の通りです。

労働保険料=従業員に支払う賃金×労働保険料率

雇用保険料率については以下のサイトを参考にしてください。
出典:)「雇用保険率表|厚生労働省」

雇用保険は、失業や労働者の離職による給付を提供するための制度であり、労働者も一定の割合で保険料を負担します。従って、雇用保険料は事業主と労働者の双方からの負担がありますが、労災保険料は事業主が全額負担する点が異なります

介護保険

外国人労働者も介護保険に加入する必要があります。各市区町村窓口で介護保険に関する申請が可能です。詳しくはそちらに問い合わせてください。

雇用保険

雇用保険も日本人同様に加入が必要です。加入に必要な条件は日本人と同じです。事業所を管轄するハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出しなければならないこととなっています。
詳しくは以下の表を参考にしてください。

出典:)「外国人を雇用する事業主の皆さまへ 外国人労働者の雇用保険手続きをお忘れなく!|厚生労働省 都道府県労働局 ハローワーク」

手続きの際の注意点

注意点として手続きには日本語コミュニケーションが必要です。
保険に関する書類や手続きは日本語で行われることが一般的です。日本語が不十分な場合は、通訳や翻訳サービスを利用するか、雇用主や専門家にサポートを求める必要があります。

離職時の手続き

従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が退職や死亡、または契約変更等により健康保険・厚生年金保険の資格基準を満たさなくなった場合等、健康保険および厚生年金保険の資格を喪失する者(70歳以上被用者を含む)が生じた場合は、事業主が「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届/厚生年金保険70歳以上被用者不該当届」を提出します。

外国人が退職する際の手続きについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
【企業向け】外国人が退職した際の手続きについて!日本人と外国人で徹底比較

一時脱退金とは

一時脱退金は、厚生年金保険に加入していたが、その加入をやめる(脱退する)場合に支払われる一時的な給付金です。厚生年金保険制度では、加入期間に応じて厚生年金加入者やその家族に年金や給付金を支給しますが、加入者が組織を離れる際には、その加入期間や納付期間に応じて一時的な給付金が支給されることがあります。ただし、一時脱退金を請求することができる期間は2年以内です。

社会保障協定とは

社会保障協定とは二重の保険料負担を防ぎ、年金受給資格を確保するための制度です。加えて、出身国の社会保障協定を活用することで、将来的に帰国した際にもその国の年金制度を利用できます。

企業が外国人労働者を雇用する際には、その労働者の出身国が社会保障協定を結んでいるかを確認し、適切な対応を行うことが大切です。
企業の担当者が外国人労働者にこれらの制度について説明し、活用できるよう支援することは、労働者の安心感と就労意欲を高める重要な役割を果たします。

社会保障協定の締結状況については以下の表を参考にしてください。
出典:)「社会保障協定の締結状況|厚生労働省」

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まとめ

今回は、外国人労働者が社会保険に加入する方法や注意点について中心に解説しました。
保険制度は手続きが多く複雑になりやすいので、それぞれについて知ることが非常に重要です。
外国人労働者を雇用するか検討する際はぜひ参考にしてください。






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