少子高齢化により日本の生産年齢人口は今後も縮小していくことが予測されます。そのため、外国人を積極的に採用したいと考える企業は少なくないでしょう。
そこで、本記事では、
・外国人採用の流れ
・必要な手続き
・採用時の注意点
について外国人労働者を採用したい企業様向けに紹介していきます。ぜひ参考にしてください!
外国人採用手続きの流れ
まずは、外国人採用手続きの流れを解説します。日本在住の外国人と海外在住の外国人で採用手続きが異なるため、分けて解説します。
それぞれについて詳しく解説します。
出典:)「特定技能ガイドブック」出入国在留管理庁
日本在住の外国人の採用手続き
①(外国人が)試験に合格又は技能実習2号を修了
②特定技能外国人と雇用契約を結ぶ
③特定技能外国人の支援計画を策定する
④在留資格変更許可申請を地方出入国在留管理局へ行う
⑤「特定技能1号」へ在留資格変更
⑥就労開始
海外在住の外国人の採用手続き
①(外国人が)試験に合格又は技能実習2号を修了
②特定技能外国人と雇用契約を結ぶ
③特定技能外国人の支援計画を策定する
④在留資格認定証明書交付申請を地方出入国在留管理局へ行う
⑤在留資格認定証明書受領
⑥在外公館に査証(ビザ)申請
⑦査証(ビザ)受領
⑧入国
⑨就労開始
外国人採用前に確認すべき手続き
まず、外国人の採用をしようと考えたら募集を出します。そこで、すぐに面接を行うのは正しい判断とは言えません。日本人の採用とは違い、確認すべき点がいくつかあるためです。
ビザ・在留資格
ビザとは、日本語で査証ともいい、渡航先の国に事前に申請し、審査を経て発行される「入国許可証」ともいえるものです。
在留資格とは、外国人が日本に在留する間、一定の活動を行うことができること、または、一定の身分や地位を有する者としての活動を行うことができることを示す、「入管法上の法的な資格」のことです。在留資格の確認ポイントについては、次に詳しく解説しています。
■ビザについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください!
エンジニアビザとは?取得手順や注意、必要書類について詳しく解説!
試験
外国人が日本で特定技能の在留資格を用いて就労するときはほとんどの場合、日本語能力試験やその職業に関係する試験の受験、合格が必要です。合格前に内定を出すことは禁止されていませんが、合格しないと受け入れが認められないため注意しましょう。
■外国人採用における日本語能力試験に関しては下記の記事で詳しく解説しています。
外国人の採用手続き 在留資格の確認ポイント
外国人に与える就労を認めた資格を在留資格といいます。入管法上の法的な資格です。日本には29種類あります。
在留資格のなかには、日本での就労が制限されていないものや、就労が認められていないものがあります。そのため面接前にそもそも外国人求職者が日本で働くことができる資格を有するのかを確認しなければなりません。
在留資格の確認ポイントは4つあります。
・在留資格の確認方法
・就労に制限のない在留資格
・限定的に就労が許可される在留資格
・就業査証に属する在留資格
それぞれについて詳しく解説します。
在留資格の確認方法
在留カードを見れば、その人がどのような資格を有しているのかを確認することができます。確認ポイントは2つです。
①在留カード表面の「就労制限の有無」欄
・就労不可→原則雇用はできませんが、裏面の「資格外活動許可欄」によっては制限付きで可能
・在留資格に基づく就労活動のみ可→一部制限があるが、雇用は可能。制限内容を確認
・指定書により指定された就労活動のみ可→在留資格「特定活動」の場合にこの記載あり。この場合は「指定書」を確認
・就労制限なし
②在留カード裏面の「資格外活動許可」欄
・許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)
・許可(資格外活動許可書に記載された範囲内の活動)→資格外活動許可書で可能な範囲を確認
就労に制限のない在留資格
「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」に該当する場合は日本での活動に制限はありません。この在留資格を有する外国人の場合は心配せず採用することができます。
限定的に就労が許可される在留資格
「文化活動」「留学」「家族滞在」の資格は日本国内で収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行うことが認められていません。しかし「留学」「家族滞在」の在留資格を有している人が収入を伴う活動を行おうとする場合は就労先を特定せず、包括的に資格外活動許可を申請することができます。留学生のアルバイトが限定的に許可されるのもこのためです。
就業査証に属する在留資格
教授 | 芸術 | 宗教 | 報道 | 高度専門職1号 |
高度専門職2号 | 経営・管理 | 法律・会計業務 | 医療 | 研究 |
教育 | 技術・人文知識・国際業務 | 企業内転勤 | 興行 | 技能 |
特定活動 | 特定技能 |
これらが職業相談や職業紹介を受ける事ができる在留資格です。この在留資格で注意すべき点は、他の在留資格に属する収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行う場合は、資格外活動の許可又は在留資格変更の許可が必要になる点です。
■在留資格について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください!
外国人労働者の種類とは?在留資格やビザの分類、技能実習生との違いを解説
入社前の外国人の採用手続き
日本での就労に問題ないことがわかり、面接などの選考を通過して外国人を採用することが決まったら、行わなければならないことがあります。それは、日本人の採用手続きと同様のものもありますが、特に注意すべきこともあるため詳しく解説します。
入社前の外国人の採用手続きは主に2つあります。
・在留資格についての手続き
・労働契約書の作成
それぞれについて詳しく解説します。
在留資格についての手続き
在留資格については、先ほど解説しました。実際に働いてもらうことが決定した場合、国内・国外の外国人を採用する場合で手続きが異なります。
・国内の外国人を採用する場合
・国外の外国人を採用する場合
それぞれについて詳しく解説します。
国内の外国人を採用する場合
国内の外国人を採用する場合、以下2つに分けられます。
・在留資格をすでに持っていて、変更が必要ない場合
・在留資格を持っているが、変更が必要な場合
国外の外国人を採用する場合
国外からの外国人を採用する場合は、新しく在留資格の発行が必要になります。
■在留資格の変更方法や新規取得方法についてはこちらをご覧ください!
エンジニアビザとは?取得手順や注意、必要書類について詳しく解説!-エンジニアビザの取得手順
労働契約書の作成
外国人が入社する場合、ビザ申請に必要な書類の一部として、労働契約書や雇用条件通知書などの書類の写しを提出する必要があります。多くの国では、外国人が労働ビザを申請する際に、雇用関係の証明や雇用条件の明示が求められます。
入社後の外国人の採用手続き
外国人採用の場合は入社後にも必要な手続きがあります。日本人の採用の場合は必要ないことがほとんどであるため確認しておきましょう。
各種届け出
入社後も場合に応じて、届け出が必要になります。定期的に提出しなければならないものや、何か変更点があった場合にのみ必要とされる随時の届け出
などさまざまなです。詳しくは次で紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
在留資格の更新
在留資格は、永遠に認められるものではありません。最長で5年で、3年、1年又は3月の場合が多くなっています。期限が切れたまま就労していると、罰金を支払う必要があるため雇用主も気を付ける必要があります。
更新は有効期限が切れる三ヶ月前から申請が可能です。再申請には約一ヶ月かかるので、遅くても有効期限が切れる二ヶ月前には入国管理局へ再申請の手続きを進めましょう。
外国人採用手続きで必要な届出
外国人を受け入れる企業は、主に2つの届出が必要になります。
・定期的な届出
・変更等の必要に応じた届出
それぞれについて詳しく解説します。
定期的な届出
・特定技能外国人の受入れ状況や活動状況に関する届出
・支援計画の実施状況に関する届出
労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律に基づき、外国人を雇用する事業主は、外国人労働者(在留資格「外交」、「公用」及び特別永住者を除く)の雇入れ及び離職の際に、「外国人雇用状況の届出」を義務づけられています。(届出を怠ったり、虚偽の届出を行った場合には、30万円以下の罰金の対象となります。)
詳しくは、こちらの厚生労働省のページをご覧ください。
出典:)「外国人雇用状況の届出について」厚生労働省
変更等の必要に応じた届出
・特定技能雇用契約及び登録支援機関との支援委託契約に係る変更、終了、新たな契
約の締結に関する届出
・支援計画の変更に係る届出
・特定技能外国人の受入れ困難時の届出
・出入国又は労働関係法令に関する不正行為等を知った時の届出
・外国人を雇い入れた時または離職した時に氏名や在留資格等の情報を届出(地方出
入国在留管理局でなくハローワークに届け出)
外国人労働者の受け入れに関して、トラブルを防ぐためにも変更や問題があった場合は各種届出が義務づけられています。
■「外国人雇用状況の届出」についてはこちらの記事で紹介しています。
外国人採用手続きで必要になる書類
前述したようにどのようなことを申請するのかにより、必要な書類は異なります。しかし、例えばパスポートや在留カードなどは多くの場面で必要とされることが多い書類といえるでしょう。このように、外国人採用手続きで必要になる可能性の高い書類を解説します。
外国人採用手続きで必要になる書類を4つに分けて解説します。
・企業側の必要書類
・外国人労働者側の必要書類
・国内の外国人を採用する際の必要書類
・国外の外国人を採用する際の必要書類
それぞれについて詳しく解説します。
企業側の必要書類
書類が必要になるのは労働者だけではありません。受け入れ企業側も、場合によっては書類の提出が求められます。
雇用契約書
全部事項証明書(企業謄本)
決算報告書のコピー
会社案内などのパンフレットなど
社内の写真
雇用理由書
これらのものはあくまで一例であって、必ずしも求められるわけではない点や、このほかの書類が求められる可能性もある点に留意してください。
外国人労働者側の必要書類
在留資格の許可申請や変更申請で必要になる書類は先ほど述べましたが、それ以外の書類も場合によっては必要になります。例えば、これらのものです。
パスポート
在留カード
在職証明書や雇用契約書の写し
住民税の課税証明書
卒業証明書または卒業見込み書
在留期間更新許可申請書類
日本語検定の合格証明書
無犯罪証明書
国内の外国人を採用する場合
国内在住であり在留資格を持っているが、変更が必要な場合は在留資格変更許可申請をします。
在留資格変更許可申請の際の必要書類は以下の通りです。
・受入れ機関の概要
・特定技能雇用契約書の写し
・1号特定技能外国人支援計画
・技能を証明する資料
・日本語能力を証明する資料等
国外の外国人を採用する場合
国外からの外国人を採用する場合は、新しく在留資格の発行が必要になります。
在留資格「特定技能」の許可申請に必要な書類は以下の通りです。
・申請書(外国人・受入れ機関がそれぞれ作成)
・技能水準、日本語能力水準に関する書類
・ 労働条件に関する書類
・ 労働保険・社会保険・税に関する書類(外国人・受入れ機関)
・ 特定技能(1号)の外国人の支援に関する書類
生活面で必要なサポート
生活面でも主に以下4つのサポートが必要になります。
・携帯電話の登録
・銀行口座の解説
・住民登録
・社会保険に加入
それぞれについて詳しく解説します。
携帯電話の登録
IT化の進む現代社会において、携帯電話は必要不可欠です。そのため、外国人労働者や雇用予定がある方にとって携帯電話の契約は一つのハードルになります。
携帯電話の登録方法について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
外国人労働者におすすめの携帯契約は?雇用企業にできるサポートまで徹底解説!
銀行口座の開設
日本人の採用の場合は深く考える必要はなかったかもしれませんが、外国人を採用する場合は銀行口座の開設についてもサポートすべきです。
外国人が銀行口座開設には条件があり、以下の条件に当てはまっていなければなりません。
①仕事や留学で6ヶ月以上滞在する
②住民票を取得している
また銀行口座に関しても幅広くオプションがあるため、どの銀行口座が最適であるかは十分検討しましょう。
そして銀行口座開設には「印鑑」「電話番号」「住所が確認できる書類」「本人確認書類」が必要であるため、これらを必ず持参して銀行口座を開設してもらいましょう。
■銀行口座の開設についてはこちらの記事で紹介しています。
住民登録
外国人採用において住民登録は、雇用主や外国人従業員にとって非常に重要な要素です。雇用主としては、外国人従業員が正当な身分で雇用されており、法的手続きが適切に行われていることを確認する責任があります。
また、外国人従業員も住民登録を適切に行い、日本での生活や労働に必要な法的地位を維持する必要があります。加えて、マイナンバーを取得するためには、住民登録が必須なので必ず住民登録を行いましょう。
■外国人のマイナンバー取得についてはこちらの記事で紹介しています。
社会保険に加入
外国人も社会保険に加入しなければなりません。外国人本人の意向で社会保険の加入の可否が決まるものではなく、会社が社会保険に入る義務があります。
健康保険・厚生年金
手続き期間は事実発生から5日以内と短いので注意しましょう。事業主が「被保険者資格取得届」を日本年金機構へ提出します。「被保険者資格取得届」の提出の際には資格取得時の本人確認が必要となるため、マイナンバーなどの本人確認書類を用意しましょう。
雇用保険に加入する
雇用保険も日本人と同様に、要件を満たす場合は加入する必要があります。手続きはハローワークで行い、手続き期間は被保険者となった日の翌月10日までとなります。
以下が加入の条件なので条件を満たしている場合は加入手続きを行いましょう。
①1週間の労働時間が20時間以上である
②1ヶ月以上働く見込みがある
③学生ではない
※③の学生に関しては大学の夜間部の学生や休学している学生などは加入対象となります。
労災保険に加入する
労災保険ももちろん外国人に対しても適用新ます。従業員を1人でも雇用している場合は法人・個人事業にかかわらず強制適用事業所となり加入が義務となります。
万が一、不法労働者であっても労災保険は適用範囲になるため注意しまよう。
■外国人の社会保険についてはこちらの記事で紹介しています。
外国人を採用する際の注意点
外国人を採用する際の手続きに関する注意点を3つ紹介します。
・在留資格を確認する
・同一労働・同一賃金を守る
・採用・離職時の届出が必須である
それぞれについて詳しく解説します。
在留資格を確認する
外国人を採用する際には、その人が日本で働くための在留資格を持っているかどうかを確認する必要があります。在留資格は、外国人が日本で合法的に滞在し、働くことを許可されるための資格です。留学生ビザ、技術・人文知識・国際業務ビザ、永住者ビザなど、さまざまな種類の在留資格があります。採用する候補者が適切な在留資格を持っていることを確認することは、雇用主の責任です。
同一労働・同一賃金を守る
同一労働、同一賃金制度をきちんと守りましょう。外国人だからと言ってこれらの条件を破ることは許されません。外国人労働者に対して差別的な待遇をすることは違法であり、また倫理的にも望ましくないでしょう。
すべての労働者が同じ仕事を同じ条件で行い、同じ報酬を受け取ることが、社会的責任の一環として求められます。
採用・離職時の届出が必須である
外国人を雇用する場合、雇用主は雇用状況の届出を提出する必要があります。これは外国人労働者の雇用状況を役所に報告する手続きであり、日本の法律で義務付けられています。雇用状況の届出には、雇用する外国人の基本情報や雇用条件、在留資格、在留期間などが含まれます。
したがって、届出は外国人の労働者が適切な在留資格を持っていることを確認するための重要な手段でもあります。義務を破ると30万円以下の罰金が科される恐れがあるので注意しましょう。
外国人採用の注意点について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
外国人採用の注意点は?募集や採用時、採用後の3つの視点から解説!
外国人採用で利用できる支援を紹介
外国人を採用する際は、その国の法律やビザの規定に従う必要があります。手続きは地域や国によって異なるため、専門家の助言を得ることが賢明です。
外国人採用をする際に活用できる支援を4つご紹介します。
・人材紹介サービス
・出入国在留管理庁
・登録支援機関
・行政書士
それぞれについて詳しく解説します。
人材紹介サービス
外国人人材紹介サービスとは、外国人を採用したい企業と働きたい外国人のマッチングをおこない、両者の雇用契約成立をサポートするサービスです。
人材の選定や紹介のほかに、採用に関わるさまざまな業務を代わりにおこないます。例えば、求人票の作成や面接日程の調整、応募者への合否連絡などの事務的業務から、ビザ申請や住居の紹介も担うサービスもあります。
人材紹介会社は、厚生労働大臣に許可を得た「有料紹介所(※)」として、マッチングから選考のサポートまでをサービスとして提供しています。
おすすめの外国人人材紹介会社について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
外国人人材紹介会社おすすめ8選徹底比較!料金相場、メリットなどご紹介
出入国在留管理庁
出入国在留管理行政の基本的な役割は、人権を尊重しつつ、出入国及び外国人の在留の公正な管理を図ること、難民を保護すること、そして外国人の受入れ環境整備に係る総合調整を行うことです。
登録支援機関
登録支援機関は、特定技能制度において非常に重要な役割を果たす組織や機関です。特定技能外国人が日本での労働活動や生活を円滑かつ安定的に行うために、特定技能所属機関(受入れ企業)から委託され、在留期間中の支援計画策定と実施を担当します。
行政書士
外国人採用の手続きは複雑であり、法的な規制や手続きに詳しい専門家の助けが非常に役立ちます。行政書士は、雇用法や移民法の専門知識を持っており、採用プロセスやビザ申請に関するアドバイスや支援を提供することができます。彼らのサービスを利用することで、法的なリスクを最小限に抑えながら効率的に採用手続きを進めることができます。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。本記事では、外国人の採用手続きについて必要書類を含めて詳しく解説しました。日本人の雇用と異なる点も多くあるため不安な点も多いでしょう。ぜひ本記事を参考に外国人採用を円滑に進めましょう。