技能実習

技能実習生の送り出し機関は必須?選び方や業務内容、問題点まで解説

技能実習生の送り出し機関 は必須?選び方や業務内容、 問題点まで解説

技能実習生の送り出し機関とは?基本情報や選び方も解説

「送り出し機関」とは、技能実習や特定技能などの制度を利用し、日本で働きたい外国人を送り出す機関の総称です。
外国人を雇用する企業が、直接送り出し機関と関わる機会はほとんどないため、

・技能実習での送り出し機関とは?特定技能のものとは何が違うのか
・送り出し機関の業務内容と認定要件
・【例付き】国ごとに特有な送り出し機関について
・どのような基準で送り出し機関を選ぶべきか?

など、さまざまな疑問や不安を抱える方が多いかもしれません。

本記事では送り出し機関の基本情報と選び方について、詳しく解説します。

技能実習における送り出し機関とは

結論、送り出し機関とは、海外現地から日本に技能実習生を送り出す団体や企業のことを指します。

送り出し機関は、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則」の第23条2項において、

「団体監理型技能実習生になろうとする者からの団体監理型技能実習に係る求職の申込みを適切に本邦の監理団体に取り次ぐことができる者として主務省令で定める要件に適合するもの」

と定義されています。

技能実習制度では送り出し機関の利用がほぼ必須です。多くの実習機関が「団体監理型」を採用しており、この形式では送り出し機関を通じて技能実習生を募集・選抜し、渡航前の準備を行います。送り出し機関は、技能実習生と日本の監理団体との間で連絡を取り次ぐ役割も担います。

団体監理型とは、非営利の管理団体が技能実習生を受け入れ、その傘下にある企業や組織で技能実習を実施する方式です。

以前は、技能実習の準備に関与する外国の機関をすべて送り出し機関としていましたが、定義が変わってからは、技能実習の準備に関与する現地機関の中でも、監理団体に求職の申込みを取り次ぐ機関に限定して送り出し機関としています。
下記の図表も参考にしてください。

引用元:新たな外国人技能実習制度についてー厚生労働省

技能実習生制度について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

技能実習制度が廃止?新たに登場する新制度「育成就労」も含めて解説!

新制度と旧制度でどう変わった?

新しい送り出し機関制度と以前の制度の最も大きな違いは、送り出し機関の定義とその機能の再編成です。

以前の制度では、技能実習生の母国で活動する外国の機関が広義の「送り出し機関」として扱われていました。しかし、新しい制度では、これらの機関が日本の監理団体に技能実習生を推薦する役割を果たす場合にのみ「送出機関」とされます。

同様に、以前の制度では、送り出し機関は技能実習生の募集、選抜、推薦、そして渡航前の事前講習など、多岐にわたる役割を担っていました。しかし、新しい制度では、監理団体に対する技能実習生の求職申込みの仲介を行うかどうかに基づいて、「外国の送出機関」と「外国の準備機関」に分類されることになりました。

つまり、新しい制度では送り出し機関の役割がより具体化され、その機能が監理団体との関係性によって再編成されたという点が大きな違いと言えます。

特定技能での送り出し機関との違い

送り出し機関の役割は、特定技能と技能実習の制度によって異なります。それぞれの在留資格に応じて異なる要件や規制があるため、送り出し機関の役割も異なるのです。

特定技能における送り出し機関の役割

特定技能制度では、送り出し機関の主な役割は外国人労働者の募集です。送り出し機関は候補者が日本語能力と技術レベルの試験に合格しているかを確認し、日本の受け入れ機関に紹介する役割を担います。

しかし、特定技能制度においては送り出し機関の利用は必須ではありません。企業が直接採用活動を行うことが可能な場合は、送り出し機関を利用せずに外国人労働者を受け入れることができます。

特に、日本国内で「技能実習2号」を良好に修了した外国人は、特定技能の在留資格に移行できるため、送り出し機関を経由せずに受け入れを進めることが容易です。また、一部の国では、特定技能に関する覚書を締結しており、その場合は外国側の指定送り出し機関を経由した採用が必要となることもあります。
技能実習制度においては、送り出し機関が重要な役割を果たしており、多くの企業が送り出し機関と契約し、この団体監理型を活用しています。このため、送り出し機関と言えば技能実習制度を連想する人が多いでしょう。

特定技能制度について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

[8選]特定技能1号と2号の違いについて解説!取得方法から共通点まで

送り出し機関の問題点と注意点

技能実習生と聞くと、失踪などの問題点をイメージする人も多いかもしれません。この問題の背景には、制度上の課題と送り出し機関の問題が存在しています。技能実習制度では、実習生が転籍することが原則として認められておらず、実習先を変更することが難しい状況です。

そのため、受け入れ企業が法令に違反する雇用条件や過度な労働を強いる場合でも、実習生はその場を離れることが困難です。

さらに、多くの実習生は借金を背負って来日しているため、収入が途絶えることを避けるために失踪を余儀なくされるケースがあります。本来、技能実習法では違約金の徴収は禁止されていますが、実際には多額の費用を要求されることがあり、それが失踪の一因となっています。日本政府は、送り出し国との二国間協定を通じて悪質な送り出し機関の排除に努めていますが、依然として違法就労や劣悪な労働環境が問題となっています。

悪質な送り出し機関の影響とトラブルの発生

悪質な送り出し機関の存在は、実習生や受け入れ企業に多くの問題を引き起こします。これらの機関は、実習生から手数料や保証料などの名目で多額の費用を徴収し、その結果として実習生が借金を背負い、失踪や不法就労に追い込まれることが多々あります。

また、悪質な送り出し機関は、実習生に対して正確な情報を提供せず、日本での生活や労働条件についての適切な説明を行わないことがあります。

送り出し機関の教育と支援の問題

送り出し機関の質の低い日本語教育や不十分な事前教育も問題です。多くの送り出し機関では、日本語教育が短期間で行われ、教育の質が低いことが多いです。その結果、実習生は日本での生活や業務に適応できず、職場内でトラブルを引き起こすことがあります。送り出し機関を選定する際には、事前教育の内容や期間、教育担当者のスキルなどを確認することが重要です。

監理団体との癒着と不正な費用徴収

悪質な送り出し機関は、監理団体と癒着し、受け入れ企業に対して過度な接待を行うことがあります。また、送り出し機関から監理団体への不正な手数料のキックバックやブローカーへの報酬が発生しているケースもあります。これらの不正な費用は、実習生が多額の借金を背負う一因となり、失踪や不法就労を引き起こす原因となります。

アフターフォローの不足

送り出し機関は、実習生の入国後もサポートを提供する責任がありますが、多くの機関はこれを十分に果たしていません。送り出し後の支援が不十分であったり、無責任な対応が見られる場合、実習生は問題を抱えたまま放置されることがあります。これにより、受け入れ企業も困難な状況に直面し、実習生との間でトラブルが発生する可能性が高まります。

送り出し機関の認定要件

送り出し機関は公的機関の推薦を受けた団体や企業に限られ、認定を受けるためには特定の要件を満たさなければなりません。
送り出し機関として認定されるには、公的機関の推薦が必要であり、さらに規則第25条で定められた基準をクリアすることが求められるのです。下記にいくつか抜粋して紹介します。

・所在する国の公的機関から技能実習の申込みを適切に日本の監理団体に取り次ぐことができるものとして推薦を受けていること。
・技能実習生等から徴収する手数料その他の費用について、算出基準を明確に定めて公表するとともに、当該費用について技能実習生等に対して明示し、十分に理解をさせること。
・技能実習を修了して帰国した者が、修得した技能を適切に活用できるよう、就職先のあっせんその他の必要な支援を行うこと。
・フォローアップ調査への協力等、法務大臣、厚生労働大臣、外国人技能実習機構からの要請に応じること。
・保証金の徴収その他名目のいかんを問わず、技能実習生の日本への送出しに関連して、技能実習生又はその家族等の金銭又はその他の財産を管理しないこと。
・技能実習に係る契約不履行について、違約金を定める契約や不当に金銭その他の財産の移転をする契約を締結しないこと。

引用元:新たな外国人技能実習制度についてー厚生労働省

送り出し機関の業務内容

送り出し機関の業務内容は以下の通りです。

・実習生候補者の募集・選考
・入国前研修(マナーや文化)
・出国の手続き(ビザ・パスポート)
・日本滞在中の支援、問題への対応
・帰国の手続き
・フォローアップ

それぞれについて解説します。

実習生候補者の募集・選考

まず、送り出し機関は技能実習生を希望する候補者の募集を行います。
その際受け入れ企業は、監理団体に受け入れたい技能実習生の条件(性別、年齢、学歴など)を伝えます。監理団体は条件を送り出し機関に伝え、送り出し機関は現地で条件に合う技能実習生を募集します。その後送り出し機関が、さらに、技能実習法に定められた要件を満たしているかどうかを厳格にチェックし、応募者の中から条件に合う人材を選びます。

入国前研修(マナーや文化)

次に、選抜された技能実習生候補者は、入国前に必要な教育を受けます。
技能実習生の入国前に、日本で生活していくうえで必要となる日本語や日本の文化、ルール・マナー、現場で必要な実技などを教える研修を実施します。研修期間は、約6か月間程です。教育の最後には、実技試験や最終面接が行われ、これに合格した者が正式に日本へ送り出されます。

出国の手続き(ビザ・パスポート)

技能実習生が日本に渡航する際には、送り出し機関が出国に必要な手続きは行います。具体的には、技能実習生の健康診断を実施し、その結果を日本の監理団体に報告します。また、監理団体から在留資格認定証明書が送付されたら、技能実習生のパスポートやビザの申請手続きを行います。さらに、渡航に必要な書類の準備やフライトの手配など、細かな手続きも全て支援します。

日本滞在中の支援、問題への対応

日本に滞在している技能実習生の状況把握を行います。具体的には、技能実習生が日本で円滑に生活できるように、住居の確保、生活用品準備、銀行口座の開設、保険加入などを行います。

また、送り出し機関の役割は、技能実習生を日本に送り出した後も続きます。本滞在中の技能実習生の現状を把握し、定期的に連絡を取り合うことで、実習生が順調に実習を進めているか確認が必要なのです。もし金銭トラブル、病気、雇用主の法令違反などの問題が生じた時に対応します。

帰国の手続き

技能実習修了後は、帰国に必要な手続きや、母国の家族への連絡などを行います。また、払い過ぎた厚生年金の返金手続きも行います。

フォローアップ

技術等を修得した技能実習生が本国でそれを活用しているかどうかについてのフォローアップを行います。具体的には、研修生が帰国後、 本国において一定期間、日本で学んだ技術等を活用する業務に従事しているかどうかを確認することです。

【二国間協定】送り出し機関の国ごとの事情

二国間協定とは、日本と外国人労働者の送出国の間で締結される公式な取り決めです。この協定の目的は、外国人労働者の雇用をスムーズに進めることと、彼らを保護することにあります。具体的には、悪質な仲介業者を排除し、公正で安全な労働環境を確保することが重視されています。

日本は、技能実習制度と特定技能制度の運用において、複数の国と二国間協定を結んでいます。これらの協定は、「技能実習に関する協力覚書」と「特定技能に関する協力覚書」として知られています。これらの協定により、送り出し機関と受け入れ機関の間での手続きが円滑に進むようになり、労働者の権利が守られる仕組みが整えられています。

二国間協定について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

【国別】特定技能での二国間協定(MOC)の役割、目的、各国の特徴を解説

フィリピン

日本国法務省、外務省、厚生労働省とフィリピン共和国労働雇用省との間の 技能実習制度に関する協力覚書によると、フィリピンでは、MWO(旧POEA:駐日フィリピン共和国大使館海外労働事務所)認定の送り出し機関を通じて人材の紹介や雇用契約の締結をする必要があります。

フィリピンから受け入れる場合
出典:)「特定技能に関する国別各情報 」出入国在留管理庁

ベトナム

日本国法務省、外務省及び厚生労働省とベトナム労働・傷病兵・社会問題省 との間の技能実習制度に関する協力覚書によると、ベトナムでは、ベトナム労働・傷病兵・社会問題省海外労働管理局(DOLAB)から認定された送り出し機関を通じて人材の紹介や雇用契約の締結をする必要があります。

ベトナムから新たに受け入れる場合
出典:)「特定技能に関する国別各情報 」出入国在留管理庁

ミャンマー

日本国法務省、外務省、厚生労働省とミャンマー労働・入国管理・人口省と の間の技能実習制度に関する協力覚書】によると、ミャンマー政府から認定を受けた現地の送り出し機関を通じて人材の紹介や雇用契約の締結をする必要があります。また、 特定技能外国人として来日予定のミャンマー人は、海外で就労する場合にはMOLIPにOWIC( Overseas Worker Identification Card )の申請を行う必要があります。

ミャンマーから受け入れる場合
出典:)「特定技能に関する国別各情報 」出入国在留管理庁

送り出し機関の選び方

送り出し機関を選ぶ際に重要なポイントは以下の通りです。

・政府認定の送り出し機関か
・十分なフォローをしているのか
・日本国内に駐在事務所や支社を置いているか

それぞれについて解説します。

政府認定の送り出し機関か

政府認定の送り出し機関かどうかは、重要なポイントです。政府認定の送り出し機関は、送り出し国の政府に、適正に業務を遂行していることを審査で認められている機関となります。信頼できる政府認定の送り出し機関の方が、トラブルに巻き込まれる可能性が低いです。

政府認定かどうかは、外国人技能実習機構のウェブサイトなどで確認できます。

十分なフォローをしているのか

技能実習生の入国前研修(日本語、ルール、マナー)や日本滞在中の支援(住居の確保、生活用品準備、銀行口座の開設、保険加入、緊急時の対応など)を適切に行っているのか確認しましょう。

まず送り出し機関が提供する入国前の教育内容を確認しましょう。日本語の教育や日本のルール・マナーについての教育は当然のこととして、実習を行う分野に関する専門的な教育も行われているかどうかが重要です。適切な教育が行われていれば、労働者が迅速に日本の生活や仕事に適応でき、スムーズに業務を遂行できるようになります。

また、技能実習生が帰国した後、就職支援などのフォローをしっかりと行っているのかも確認しましょう。

日本国内に駐在事務所や支社を置いているか

日本国内に駐在事務所や支社を置いているかどうかも重要なポイントになります。トラブル発生時、日本国内に駐在員がいると、監理団体と連携して即座に対応ができて便利です。また、技能実習生が、母国語で相談できる駐在員が日本国内にいる送り出し機関を選ぶと良いでしょう。

送り出し機関の規模、実績、および紹介可能な候補者数

長期間にわたって活動している大規模な送り出し機関は、多数の候補者を確保し紹介できる能力を有しており、その経験豊富なサポートは非常に信頼性が高いです。これにより、企業が求める人材の要件に迅速に対応し、適切なマッチングを提供することが期待できます。

また、現在紹介可能な候補者の人数も重要な指標です。これは、機関のリソースが豊富であることを示し、スムーズな人材供給が可能であることを意味します。具体的には、候補者数が多いほど、企業の求める特定のスキルセットや経験を持つ人材を見つけやすくなります。
また、教育を担当するスタッフの経歴も見逃せないポイントです。

特に介護や医療といった専門的な分野では、スタッフが実際に日本での就労経験を持っているかどうかが極めて重要です。日本での実務経験があるスタッフが教育を担当することで、候補者に対して実践的かつ現場に即した指導が可能となり、労働者がスムーズに日本の職場環境に適応できるようになります。

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まとめ

本記事では、送り出し機関の基本情報と選び方について、詳しく解説しました。送り出し機関を利用したい方はぜひご活用ください。






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