特定技能

在留資格「特定活動」と「特定技能」の違いと移行方法をわかりやすく解説!

特定技能 特定活動 アイキャッチ

日本では、近年「特定活動」や「特定技能」という新たな在留資格が導入され、特定分野での労働力不足に対応するため、外国人労働者の受け入れが進められています。これらの資格は、特定の職種や状況に基づいて発給され、一定の条件を満たすことで取得可能です。

これらの資格には、対象となる産業や在留期間、就労条件が詳細に規定されており、外国人労働者が日本で合法的に働くためには、労働内容にあった在留資格を取得することが求められます。

本記事では、外国人労働者の受け入れに関する「特定活動」と「特定技能」の違い、それぞれの申請プロセス、そして申請時に注意すべきポイントについて解説します。

在留資格「特定活動」とは

「特定活動」は、法律で定められた在留資格に当てはまらない活動を行う外国人に対して許可される在留資格です。日本政府が指定する特定の活動を行うために必要なビザで、様々な形態の活動に対応しています。例えば、ワーキングホリデー、企業内転勤、留学後の就職活動などが含まれます。最近では、特定技能への変更を希望する外国人労働者が「特定活動」を一時的に取得するケースも増えています。

特定活動の種類

特定活動は以下の3種類に大別されます。以下でそれぞれについて解説します。

・出入国管理及び難民認定法(入管法)で規定される特定活動
・告示内特定活動
・告示外特定活動

出入国管理及び難民認定法(入管法)で規定される特定活動

入管法では、特定の活動を行うために個別に在留資格が付与される場合があり、その活動は法律によって定義されています。主に、法的に認められた特別な活動を目的とするケースが対象となります

例えば、高度専門職としての活動、外交官やその家族のサポート活動、特定の文化交流や学術的活動のような活動があります。また、こうした活動と併せて関連する事業を自ら経営する活動も含まれます。

告示内特定活動

告示内特定活動は、出入国在留管理庁が告示する内容に基づいて認められる在留資格です。告示で定められた活動の範囲内であれば、特定活動ビザが発給されます。代表的なものには、留学生の就職活動や、外国企業からのインターンシップ参加者などが含まれます。

実際、告示内の特定活動には、以下の活動が含まれます。在留資格の「特定活動」と「特定技能」の違いと関係性をわかりやすく解説!1

出典:)「在留資格 「特定活動」告示一覧表 」法務省

告示外特定活動

「告示外特定活動」は、告示されている範囲外の活動ですが、個別に出入国在留管理庁が許可する場合があります。この場合は、通常の在留資格の要件に該当しませんが、日本での滞在が必要と認められる特別なケースです。

■特定活動について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
特定活動ビザの種類とは?就労可否や指定書、雇用の注意点について解説

在留資格「特定技能」とは

在留資格「特定技能」とは、特定の産業分野で深刻な人手不足を補うために、一定の専門技能を持つ外国人労働者を受け入れる制度です。2019年に導入されたこの資格は、主に建設業や介護業、農業など12種類の産業分野に適用されています。「特定技能」は1号と2号に分かれており、1号は最大5年間の在留が認められる一方、2号では更新さえ行えば半永久的に在留な在留が認められます。資格取得には、技能試験や日本語能力試験の合格が必要です。

「特定技能」1号と2号の比較

「特定技能」には、1号と2号の2つの区分があります。以下でその詳細を比較します。

項目 特定技能1号 特定技能2号
在留期間 上限5年 更新回数に制限なし(実質的な永住が可能)
技能水準 指導者の監督の元作業が行える程度の技能 管理監督まで行える程度の技能
日本語能力 日本語能力試験「N4」または国際交流基金日本語基礎テスト「A2」レベル以上 試験などでのレベル確認は原則不要
家族帯同 原則として不可 可能(配偶者と子)
対象分野 12分野すべて 介護以外の11分野

また、対象となる12の産業分野は以下の通りです。
①介護 ②ビルクリーニング ③素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 ④建設 ⑤造船・舶用工業 ⑥自動車整備 ⑦航空 ⑧宿泊 ⑨農業 ⑩漁業 ⑪飲食料品製造業 ⑫外食業特定技能 範囲
出典:)「【2024年7月更新】特定技能2号の対象分野が拡大|新しく4分野の新規追加」Divership

注意点

特定技能1号では、原則として家族の帯同は認められません。また、在留中は、受入れ機関を変更することが可能ですが、同じ産業分野内に限られます。そのうえ、特定技能1号の在留期間は最長5年です。

▪特定技能について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
在留資格の特定技能制度とは?外国人が就労可能な職種、試験・移行までを解説!

特定活動と特定技能の違い

「特定活動」と「特定技能」は、どちらも日本の在留資格であり、名称も似ているため混同しがちですが、異なるものです。これらの資格を持った外国人を採用しようと考えている企業は十分な注意が必要です。

資格の取得目的の違い

まず、資格の取得目的が異なります。「特定活動」は個別に指定された特定の活動を行うために与えられる一時的な資格で、例えば、アマチュアのスポーツ選手やスキーインストラクターなど、様々な産業分野、業種に適用されます。

一方、「特定技能」は特定の産業分野で技能を持つ労働者が即戦力として働くことを目的としています。実際、「特定技能」を取得した外国人は以下の12種類の業務にのみ従事可能です。

在留期間の違い

また、在留期間も異なります。「特定活動」は活動内容に応じて在留期間が異なり、5年、3年、1年、6月、3月又は法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)と規定されています。「特定技能」1号は最大5年間までの在留が認められており、2号は3年・1年・6カ月ごとの更新を行えば半永久的な在留が認められています

家族帯同が可能かどうか

「特定活動」ビザを持つ人が家族を日本に呼び寄せることができるかどうかは、ビザの種類により異なります。例えば、高度専門職や医療滞在ビザの所持者は、家族を呼び寄せることが認められる場合がありますが、留学生やインターンシップ参加者の場合は制限されることが多いです。

また、「特定技能1号」では家族の帯同は認められていませんが、「特定技能2号」では家族帯同が可能です

「特定活動」外国人と「特定技能」外国人を雇用する際の注意点は?

以上で紹介した点も含めて、「特定活動」外国人と「特定技能」外国人を雇用する際の注意点を以下で紹介します。

活動内容

「特定活動」外国人を雇用する場合、「特定活動」は個別の活動内容に応じて発行されることに注意が必要です。「特定活動」外国人は、特定の目的や活動のために日本に滞在しているため、その範囲を超えた業務に従事することは原則認められません。つまり、雇用する際は、活動内容が在留資格に適合しているかを確認する必要があります。

一方、 「特定技能」は、12種類の産業分野に従事する技能労働者が対象となります。特定技能外国人が従事できる業務内容は分野ごとに限定されており、許可された分野以外の業務に従事することはできません。そのため、雇用する際は、その労働者が認められた分野で適切な業務に従事しているかを確認する必要があります。

どちらの在留資格を持っている外国人でも彼らの従事可能な業務を正しく把握することが肝要です。外国人が保有している在留カードに彼らの活動内容が記載されているため、「特定活動」外国人と「特定技能」外国人を雇用する際は彼らの在留カードを入念にチェックするようにしましょう。在留資格の「特定活動」と「特定技能」の違いと関係性をわかりやすく解説! 2

雇用契約と待遇

「 特定活動」外国人の活動内容が学業やインターンシップなどの場合、雇用契約に基づく労働ではないことが多いため、雇用条件が厳密に定められていない場合があります。この場合、労働基準法が定めるアルバイトの規定を満たしていれば、特定活動外国人を雇うことができます。外国人側は出入国在留管理庁にアルバイトの申請が必要なことに注意が必要です。

「特定技能」外国人を雇う際には労働契約が必要であり、雇用者は日本人労働者と同等の待遇を提供することが求められます。具体的には、賃金、労働時間、福利厚生などが公平に扱われることが重要です。また、労働契約の内容が「特定技能」ビザの要件を満たしているかどうかも確認する必要があります。

参考:)「同一労働同一賃金ガイドライン」厚生労働省

■特定技能の労働条件について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
特定技能外国人受け入れにかかる費用は?費用相場、本人負担の額まで解説!

家族の帯同

「特定活動」ビザを持つ人が家族を日本に呼び寄せることができる場合は、ビザの種類により異なります。高度専門職や医療滞在、起業家ビザの所持者は、家族を呼び寄せることが認められる場合がありますが、留学生やインターンシップ参加者の場合は制限されることが多いです。

期日内に「特定技能」への変更が難しい場合は?

現在保有している在留資格を「特定技能」への変更することが時間的に難しい場合は、「特定活動」を取得しましょう。実際、「特定活動」は「特定技能」への変更が時間的に厳しい場合の一時的なつなぎの資格として利用されることが多いです。特に、「特定技能1号」への在留資格変更を希望している方で、在留期限までに必要な書類を揃えられない場合や、移行準備に時間がかかる場合に「特定活動(4ヶ月・就労可)」の在留資格変更を申請することができます

この「特定活動」の資格を取得すれば、受入れ機関で働きながら、特定技能への移行準備を進めることが可能です。就労条件は、特定技能人材と同様に、同じ職種・勤務時間での労働が許可されています。しかし、この期間中の在留期間は、「特定技能1号」の通算在留期間(最大5年間)に含まれる点には注意が必要です

特定技能の変更に関する特例措置の要件

「特定活動」から「特定技能」への変更を希望する場合、以下の要件を満たすことで特例措置が適用されます。

・特定の産業分野で人手不足が顕著であること。
・該当する外国人が一定の技能や経験を有していること。
・特定技能への変更手続きに遅れが生じている、もしくはすぐに変更が困難な事情があること。
・申請人の在留期間の満了日までに「特定技能1号」への在留資格変更許可申請を行うことが困難な合理的な理由があること。
・受入れ機関において「特定技能1号」に該当する業務に従事する予定であること。
申請人が「特定技能1号」と同等、または日本人が従事する場合と同等以上の報酬を受けること。
・必要な技能試験および日本語試験に合格していること(技能実習2号良好修了者等で試験が免除される場合も含む)。
・受入れ機関や支援委託先が申請人の在留中の日常生活等に係る支援を適切に行うことが見込まれること。
・受入れ機関が申請人を適正に受け入れることが見込まれること。

出典:)「特定技能関係の特定活動(「特定技能1号」への移行を希望する場合)」出入国在留管理庁

特定技能1号の申請をする際の手続き

以下で特定技能1号の申請をする際の具体的な手続きを紹介します。

1. 技能試験と日本語試験の受験

特定技能1号の取得には、以下の2つの試験に合格する必要があります。

技能試験

各特定産業分野で必要とされる技能を評価する試験であり、分野ごとに異なる試験が実施されます。

日本語試験

日本語能力を評価する試験であり、以下のいずれかの試験で一定以上のスコアを獲得する必要があります。

・日本語能力試験(JLPT)N4以上
・国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)

2. 雇用先の確保

特定技能1号での就労には、受入れ機関(雇用先)が必要です。また、企業側も満たすべき要件が存在し、雇用契約の内容が適切である(日本人と同等以上の報酬など)必要があります。

3.在留資格認定証明書の申請

申請に必要な書類を準備します。主な書類は以下の通りです。

・在留資格認定証明書交付申請書
・写真(指定の規格を満たした写真を用意し、申請書に添付して提出)
・返信用封筒(定形封筒に宛先を明記の上、必要な額の郵便切手(簡易書留用)を貼付したもの)
・口上書その他外国政府又は国際機関が発行した身分及び用務を証する文書

以上の書類を、地方出入国在留管理局に提出し、在留資格認定証明書交付申請を行います。

参考:)「在留資格認定証明書交付申請」出入国在留管理庁

5. 審査と結果通知

入国管理局での審査後、結果が通知されます。審査期間は通常1〜3ヶ月程度で、申請が許可された場合、在留資格認定証明書が発行されます。

6. ビザの申請

在留資格認定証明書を取得後、その証明書を用いて、日本大使館または領事館でビザを申請します。

7. 日本への入国

ビザを取得後、日本に入国します。入国時に在留カードが発行されます。

8. 就労開始

受入れ機関での就労を開始します。適切な雇用契約に基づいて就労し、受入れ機関による支援を受けながら日本での生活を始めます。

まとめ

在留資格「特定活動」は多岐にわたる活動をカバーし、外国人の日本滞在を支援するために設けられた在留資格です。その一方、「特定技能」は特定の産業分野に特化した在留資格です。両者の特性を十分に理解したうえで外国人を雇用するようにしましょう。この記事が現在在留資格を取得しようと思っている方や、外国人を採用しようと考えている企業の採用担当者様のお役に立てれば幸いです。

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