技能実習

特定技能と技能実習10個の違い!移行もできる?メリットなど徹底比較

特定技能と技能実習10個の違い!移行もできる?メリットなど徹底比較

外国人労働者の受け入れについて、
「特定技能」や「技能実習」・「育成就労」という言葉を多く聞くと思います。
どちらも外国人在留資格の一つですが、内容は全く異なります。

・特定技能と技能実習【新制度】育成就労の違いは何?
・どちらの制度がより自社に合っているの?

など、さまざまな疑問や悩みを持つ方も多いでしょう。

この記事では、特定技能と技能実習、【新制度】育成就労について、それぞれの違い、メリット・デメリットなどを詳しく解説します。

特定技能、技能実習とは?

そもそも、「特定技能」「技能実習」とはそれぞれどのような制度なのでしょうか。

特定技能制度

特定技能制度とは、日本国内の人手不足を解消するための制度です。

在留資格「特定技能」は2019年4月に導入され、日本国内で深刻な人手不足がある特定産業分野(合計12分野14業種)において、即戦力として活躍できる外国人材が日本で働くことができます。

この在留資格には、「特定技能1号」と「特定技能2号」という2つのカテゴリがあり、1号は12分野(以前は14分野)を対象とし、2号は介護分野を除く11分野に適用されています。

技能実習制度

技能実習制度は、開発途上国出身の方に、日本の高い技術を現場での実習を通して習得してもらい、母国にその技術を広めてもらうという国際貢献を目的とした制度です。

1993年に設立された「技能実習制度」は、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(通称「技能実習法」)第一条で述べられている通り、主に以下の2つの目的を持っています。

・技能実習の適正な実施: 技能実習の実施を適切に監督し、実習生が適切な環境で技能を習得できるように保護します。

・国際協力を促進: 技能、技術、知識の移転を通じて、開発途上地域への国際協力を推進します。

注意点として、2024年3月15日の閣議決定により、現行の技能実習制度に代わる新たな外国人雇用の制度として育成就労が創設されます。
政府は2027年にも新制度開始を見込んでいるため、まだ具体的な日程が定まったわけではありませんが、あと3年ほどで技能実習制度が廃止される予定となっています。

特定技能と技能実習10個の違い

特定技能制度と技能実習制度の違いは、主に以下の10つが考えられます。

1.制度の目的
2.作業内容
3.職種
4.技能水準
5.試験
6.転職の可否
7.在留期間
8.家族滞在の可否
9.受け入れ人数
10.関係団体

以下詳しくご紹介していきます。

1.制度の目的

特定技能と技能実習では、制度の目的が大きく異なります。

・特定技能:人手不足解消
・技能実習:国際貢献
・育成就労:特定技能1号水準の技能を有する人材の育成や人材確保

特定技能制度では、国内人材を確保することが困難である産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れる制度で、日本国内における人手不足解消を目的としています。

一方で、技能実習制度では、発展途上国の人材に、日本の高い技術を現場での職務経験を通じて習得してもらい、帰国後に培った技術を広めてもらう、という国際貢献が主な目的です。

しかし、技能実習の実態は、「日本企業の人手不足を解消する手段であり、待遇もあまり良くない」といった、制度の目的と乖離しており、国際的な批判を浴びるなどのマイナス面が生まれていたと考えられています。

この点を解消するため、育成就労の目的を、「企業の人材を確保し、外国人材を育成する」という、実態に即した方向性へ変更しました。

この制度の目的の違いが、それぞれの在留資格における違いに大きく影響しています。

2.作業内容

作業内容に関しても両者には違いがあります。

・特定技能:単純労働可
・技能実習:単純労働不可
・育成就労:単純労働不可

技能実習生は専門性の高い作業を学びに日本に来ているため、単純労働を行うことはできません。
特定技能は人手不足の解消が目的であるため、専門的な知識を必要としない単純労働を行うこともできます。技能実習生は専門性の高い作業を学びに日本に来ているため、単純労働を行うことはできません。ただし、特定技能は単純労働のみに従事させるものではないことに注意しましょう。

3.職種

特定技能と技能実習では受け入れられる職種が異なります。

特定技能を受け入れ可能な職種は、特定技能1号が12分野、特定技能2号が2分野あり、その詳細は以下の通りです。

<特定技能1号による外国人受け入れ分野>
・介護分野
・ビルクリーニング分野
・素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野
・建設分野
・造船・舶用工業分野
・自動車整備分野
・航空分野
・宿泊分野
・農業分野
・漁業分野
・飲食料品製造業分野
・外食業分野

<特定技能2号による外国人受け入れ分野>
・建設分野
・造船・舶用工業分野

それぞれの内容については、以下の表をご参考ください。

特定技能の職種

【参考文献】出入国在留管理庁 特定技能 ガイドブック

一方、技能実習については、90の職種が受け入れ可能です。
大まかな分野については、農業、漁業、建設、食品製造、繊維・衣服、機械・金属など多岐に渡ります。
詳しい職種については外国人技能実習機構の「移行対象職種情報」をご参考ください。

一方、育成就労制度は、受入れ可能な職種が特定技能と同一分野に限定されています。
対象となる職種は以下の12分野に絞られています。

・介護
・ビルクリーニング
・建設
・農業
・漁業
・飲食料品製造業
・外食業
・宿泊業
・自動車整備
・航空業
・製造業(機械金属、電気・電子、食品製造など)
・船舶業(造船・船用工業)

技能実習と育成就労の違いについては以上の通りです。
以下の職種は、現段階において育成就労では受入れが出来なくなる可能性があります。

繊維・衣服関係
コンクリート製品製造
ゴム製品製造
印刷系
スーパーマーケット内の食料品製造
輸送系機械・器具製造
紙器系製造
木材加工
1年のみの実習

4.技能水準

求められる技能水準も、特定技能と技能実習において大きく異なります。

・特定技能:一定以上の知識を有する
・技能実習:習得する必要なし
・育成就労:習得する必要なし

特定技能は1号・2号ともに、入国・雇用する時点で、その分野における一定以上の知識を有していることが条件となります。人手不足解消のため、即戦力となる人材が求められると言えます。

技能実習は入国前に特定の技能を習得する必要はありません。
育成就労は特定技能1号水準の技能を有する人材を育成することや人材確保が主な目的であるため、日本語レベルは必要ですが、特定の技能を事前に習得する必要はありません。

5.試験

外国人労働者が制度を利用する際に合格する必要のある試験も異なります。

・特定技能:「特定技能評価試験」と「日本語能力試験」
・技能実習:介護職種のみ日本語能力検定N4レベル
・育成就労:日本語能力試験N5レベル

特定技能では、「特定技能評価試験」と「日本語能力試験」の合格が条件です。
即戦力として働いてもらうために、一定以上の技術・ハイレベルな日本語力が求められます。

技能実習の場合は、介護職種のみ日本語能力検定N4レベルであることが求められますが、その他の職種では特に受験必須の試験はありません

育成就労の場合は、日本語能力の取得が要件となり、より具体的に日本語能力の向上を図る仕組みが導入されています。具体的には、外国人が就労開始前に、日本語能力A1相当以上の試験(日本語能力試験N5等)に合格することを求めています。
または、相当の日本語講習を受講することが要件とされています。

6.転職の可否

特定技能と技能実習では、転職可否が異なります。

・特定技能:転職可
・技能実習:転職付加
・育成就労:転職可

特定技能は「就労」なので、同じ職種であれば転職可能です。
一方、技能実習は、あくまでも「実習」であり、就労している訳ではないため、転職と言う概念自体が存在せず、職場を変えることはできません。
育成就労は外国人材への人権確保が目的であるため、転職可能です。

7.在留期間

在留期間も、制度により決まりが大きく異なります。

特定技能の在留期間は、特定技能1号が通算5年、特定技能2号が上限なしです。

技能実習は1号が1年以内、2号が2年以内、3号が2年以内(合計最長5年)と期間に限りがあります。

一方、「育成就労」は、3年の在留期間が基本となります。

8.家族滞在の可否

家族滞在とは、「就労」または「留学」の在留資格保持者の家族が日本に在留することができる資格です。

家族滞在は、「特定技能2号」でのみ、母国にいる配偶者並びに子供に限り、認められています。特定技能2号の資格要件は厳格で、5年目を迎える特定技能外国人は制限されているため、この資格を持つ外国人はごく一部です。

9.受け入れ人数

特定技能と技能実習は受け入れ人数にも差異があります。

・特定技能:制限なし
・技能実習:制限あり
・育成就労:制限の可能性あり

特定技能では、人手不足の解消が目的であるため、受け入れ人数に制限がありません。ただし、建設業と介護業には制限があります。

一方技能実習の目的は、「母国に日本の高い技術を広めてもらうこと」であるため、適切な指導ができるよう、受け入れ人数には制限があります。

育成就労では、分野ごとの上限が決まる可能性があります。

特定技能でも、建設・介護分野に限り制限が設けられているため、注意が必要です。

10.関係団体

特定技能と技能実習には、混同されやすい関係団体が存在します。

・特定技能:登録支援機関
・技能実習:監理団体
・育成就労:監理支援機関

登録支援機関は、特定技能制度におけるサポート団体を指します。特定技能外国人が日本での生活から仕事に至るまでのあらゆる側面を支援する団体で、これには民間企業も参加できます。

企業内で特定技能外国人への支援を行う場合は、登録支援機関を利用する必要はありません。

監理団体は、技能実習プログラムにおいて実習が適切に実施されているかを確認するための団体で、主に実習先の企業の監督を担当します。監理団体は非営利法人の協同組合によって運営されており、民間企業は参加できません。
さらに、監理団体は実習実施期間を3か月に一度以上監査し、必要に応じて指導を行います。
育成就労では、監理団体に代わる「監理支援機関」について、外部監査人の設置を許可
要件とします。また、外国人技能実習機構に代わる「外国人育成就労機構」が設立される予定です。

特定技能外国人受け入れのメリット・デメリット

特定技能外国人を受け入れる際のメリット・デメリットについて詳しく解説します。

特定技能外国人受け入れのメリット

特定技能制度で外国人を受け入れるメリットについてご紹介します。メリットは主に4点あります。

・即戦力を手に入れ、人手不足を解消できる
・助成金・補助金を貰える
・フルタイムでの雇用ができる
・短期間での離職のリスクが低い

それぞれについて詳しく解説します。

即戦力を手に入れ、人手不足を解消できる

上でも述べたように、特定技能制度で外国人が働くためには、「特定技能評価試験」と「日本語能力試験」の合格が条件となります。特に、前者は合格率が20%ほどと低く、合格者の知識・技術の高さが伺えます。
仕事面でのスキル、日本語力がともに担保された人材を雇用することができるでしょう。

それと同時に、制度自体の目的でもある「人手不足解消」を実現することもできます。
近年こくないでの人材不足が深刻化するなか、海外の技術力の高い人材を雇用できることは、効果的な手段と言えます。

助成金・補助金を貰える

助成金は、対象者や対象活動などの基準を満たしていれば、ほぼ100%受給できます。 申請期間も長期間に渡り、随時募集されていることが多いため、受給しやすいといえます。 一方、補助金は、基本的に企業の事業をサポートするものであるため、予算が限られていて、定員も設定されており、採択されない場合もあります。

このように、外国人を採用することは金銭的なメリットもあるといえます。

■助成金・補助金に関しては下記の記事で紹介しています。
【2024年】外国人雇用支援の助成金・補助金一覧!受給額や要件を解説

フルタイムでの雇用ができる

一般の在留資格では、勤務時間が制限されており、アルバイトしか許可されないことがあります。一方で、特定技能外国人は特定分野を除いて、通常は直接雇用が基本です。

さらに、フルタイムでの雇用も可能で、日本人従業員と同等の労働条件を求めることができます。

短期間での離職のリスクが低い

特定技能外国人は、技能資格を持つ分野内での転職が認められています。

ただし、異なる技能分野への転職は許可されていないため、転職が頻繁に行われることは考えにくいでしょう。

■特定技能外国人を採用するメリットに関しては下記の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
特定技能外国人を雇用するメリット・デメリットは?問題点やサービスも解説

特定技能外国人受け入れのデメリット

特定技能制度で外国人を受け入れるデメリットをご紹介します。デメリットは主に3点あります。

・手続きに時間的コストがかかる
・在留期間に注意が必要である
・人材紹介料が高い

手続きに時間コストがかかる

特定技能制度で外国人を受け入れる際には、出入国在留管理庁への申請に加えて、分野によっては受け入れる外国人の母国機関とのやりとりが必要になります。
外国人人材採用の代行サービスや支援機関を利用すれば、手続きをよりスムーズに行えるといえるでしょう。

■外国人採用の手続きについてはこちらをご参考ください
外国人採用のノウハウを伝授!費用やメリット、おすすめ人材紹介会社まで徹底解説!

在留期間に注意が必要である

特定技能2号には在留期間の制限がありませんが、特定技能1号には制限があります。
どの分野でも在留期間は「最長5年」とされており、期間を満了すれば母国への帰国か在留資格の変更が必要です。
継続して雇用をしたい場合は、外国人本人に在留資格を変更してもらう必要があります。

在留期間の制限のない「技術・人文知識・国際業務ビザ」や、特定技能2号は、取得が難しいため、可能ですが事例は多くありません。

人材紹介料が高い

人材紹介サービスを利用する場合、当然利用料がかかります。
料金形態は、成果報酬制や月額制など、サービスにより様々ですが、一人当たりの採用費用が高くなることは否めません。

■特定技能外国人を採用するメリット・デメリットに関しては下記の記事でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
特定技能外国人を雇用するメリット・デメリットは?問題点やサービスも解説

技能実習生受け入れのメリット・デメリット

技能実習生を受け入れるメリット・デメリットについて詳しく解説します。

技能実習生受け入れのメリット

特定技能制度で外国人を受け入れるメリットをご紹介します。メリットは主に3点あります。

・雇用の安定化が期待できる
・人件費・求人広告費を抑えられる
・職場の活性化に繋がる

それぞれについて詳しく解説します。

雇用の安定化が期待できる

技能実習は国際貢献が目的ではあるものの、企業側にとって3〜5年間という一定期間、意識の高い技能実習生の力を借りられることは大きなメリットと言えます。

あくまで実習であるゆえに、転職という概念がないことから、離職のリスクもありません。

人材不足が深刻な業界では技能実習生を活用することで、雇用の安定化を図っている企業が多くあります。
前提として目的が国際貢献であることは十分に理解した上で、実習生と企業双方にメリットをもたらす環境づくりが大切です。

人件費・求人広告費を抑えられる

近年人件費が高騰している上、募集に費用をかけてもなかなか人材が集まらず採用が難しい、という業界もあります。

技能実習生は「低コストで受け入れ可能」なわけではありませんが、通常、派遣労働者を雇用したり、求人広告費を負担したりするよりも、技能実習生を採用することがコスト面で有益であることが多いです。

職場の活性化に繋がる

技能実習生は10代から30代の比較的若い世代が多いため、職場の活性化が期待できます。

例えば、慢性的な職員の高齢化に悩んでいる企業は海外からの技能実習生を受け入れることで、従業員が先輩や指導員としての自覚をもち、より高い意欲を持って仕事に取り組めるようになるでしょう。

日本語が完璧とは言えない技能実習生とのやりとりを通じて、職場でのコミュニケーションがより頻繁になり、交流が活発化することも考えられます。

技能実習生受け入れのデメリット

技能実習生を受け入れるデメリットは以下の3点です。

・受け入れ体制の拡充が必要となる
・技能水準や日本語能力が乏しいケースがある
・受け入れまでに外部コストがかかる

受け入れ体制の拡充が必要となる

技能実習生は、専門性の高い技術を学びに日本に来ます。そのため、受け入れ側にも相応の育成・指導環境が求められます。

また、十分な指導を行えるよう受け入れ人数に制限が設けられるため、自社がどれほどの受け入れが可能であるのか、それによってどのくらいの雇用が確保でき、利益が生まれるのか、を慎重に検討する必要があります。

技能水準や日本語能力が乏しいケースがある

特定技能とは対照的に、介護職以外の外国人技能実習生には特定の技能水準や入国時の試験などが義務付けられていません。彼らは数ヶ月間の日本語学習を通じてスキルを向上させることになりますが、通常、十分な日本語理解力を身につけるには時間が不足しています。

そのため、企業が「教育が必要であり、コミュニケーションが困難である」と感じることがあります。特に、コミュニケーションの課題は、母国から離れて働く技能実習生にとって大きな懸念事項です。

受け入れ企業は、実習生の状況を理解し、技能の教育だけでなく、日本の習慣や言語に関するコミュニケーションの側面にも注意を払う必要があります。彼らに対する十分なサポートと配慮が不可欠です。

受け入れまでに外部コストがかかる

技能実習生を受け入れる際には、以下の対応事項が必要になります。

・通常、海外の派遣機関を介して実習生の選定
・面接
・事前トレーニング

以前はこれらの面接は主に現地で行われていましたが、コロナ禍以降ほとんどがオンラインで実施されています。企業は技能実習生を独自に受け入れることも可能ですが、通常は送り出し機関と契約し、技能実習計画の策定、在留資格の申請など、多くの文書作成と申請手続きを行う必要があります。

このため、多くの企業は選定から実習生の入国後までのサポートを含めて監理団体に依頼することが一般的です。企業と実習生の間に介在する組織が増えることから、コストが膨らみます。

特定技能外国人と技能実習生どちらを採用するか

特定技能制度と技能実習制度はその内容が大きく異なります。
外国人人材の採用を検討している企業は、特定技能外国人と技能実習生どちらを選べば良いのでしょうか?
検討材料は主に3つあります。

・求めるスキル要件を明確にし検討する
・業務可能な資格をもつ外国人を選ぶ
・コストを比較して選ぶ

それぞれについて詳しく解説します。

求めるスキル要件を明確にし検討する

自社が求める人材の職種・スキル要件を改めて明確にしましょう。もし、高度な知識・スキルを必要とする即戦力人材を求めているのなら、特定技能制度の方がその条件に当てはまる人材を確保できます。

一方、社内の活性化・グローバル化への第一歩として、また国際貢献として、外国人人材を採用したい、と考えているのなら、技能実習の方が、その目的を満たすでしょう。
技能実習制度を活用する際には、外国人材を実際に指導できる自社人材が十分に確保できていることが必要です。

業務可能な資格をもつ外国人を選ぶ

最初に、働いてほしい業務や職種に適した資格をもつ外国人を採用することが重要です。

在留資格には就労が許可されているものと許可されていないものがあります。許可のない
在留資格で雇用することは違法で、雇用主は不法就労助長罪で懲役や罰金の対象になる可能性があります。

技能実習の場合、業務は非常に具体的に規定されています。許可された業務の範囲外での作業は禁止されており、軽微な作業であってもそれを超える業務を実行することはできません。広範かつ簡単な労働を求める場合は、特定技能資格での雇用を検討することがおすすめです。

コストを比較して選ぶ

特定技能と技能実習生の採用におけるコストは、それぞれで異なっています。また、コストに関しても、時間的なコストと経済的なコストの2つの軸で検討することできるでしょう。

外国人採用が急務であるのか?外国人採用にどれだけのお金をかけることができるのか?という2つの論点から、特定技能と技能実習どちらを選択するのか決めましょう。

特定技能生受け入れ機関の条件

実際に外国人人材を受け入れる際、企業はどのような条件を満たしていれば良いのでしょうか?

出入国在留管理庁は、「特定技能外国人受入れに関する運用要領」にて、特定技能外国人を受け入れる機関の条件を定めています。

実際に受け入れる際はこの資料にしっかりと目を通しましょう。
ここでは、特定技能生を受け入れる際の条件について、簡単に説明していきます。

以下の4つの点を特に意識しましょう。

・各種法令を遵守していること
・外国人と適切な契約を結ぶこと
・外国人を支援する体制があること
・外国人の支援計画が適切であること

それぞれについて詳しく解説します。

各種法令を遵守していること

当たり前のことですが、雇用主企業が社会保険や労働保険、租税などの各種法令を遵守している企業でなければ、特定技能生を受け入れることができません。
簡単にいうと、「受け入れ企業自体が適切である」と認められる必要があります。

外国人と適切な契約を結ぶこと

特定技能制度では外国人と受け入れ機関が直接雇用契約を結ぶことが原則となっています。
その際外国人だからと言って、日本人と比べて不当な条件で労働することのない、適切な契約を結ぶことが絶対です。

具体的には以下の事例が挙げられます。

・報酬額が、日本人が従事する場合の額と同等以上である
・外国人であることを理由として、報酬の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的な取り扱いをしていないこと

外国人を支援する体制があること

外国人の支援制度を登録支援期間に全て委託する場合を除き、受け入れ機関は外国人を支援する体制を整える必要があります。
出入国在留管理庁の運用要領を注意深く確認しましょう。
逆に言えば、支援体制の条件を満たしていない時、登録支援機関への支援委託は必須となります。

外国人の支援計画が適切であること

運用要領にもある通り特定技能制度では、外国人を支援するための計画を「支援計画書」として作成し、入管に提出する必要があります。
支援計画が適切であること、それをしっかりと実行できることが大切です。

また、この支援計画書は日本語での作成だけでなく、雇用される外国人が十分に理解できる言語で作成しなければなりません。

特定技能生受け入れの流れ

実際にどのような流れで外国人人材を受け入れるの?と疑問を持つ方も多いでしょう。
ここでは、特定技能生の受け入れ手続きの流れを説明します。
受け入れる外国人人材が、「国内に在留している外国人」か「海外から来日する外国人」かによって手続きが少し異なります。

国内に在留している外国人の場合

国内に在留している外国人が特定技能制度を利用して日本で働く際には、技能実習2号を終了している場合、または特定技能試験に合格している場合が考えられます。

流れは以下の通りです。

1.外国人が技能実習2号を修了、または試験に合格
 受け入れ機関は求人募集を行う
2.外国人が求人に申し込み、人材紹介会社の求職斡旋を受ける
3.外国人と受け入れ機関の間で特定技能雇用契約の締結
4.受け入れ機関が自力で、または登録支援機関に委託し、1号特定技能支援計画を策定
5.外国人と受け入れ機関(そして、登録支援機関)が入管当局へ在留資格認定・変更の申請
6.当局で審査され、審査通過
7.受け入れ機関にて稼働開始(登録支援機関は外国人支援を開始)

海外から来日する外国人の場合

海外から来日する外国人が、特定技能試験に合格し、就労を始める際の流れは以下の通りです。

1.外国人が試験に合格
 受け入れ機関は求人募集を行う
2.外国人が求人に申し込み、人材紹介会社の求職斡旋を受ける
3.外国人と受け入れ機関の間で特定技能雇用契約を結ぶ
4.契約の締結後、外国人は健康診断の受診等を行う並行して、受け入れ機関が自力で、または登録支援機関に委託し、1号特定技能支援計画を策定
5.外国人と受け入れ機関(そして、登録支援機関)が入管当局へ在留資格認定・変更の申請
6.当局で審査され、審査通過
7.在外公館に査証(ビザ)申請
8.査証(ビザ)受領
9.入国
10.受け入れ期間にて就労開始

日本に在留している外国人と比べて、入国に際するビザ取得の手続きや健康診断の受診が必要となります。

技能実習生受け入れの流れ

ここでは、技能実習生の受け入れ手続きの流れを説明します。
実習生の受け入れには2つの方法があります。それぞれの概要と技能実習開始までの流れについて解説していきます。

・団体監理型
・企業単独型

それぞれについて詳しく解説します。

団体監理型

団体監理型とは、営利を目的としない日本の公的な「商工会議所」「商工会」「事業協同組合などの中小企業団体」「公益法人」などが監理団体として送り出し機関と契約を行います。受け入れ企業は監理団体に加盟し、 監理団体の指導や監督のもとで、技能実習生を受け入れます。

団体監理型で企業が行うべき技能実習開始の流れを解説していきます。

1.受け入れ企業は監理団体に技能実習生受け入れ申込みを行う
2.技能実習生と雇用契約を締結します。
3.実習計画の作成、外国人技能実習機構への申請
4.監理団体の支援のもと技能実習生を受け入れ
5.技能実習開始

以上が団体監理型で受け入れ企業が行う技能実習開始までの流れになります。

企業単独型

企業単独型とは、日本の企業の海外支店や海外の取引先企業の職員を受け入れる場合のみ可能です。海外支店の従業員等を来日してもらうことで技能を獲得してもらう場合で利用されます。受け入れ企業内で従業員が移動するだけですので、送出機関と監理団体を介す必要がありません。

企業単独型で企業が行うべき技能実習開始の流れを解説していきます。

1.受け入れ企業と技能実習生候補者で雇用契約を結ぶ
2.実習計画の作成、外国人技能実習機構への申請
3.在留資格認定証明書の交付申請を地方出入国在留管理局に行う
4.技能実習生候補者に在留資格認定証明書を送付
5.技能実習生の受け入れ
6.技能実習開始

以上が企型単独型で受け入れ企業が行う技能実習開始までの流れになります。

■外国人を採用する際の流れに関しては下記の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
外国人の採用前から入社後に必要な手続きは?必要書類や注意点について解説

技能実習から特定技能に移行できる?その方法とは

技能実習は、

・制度の制約が厳しい
・せっかく人材を育てても、母国に帰ってしまう

など、企業からすると利用しにくいと感じるかもしれません。

ですが、在留資格を技能実習から特定技能に移行することも可能です!技能実習2号を2年10カ月以上修了した技能実習生は、同職種の分野に限り、特定技能1号へ移行することができます。
移行方法について、以下4つに分けて詳しく解説します。

・移行可能な要件
・移行可能な職種・作業
・移行する際の流れ
・移行する際の注意点

それぞれについて詳しく解説します。

移行可能な要件

「技能実習」から「特定技能」移行の条件は、以下の2点です。

・技能実習2号を良好に終了していること
・技能実習の職種/作業内容と、特定技能1号の職種に関連性が認められること

書類だけで手続きが可能なので手軽に移行できます。

移行可能な職種・作業

対象職種は以下の12種類です。

・介護業
・ビルクリーニング業
・素形材産業・産業機械製造業・電気電子情報関連産業
・建設業
・造船・舶用業
・自動車整備業
・航空業
・宿泊業
・農業
・漁業
・飲食料品製造業
・外食業

移行する際の流れ

技能実習から特定技能へ移行する際の流れは主に2つに分けられます。

・必要書類を用意する
・地方出入国在留管理局に提出する

それぞれについて詳しく解説します。

必要書類を用意する

申請に必要な書類は以下の通りです。

〇 申請書(外国人・受入れ機関がそれぞれ作成します。)
〇 技能水準、日本語能力水準に関する書類
〇 労働条件に関する書類
〇 労働保険・社会保険・税に関する書類(外国人・受入れ機関)
〇 特定技能(1号)の外国人の支援に関する書類
など・・・

地方出入国在留管理局に提出する

必要書類が完成したら、地方出入国在留管理局に提出します。

移行する際の注意点

注意点は以下の2点です。

・技能実習の職種、特定技能1号の職種に関連性が認められるか
・技能実習生時代に納税や届出の義務を守っているか

それぞれについて詳しく解説します。

技能実習の職種と特定技能1号の職種との関連性

技能実習2号を良好に修了した人材が、技能や日本語の試験が免除されるというのは、一般的な規定です。この場合、技能や日本語の試験が免除されることにより、特定技能の外国人として直接的に日本での就労が可能となります。ただし、試験の免除については技能実習の職種/作業内容と、特定技能1号の職種に関連性が認められることが条件です。

技能実習生時代に納税や届出の義務を守っているか

技能実習時代に納税や届出の義務を遵守しているかを確認することは、特定技能への切り替え時に非常に重要です。事前に自身の納税や届出の状況を確認し、未納税があれば納税し、未届の書類があれば速やかに入局管理局に説明するなどの対処を行うことが重要です。これにより、特定技能への切り替え時のスムーズな審査が可能となります。

それでも採用に迷ってしまった場合の2つの対処法

上の章で外国人人材受け入れについて、大まかなイメージをつかめたでしょうか?まだ外国人人材採用を行うかどうか迷っているという方は、以下2つの手段を検討してみてください。

・外部に委託する
・採用ペルソナを見直す

外部に委託する

1点目は外部に委託することです。具体的には、以下のようなサービスが挙げられます。

・人材紹介サービス
・採用コンサルティング

これらのサービスは、採用のプロフェッショナルが集っているため、外国人の採用ノウハウを基に会社の採用課題を洗い出してくれるでしょう。採用課題が明確になることで、外国人を採用すべきか否かを検討することができるようになると考えられます。

採用ペルソナを見直す

2点目は、採用ペルソナを見直すことです。外国人を採用するか否か悩んでしまっている原因として、自社が採用したい人材像がそもそも明確になっていないことが考えられます。自社の欲しい人材がはっきりと定まっていないことによって、外国人が自社の欲しい人材に当てはまるのか否かが不明瞭になっているという理屈です。

この問題に関しては、採用ペルソナを見直すことによって解決ができます。採用ペルソナを設定すれば、自社に欲しい人材像が明確に言語化されるので、外国人の採用可否を判断できるようになるはずです。

採用ペルソナは以下5つの手順で設定を行います。

・採用目的を明確に設定する
・自社が求める人物像を経営者と現場にヒアリングする
・具体的な人物像を作成するために情報収集する
・仮のペルソナを経営層や現場とすり合わせる
・採用市場を調査して要件を絞る

■おすすめの人材紹介会社は下記の記事で紹介しています。ぜひ参考にしてください。
外国人人材紹介サービスおすすめ8選徹底比較!料金相場、メリットなどご紹介

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まとめ

この記事では、特定技能と技能実習という二つの在留資格について、その違いやそれぞれのメリット・デメリットをご紹介しました。さらに育成就労についても詳しく解説しました。

日本国内の人手不足解消、国際貢献というそれぞれの目的を理解した上で、同時に自社の悩みを解消できるような環境を作るのが望ましいです。
制度について、詳しく理解し、より効率的な採用活動を行いましょう!






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