技能実習

外国人技能実習生にも最低賃金が適用されるのか?技能実習生の給与相場は?

技能実習生をこれから受け入れようとしている企業の方の中には、

・技能実習生の給与をどのくらいにすればよいか
・最低賃金は適用されるのか
・同一労働同一賃金の原則は適用されるのか

と考えている人もいるのではないでしょうか?
本記事では、外国人技能実習生に関する「最低賃金法」や「同一労働同一賃金」や「給与相場」について解説していきます。

技能実習生にも最低賃金法は適用されるのか?

技能実習生にも最低賃金法が適用されます。そのため、技能実習生にも最低賃金以上を支払わなくてはなりません。ここでは最低賃金に関する基礎知識と外国人に関する最低賃金について解説していきます。

最低賃金とは

最低賃金には特定最低賃金地域別最低賃金の2種類があります。

特定最低賃金は特定の産業別に設定されている最低賃金のことです。

それに対して、地域別最低賃金は各都道府県で決められている最低賃金のことです。このどちらかの額が高い方が優先して支払う必要があります。

外国人であっても最低賃金が適用される

外国人であっても最低賃金以上の賃金を支払わなければなりません。また技能実習生であっても関係なく、必ず事業者は最低賃金法以上の給与を支払わなくてはなりません。

たとえ、アジア諸国よりも日本の方が給与が高いからといって低く給与を支払うことはできません。ここで注意が必要なのは、先ほど挙げたように最低賃金には2種類あることです。

最低賃金を支払わなかった場合罰則がある

雇用主は給与を支払う際には必ず最低賃金の規則を守らなくてはなりません。もし地域別最低賃金以上の賃金額が支払われていなかった場合、50万円以下の罰金を受けることになり、産業別最低賃金以上の賃金額が支払われていなかった場合、30万円以下の罰金を支払わなくてはなりません。

各都道府県の最低賃金はいくら?

雇用主は各都道府県別の地域別最低賃金に基づいて最低賃金以上の賃金を支払わなくてはなりません。下記は都道府県別の最低賃金の一例です。

都道府県名 最低賃金【円】 発行年月日
北海道   960 令和5年10月1日
宮城 923 令和5年10月1日
東京 1113 令和5年10月1日
愛知 1027 令和5年10月1日
大阪 1064 令和5年10月1日
広島 970 令和5年10月1日
福岡 941 令和5年10月6日
沖縄 896 令和5年10月8日
全国加重平均額  1004

【参考文献】「地域別最低賃金の全国一覧 令和5年度地域別最低賃金改定状況」厚生労働省

■外国人労働者の受け入れの取り組みについて詳しく知りたい方は下記記事をご覧ください。
企業の外国人労働者受け入れの取り組みとは?推移やメリット、成功事例を解説

技能実習生の給料を最低賃金にするのは大丈夫か?

技能実習生の給与を最低賃金にしても法律上は問題はありません。ただ、近年では最低賃金で技能実習生を受け入れることが難しくなっています。
理由は中国やベトナムなど近年経済的に急成長している国では最低賃金の上昇が著しいからです。このことから日本でわざわざ技能実習生として働きたいという人が少なくなっています。
そのため、技能実習生だからといって賃金を安くするということはせずに、業務・責任に応じた給与を適切に支払うようにしましょう。

また、求職者に対して少しでも魅力的な待遇を提示することが大切です。例えば会社所有の住居を提供したり、食事などを提供したりして福利厚生を手厚くしていくと良いでしょう。

技能実習生の給与相場はいくらか

技能実習生の給与を設定するのに悩まれている方が多くいると思います。ここでは技能実習生の給与相場とその他の外国人労働者の給与相場について解説します。
厚生労働省が行った調査令和4年賃金構造基本統計調査によると外国人労働者全体は24.8万円に対して、技能実習生は17.78万円となってます。ちなみに、厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査の概況」によると、日本人の25歳〜29歳の平均賃金が25万1,200円なので、ここでも7万3,400円の開きがあり、水準としても決して高くはないことがわかります。

出典:)「令和4年賃金構造基本統計調査」厚生労働省

■外国人労働者の給与相場について詳しく知りたい方は下記記事をご覧ください。
外国人技能実習生の給与相場とは?抑えておきたいポイントを徹底解説

技能実習生へ給与を支払う時に必要なこと

ここでは技能実習生に給与を払う時に必要なことについて解説していきます。
主に3点、挙げることができます。

・技能実習生であっても同一労働同一賃金が適用される
・最低賃金以上を支払う
・割増賃金を支払う

それぞれ見ていきましょう。

技能実習生であっても同一労働同一賃金を適用する

同一労働同一賃金とは、同一の労働に対しては同一の賃金を支払わなくてはならないという考え方です。同一企業であれば正規雇用者、非正規雇用者関係なく同一の労働に対しては同一の給与を支払わなくてはなりません。これは技能実習生にも同様に同一労働同一賃金が適用されます。

最低賃金以上を支払う

先述の通り、技能実習生であっても、労働法が適用されるため最低賃金を支払わなくてはなりません。必ず最低賃金以上を支払うようにしましょう。

割増賃金を支払う

日本人労働者同様、時間外勤務や休日勤務を行った技能実習生に対しても、「割増賃金」を支払う必要があります。

割増賃金は、通常の労働時間外や休日、祝日などに労働者が働いた場合に、通常の労働時間に比べて高い賃金が支払われる制度を指します。これは、労働者が非常勤や臨時の追加の労働を提供する場合に、その追加の労働に対して追加の報酬を受け取る権利を保障するためのものです。

技能実習生に給与を払う時の注意点

技能実習生の給与を最低賃金に設定すること自体は法的に問題ありませんが、最低賃金に設定することでデメリットが生じるおそれがあります。
ここで挙げられる注意点は、4点です。

・技能実習生が失踪する可能性
・最低賃金法・労働基準法違反の潜在リスク
・定着しない可能性
・年次有給休暇を付与する必要性

それぞれ見ていきましょう。

技能実習生が失踪する可能性

少なくとも最低賃金以上の給与を支払っていれば、法律に抵触することはありません。ただし、仕事の内容や環境次第では、最低賃金では見合わず、業務に不満を覚えることも少なくないでしょう。
こうした不満やトラブルが重なれば最終的に失踪へとつながる可能性が高まります。

ここで一つ注意が必要です。失踪者を出した企業は問題ありと認められ、実習生の新規受け入れや申請手続きが停止となることもあります。
賃金を設定する場合には、しっかりと仕事内容や職場環境、相場を考慮した上で慎重に設定するようにしましょう。

最低賃金法・労働基準法違反の潜在リスク

毎年増加する最低賃金は、労働者の権利向上を目指す中で調整されています。しかし、これに気づかずに最低賃金での雇用を続けていると、最低賃金法や労働基準法に違反する可能性があります。こうした違反は罰金だけでなく、悪質な場合は受け入れ停止のリスクがあります。

定着しない可能性

技能実習制度は技術の習得を目的とした制度であるため、技能実習生の転職は認められていません。
しかし、制度の定める3年もしくは5年の技能実習を終えた後に、他の在留資格である「特定技能」として転職する場合があります。

仮に最低賃金で雇用し続けて、かつそれが業務内容に見合っていない場合、実習生が不満を募らせ、より高い給与を設定している会社に転職してしまう可能性があります。

3年間、あるいは5年間育てた技能実習生は十分戦力としても活躍が期待できます。
そういった優秀な人材を逃さないためにも適切な賃金を設定しましょう。

外国人労働者の定着について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
外国人人材の定着率を向上させるには?離職率が高い理由や人事施策を解説

年次有給休暇を付与する必要性

先述の通り、技能実習生は日本人労働者と同様に労働基準法など各種法令が適用されます。そのため技能実習生であっても有給休暇を取得させる義務があります。有給休暇違反をした場合30万円以下の罰金が科されるので注意しましょう。

以下に有給休暇付与の条件をまとめました。是非ご覧ください。

出典:厚生労働省 【リーフレットシリーズ労基法39条】
以下が、勤務日数とそれに応じた有給取得可能日数となっています。

①技能実習生として雇入を開始した日から6ヶ月継続勤務している
②全労働日の8割以上出勤している
③週の所定労働日数が5日以上
①と②と③の条件を満たしている場合→10日付与

④技能実習生として雇入を開始した日から1年6ヶ月継続勤務している
⑤全労働日の8割以上出勤している
⑥週の所定労働日数が5日以上
④と⑤と⑥の条件を満たしている場合→11日付与

技能実習生の給与を適切に設定する方法

これまで述べてきたように、最低賃金での雇用にはいくつかの弊害が存在します。それは失踪のリスクや定着の難しさなどです。限られた期間の中で雇用主と技能実習生が納得できる方法を見つけることが重要です。
この方法は、例として2点挙げることができます。

・昇給の導入
・賞与の導入

それぞれ見ていきましょう。

昇給の導入

最初に設定した給与額から効果的な昇給機会を提供することで、技能実習生の仕事へのモチベーション向上が期待できます。初期の経済的負担を抑えつつ、生産性に応じて昇給させることで、双方が満足できる給与設定が可能です。

賞与の導入

昇給だけでなく、賞与の支給も検討することが重要です。法律で明確に規定されてはいないものの、技能実習生への賞与支給はモチベーションの維持に寄与します。技能実習生にとっては頑張りが報われる制度となり、雇用主も定着率向上に寄与します。
これらの手段を組み合わせつつ、技能実習生が働く環境において公平かつモチベーションが向上する給与体系を構築することが求められます。

給与以外に知っておくべきこと

技能実習生を受け入れる際に、給与額の設定以外にも知っておくべきことが3つあります。

・各種保険への加入義務
・36協定の適用
・助成金制度

それぞれ見ていきましょう。

各種保険への加入義務

日本人労働者と同様に、技能実習生を受け入れる際にも社会保険や労働者保険へ加入することが求められます。
実際に加入義務のある保険は以下のようになります。

・労働者災害補償保険(労災保険)
・雇用保険
・国民健康保険
・健康保険
・国民年金
・厚生年金保険
・介護保険

各種保険は入国管理法と労働基準法に基づいて定められていますので、法令違反とならないように注意して手続きを行うようにしましょう。

■技能実習生の保険について詳しく知りたい人は、以下の記事をご覧ください!
技能実習生の社会保険・任意保険加入は必要?外国人技能実習生の総合保険とは?

36協定が適用

法定労働時間を超えて労働者に時間外労働(残業)をさせる場合には、労働基準法第36条に基づく労使協定(36協定)が適用されます。
原則として、1ヶ月に45時間、年間360時間が残業時間の上限と規定されています。

36協定改正
出典:)「時間外労働の上限規制わかりやすい解説」厚生労働省

この36協定は自本人労働者はもちろん、技能実習生に対しても適用されます。

また、36協定で規定されている時間外労働において、罰則が設けられています。時間外労働が上限を超えないようにこまめな勤怠管理を実施するとともに、法令違反がないかセルフチェックを行うようにしましょう。

助成金制度

技能実習生を受け入れる際、一定の条件を満たすことで助成金を受け取ることができるケースがあります。

また、技能実習生の受け入れ企業が受給できる主な助成金は以下の二種類となります。

・雇用調整助成金
・人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)

雇用調整助成金は景気悪化により事業を縮小した事業主が、一時的な休業等によって労働者の雇用を維持する場合に、休業手当や賃金などの一部を助成するもので、コロナウイルスの影響に伴った特例の制度になります。

人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)とは、雇用保険の被保険者となる外国人労働者を雇用している事業者が対象となる助成金制度です。

これらの助成金の要件を満たして積極的に活用していきましょう。

■外国人採用に役立つ助成金について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください!
【2024年】外国人雇用支援の助成金・補助金一覧!受給額や要件を解説

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まとめ

いかがだったでしょうか?外国人の技能実習生を雇用する際は、最低賃金法を守ることが大切です。また賃金を支払う際には業務・責任に応じた給与を適切に支払うようにしなければなりません。






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