最近、建設の現場で外国人をよく見るようになりました。
建設業では人手不足が深刻化しており、外国人労働者が非常に大きな助けとなっています。
実はそのほとんどが技能実習生です。
しかし、
・技能実習生ってなに
・建設業で技能実習生を受け入れるための要件
・実際に技能実習生を受け入れる方法
・技能実習生は役に立つの?
など様々な疑問をお持ちだと思います。
そこで本記事では、
・建設業の現状
・受け入れの要件
・雇用方法
などを詳しく解説していきます。
技能実習生とは
技能実習生は、特定の産業で技能実習の在留資格を持つ外国人実習生のことを指します。技能実習は、外国からの実習生を受け入れ、彼らが実務を通じて技術と知識を習得することを目的としたプログラムであり、実習終了後、実習生は母国に帰国し、日本で得たスキルや知識を活かすことが期待されます。
技能実習制度の目的は労働力を確保することと間違えられやすいですが、本来の目的は「人材育成を通じた開発途上地域等への技能等の移転による国際協力を推進すること」です。つまり、外国人が特定の職業に関する技能や知識を持ち帰り母国の経済発展に貢献することが本来の趣旨です。
そのため、技能実習では本人が申請した職業と無関係な職種について技能実習を行うことは認められていません。また、「労働力不足を補うための手段として行われてはならない」と定められており、労働力不足を補うための手段としてこの制度を用いることは不適当とされています。
技能実習について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
技能実習生とは?技能実習生の目的、雇用の手順から活用事例まで完全網羅
技能実習生を採用するメリット
技能実習生を採用するメリットは以下の4つがあります。
・人手不足の解消
・労働環境の変化と改善
・優秀人材の確保
・海外進出の足掛かり
人手不足の解消
日本国内で適切な人材が集まらない場合、外国人労働者を採用することで人手不足を解消できます。外国人は企業の所在地や知名度にそれほどこだわりませんので、中小企業でも優秀な人材を獲得できる可能性が高まります。
労働環境の変化と改善
外国人労働者の受け入れ制度を導入することで、国籍に関係なく全従業員が快適に働ける環境を整える必要があります。多言語の業務マニュアルや労働時間管理の方法を導入することで、外国人だけでなく日本人の労働環境も向上させることができます。
優秀人材の確保
日本の少子高齢化により、優秀な人材の獲得が困難になっています。競争が激化する中、外国人労働者を積極的に採用することで、優秀な人材を見つけられる機会が増えます。特に、外国人労働者は多様なスキルや経験を持ち合わせており、企業に新たな価値をもたらす可能性があります。
海外進出の足掛かり
海外進出を目指す企業にとって、外国人労働者を採用することは大きな利点があります。海外展開において言語能力は非常に重要であり、外国人は多くの言語を話せる場合が多いです。また、異なる文化や風習に精通しているため、海外での事業展開において重要なサポート役となるでしょう。
技能実習生を採用するデメリット
技能実習生を採用するデメリットは以下の2つがあります。
・言葉や文化の違いによるコミュニケーション障害
・受け入れまでにかかる時間
言葉や文化の違いによるコミュニケーション障害
異なる文化や習慣を理解しないと、予期せぬ問題が発生する可能性があります。無意識のうちに相手を不快にさせたり、場合によっては法律違反につながることもあります。円滑なコミュニケーションを図るためには、お互いが異文化を理解し受け入れることが必要です。
受け入れまでにかかる時間
外国人従業員のビザ発給には時間がかかるため、採用から受入れまでに時間が必要です。外国人の受け入れや技能実習生・留学生の採用にあたって、事前に就労ビザの申請や手続きが必要です。そのため、ビザ発給に関する情報や必要書類を事前に把握しておく必要があります。
建設業界の現状は?
近年の建設業界における流れについて、以下を解説していきます。
・建設業界の需要は上向き
・深刻な人手不足
・技能実習生の増加
建設業界の需要は上向き
建設業は現在、不動産系の建設だけでなく、インフラ系の建設の需要が欠かさずある状態です。そのため、建設投資額も増えています。
しかし、受注の激化や資材のコストが高騰している事により、格段に建設業が儲かっていることはありません。それでも以前に比べたら建設業の待遇は改善されつつあります。
また、「国土交通省インフラシステム海外展開行動計画2022」にも示されているように国内外のインフラに携わること、老朽化した箇所を整備するなど需要がなくなることはなく、今後も業界は明るいと言われています。
深刻な人材不足
需要がなくなることはなく、今後も好調な建設業ですが、厚生労働省「職業別一般職業紹介状況パートを除く(2024年2月)」によると有効求人倍率は5.8倍を記録しており、5.8件の求人に対して1人しか応募がないことを意味します。
これは
・労働環境が過酷
・長時間勤務になりやすい
・建設業から離れた人が戻らない
などの理由で人材が非常に不足しています。
天候にかかわらず、仕事を行うことや力仕事であること、納期が厳しいなどのイメージが先行しており、少子高齢化の日本では建設業に携わる人が大幅に減っています。
技能実習生の増加
近年の建設業では外国人の技能実習生はコロナで一時的に減ったものの全体的に増加し続けています。
2023年の建設業全体の外国人労働者のうち、技能実習は60%以上の割合を占めています。
以上の建設業の現状から、国際貢献を理念とする技能実習制度ですが、建設業に従事する人が増えることで、人手不足解消の良い影響が副産物として出ていると考えられます。
建設業で受け入れ可能な作業
建設業で技能実習生が従事できる作業は22職種33分野に限定されています。
上記の項目に技能実習生は従事することができます。
出典:技能実習制度 移行対象職種・作業一覧
技能実習生を受け入れるための要件
ここからは建設業特有の技能実習生を受け入れるための4つの要件
・建築業法第3条の許可を得ている
・技能実習の受け入れで「団体監理型」を利用
・建築キャリアアップシステムへの登録
・給与を月額制に
について解説していきます。
建築業法第3条の許可を得ている
建設業法第3条では500万未満の工事や150㎡未満の木造住宅工事、1500万円未満の建築一式工事のみを請け負う企業は建設許可取得が必要ではありません。
しかし、受け入れ方法の変更により、技能実習生雇用時は上記の軽微な工事であっても許可取得が必要に変更されました。
許可を得ていない企業は手続きなどのわずらわしい作業がありますが、技能実習生を雇用するためにも許可申請を行ってください。
技能実習の受け入れで「団体監理型」を利用
建設業で技能実習生を受け入れる場合には必ず、「監理団体」から建設業である自社にフィットした人材の受け入れを代行してもらう「団体監理型」を選択することが必要です。
団体監理型とは、営利を目的としない日本の公的な「商工会議所」「商工会」「事業協同組合などの中小企業団体」「公益法人」などが監理団体として送り出し機関と契約を行います。受け入れ企業は監理団体に加盟し、 監理団体の指導や監督のもとで、技能実習生を受け入れます。
建築キャリアアップシステムへの登録
技能実習生を受け入れるためには、企業と実習生の両方が建設キャリアアップシステムに登録する必要があります。
建設キャリアアップシステムとは、建築技術者の資格取得及び就労情報を管理しているWebシステムになります。建築作業員の働き方を「見える化」させ、各企業の業務効率化を図るためにうまれたシステムです。
技能実習生の登録は当該実習生が技能実習2号(受け入れ後1年以内)に移行するまでに完了させれば問題ありませんが、企業の登録は実習生の受け入れ前にあらかじめ済ませる必要があります。登録まで最長で2ヶ月を要するため、早めの登録が必要です。
給与を月給制に
建設業では技能実習生の給与制度を「月給」にすることが義務付けられました。たとえ日本人が日給制、時給制の場合でも技能実習生は月給制で給与を支払わなければならないので注意しましょう。
月給制になった理由は、建設業で失踪するなどのトラブルになる技能実習生が非常に多かったためでした。特に外での作業が多い建設業において、天候による作業中止で、梅雨時などは時給制は給与受取額が別の月と比べて非常に下がることが不満の大きな原因となっていました。
そのため、毎月の給与が安定している月給制であれば、技能実習生のモチベーションが上がり雇用定着に繋がります。このように給与が時給から月給への変更が企業と技能実習生双方にメリットがあります。
技能実習の失踪について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
技能実習生の受け入れ方法
建設業での技能実習生の受け入れは「団体監理型」で行うことから、企業が行うべき団体監理型での技能実習開始の流れについて解説していきます。
1.受け入れるための準備
2.監理団体に技能実習受け入れ申し込みを行う
3.技能実習生と雇用契約の締結
4.技能実習計画の作成
5.外国人技能実習機構への申請
6.監理団体の支援のもと技能実習生の受け入れ
6.技能実習開始
7.技能実習開始
1.受け入れるための準備
技能実習生を受け入れるための準備として3つ挙げられます。
・受け入れ人数枠の確認
・3種の責任者の決定
・作業マニュアルの作成
受け入れ人数枠の確認
技能実習生を受け入れるには人数の制限があります。基本的には
・常勤職員の10%までの人数(ただし、優良な実習実施者は20%)
・技能実習生の受け入れ可能人数は、常勤職員の総数を超えてはならない
という2つのルールがあります。そのため雇用したい人数が適法の人数であるかを確認することが必要です。
※常勤職員とは技能実習実施機関に雇用されている正社員が当てはまります。 また、アルバイトやパートタイムの人であっても雇用保険に加入している被保険者の場合は「常勤職員」扱いとすることができます。
3種の責任者の決定
3種の責任者とは
・技能実習責任者(従業員のリーダー)
・技能実習指導員(指導を担当する人)
・生活指導員(生活する環境を整える人)
のことです。
事前に指定しておくことで面接などの際に聞きたいことがそれぞれ整理され、技能実習生との相性を見ることができるため非常に重要です。
作業マニュアルの作成
受け入れようとしている実習生の母国語での作業マニュアルを作成することで実習生に勤務内容を理解してもらいやすくすることが目的です。日本語で作業を教えようとすると解釈の部分で齟齬が出てしまいます。母国語で作ることで日本語との微妙な違いをなくすことや言語化して感覚的な部分を正確に伝えるためにも重要です。
ただし、受け入れる実習生の出身国や母国語を決めていない場合は後回しで構いません。
2.監理団体に技能実習受け入れ申し込みを行う
受け入れる準備が整ったら、監理団体に加入しましょう。監理団体への加入は入会金・年会費(監理団体によって異なる)がかかります。
監理団体は作業の種類や、その他の希望条件に合わせて求人情報を提供してくれます。
3.技能実習生と雇用契約の締結
技能実習生と面接を行い、条件にあった技能実習生を見つけることができれば雇用契約を締結します。この際に建築キャリアアップシステムへの登録を行います。
4.技能実習計画の作成
技能実習計画とは、技能実習生本人や受け入れ企業の情報や、技能実習をどのように進めるかを示す書類です。技能実習計画の策定にあたっては、3種の責任者等の配置や、住居の準備を行う必要があります。
5.外国人技能実習機構への申請
技能実習計画や入国後講習実施予定表など様々な書類を記入し、外国人技能実習機構に申請を行います。ここでの書類の不備があると実習生を迎え入れるまでに非常に時間がかかるため、監理団体のサポートを受けながら間違いなく申請しましょう。
【参考文献】「技能検定試験(基礎級) 」 外国人技能実習機構(OTIT)
6.監理団体の支援のもと技能実習生の受け入れ
在留資格申請が許可されると、入国することができます。ただ、技能実習生は入国後に約1か月間、監理団体が行う日本語や日本での生活に関する研修を受講しなければなりません。そのため、受け入れる企業は作業マニュアルの準備やその他の受入れに関する最終チェックを行うなど有意義に時間を使いしましょう。
7.技能実習開始
ここまできて技能実習を開始することができます。技能実習開始まで半年ほど期間を見ておきましょう。そのため、技能実習生を雇用する場合は半年先の仕事をチェックし、教えるために時間を割くためのスケジュールの余裕を調整することが重要です。
技能実習の受け入れの流れについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
建設業の受け入れで注意すべきこと
建設業は天候に左右され、肉体労働が伴うことで過酷な労働環境となっています。そのため、途中でやめてしまう、失踪してしまう技能実習生もいます。
これを防ぐための企業が注意すべき以下のことを解説します。
・事前の業務理解を深める
・業務連絡をこまめに取る
・生活不安を取り除く
事前に業務理解をしてもらう
企業は面接時に業務理解を深めてもらうことが重要です。天候に左右されることや肉体的労働が伴うことや勤務の危険性について実際の勤務動画で説明することを推奨します。
説明を行うことで応募者も認識の齟齬がなくなることや、月給制などの待遇改善からやめてしまう人が大幅に減ってきています。
労働環境を変えることは建設業の特性上難しいですが、事前の勤務の認識や習得できる技能についても説明を行うことで技能実習生も安心して勤務することができます。
業務連絡をこまめに取る
勤務開始後は業務連絡をこまめに取ることが非常に重要になってきます。建設業は現場の移動や休日出勤などを伴います。そのため、出勤場所や出勤時間に関して認識の齟齬が発生しやすくなります。
日本語の理解が不十分な技能実習生に対して詳細な連絡と複数回の確認を取ることがおすすめです。
生活不安を取り除く
技能実習生は1年目と3年目に試験があります。この試験に合格しなければ、技能実習の資格を剥奪されてしまいます。また、実際の業務でも日本の慣れない環境で働き、責任が伴うため、私達が思っている以上に技能実習生は努力をしています。
そのため企業は
・信頼関係としてしっかりと金銭的なボーナスを出す
・実習生同士の良い関係を築く
・言語面でサポートするだけでなく生活の一部をともにする
以上のことなどで信頼関係を作ることが大切です。
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まとめ
この記事では建設業の技能実習生について解説していきました。
建設業では今後さらに人材不足が深刻になっていきます。
技能実習生が今後特定技能に移行し日本の人手不足を支えてくれる、母国に技術を持ち帰って日本に力を貸してもらえるためにも技能実習生を大切にしていかなければなりません。
日本の優れたインフラ技術を海外に伝えるためにも本記事を参考に技能実習生の雇用に取り組んでください。