技能実習

技能実習制度における監理団体とは? 役割や選ぶ際のポイントを解説!

技能実習生を受け入れるために利用する組織として監理団体という言葉を聞いたことがあると思います。しかし、監理団体が担っている役割を把握している方は少ないでしょう。

そこでこの記事では

・監理団体ってなに?
・なにをしてくれる組織なの?
・監理団体ってどうやって選べばいいの?

という疑問を解説していきます。

そもそも技能実習生とは

技能実習制度は、開発途上国出身の方に、日本の高い技術を現場での実習を通して習得してもらい、母国にその技術を広めてもらうという国際貢献を目的とした制度です。
そして、技能実習を受ける者を技能実習生といいます。 技能実習生の在留資格は「技能実習」で、日本の企業と雇用契約をして来日します。

監理団体とは?

監理団体とは、技能実習制度の適切な運営のための指導や、技能実習生の受け入れサポートを行う組織です。
具体的には受け入れ企業からの依頼を受けて技能実習生の募集、現地での面接、受け入れまでの様々な手続きや受け入れ企業への監督と指導を行うために設置された政府に認められた非営利の団体を指します。

技能実習生を受け入れる2つの方法として「企業単独型」と「団体監理型」があり、「団体監理型」が監理団体を利用する方法に当たります。実際には98.6%の技能実習生が団体監理型を利用して受け入れられているため、ほとんどのケースに監理団体が関わっています。

技能実習の受け入れ方法について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください!
技能実習生とは?技能実習生の目的、雇用の手順から活用事例まで完全網羅

監理団体の許可基準

監理団体として認められる法人格には規定があり、非営利活動法人のみ資格が与えられます。しかし、そのすべてが監理団体の役割を担うことはできず、活動のために要件が定められています。

定められている基準としては

1.営利を目的としない法人であること
2.監理団体の業務の実施の基準に従って事業を適正に行うに足りる能力を有すること
3.監理事業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有すること
4.個人情報の適正な管理のため必要な措置を講じていること
5.外部役員又は外部監査の措置を実施していること
6.基準を満たす外国の送出機関と、技能実習生の取次ぎに係る契約を締結していること
7.優良要件への適合<第3号技能実習の実習監理を行う場合
8.1~7のほか、監理事業を適正に遂行する能力を保持していること

以上が監理団体によって技能実習制度が健全に運営されるための基準になっています。

出典:「第5章 監理団体の許可等」出入国管理庁

監理団体の2つの事業区分

監理団体は技能実習を適切に運営し、技能実習制度の目的を達成させる必要があるために

・優良の認定をされた「一般監理団体」
・「特定監理団体」

が存在します。それぞれの違いについて詳しく解説します。

一般監理団体と特定監理団体の違い

優良の認定をされた「一般監理団体」は法令違反をしていないことや、技能評価試験の合格率・指導・相談体制などが一定の要件(150点満点中90点)を満たした監理団体だけがなることができ、一般管理事業を取り扱うことができます。
一方、「特定監理団体」は運営を始めたての監理団体や一般監理事業の要件を満たせていない監理団体が該当します。

「一般監理団体」と「特定監理団体」の大きな違いは技能実習3号の技能実習生を受け入れられるかの違いです。「一般監理団体」は技能実習2号を終えた後に技能実習3号として引き続き技能実習生を受け入れることができますが、「特定監理団体」ではできません。
他にも活動許可の有効期限が「特定監理団体」の団体は短いことが挙げられます。

優良な監理団体の要件とは?

優良な監理団体(一般監理団体)の認定を受けるためには満たすべき要件は

・実習の実施状況の監査その他の業務を行う体制
・技能等の修得等に係る実績
・法令違反・問題の発生状況
・相談・支援体制
・地域社会との共生

上記の5項目で合計150点中6割以上の点数(90点以上)を獲得しなければなりません。

それぞれについて詳しく解説します。

実習の実施状況の監査その他の業務を行う体制

監理事業に関与する常勤の役職員と実習監理を行う実習実施者の比率、監理責任者以外の監査に関与する職員の講習受講歴等、実習の実施状況の監査その他の業務を行う体制について点数化され、最大50点が加点されます。

技能等の修得等に係る実績

過去3技能実習事業年度の基礎級、3級、2級程度の技能検定等の合格率などの技能等の習得等に係る実績として最大40点が加点されます。

法令違反・問題の発生状況

直近過去3年以内の改善命令の実績、失踪の割合などの法令違反・問題の発生状況についてで最大5点が加点されますが、違反があれば大幅に減点されてきます。

 

相談・支援体制

他の機関で実習が困難となった技能実習生の受入に協力する旨の登録を行っていること、他の機関で実習継続が困難となった技能実習生の受入実績、技能実習生の住環境の向上に向けた取組などの相談・支援体制に対して最大で45点が加点されます。

地域社会との共生

実習実施者に対する日本語学習への支援、実習実施者が行う地域社会との交流を行う機会・日本文化を学ぶ機会の提供への支援などの地域社会との共生について最大10点の加点があります。

以上の5項目において採点が行われ、優良な監理団体かの区別をつけています。

引用:「優良な監理団体の要件」出入国管理庁

監理団体の業務とは?

ここでは監理団体が技能実習で担っている業務について具体的に解説していきます。

・送り出し機関との契約・求人・取次
・技能実習計画の作成サポート
・入国後講習の実施
・訪問指導
・受け入れ企業の監査
・技能実習生の相談対応・支援
・技能実習生の帰国サポート

以上7つが監理団体が担う主な業務です。

それぞれについて詳しく解説します。

送り出し機関との契約・求人・取次

監理団体で技能実習生の雇用を行なう場合は採用を行う国の送り出し機関を通じて技能実習生を受け入れることになります。そこで、監理団体は現地の送り出し機関を選び、契約を交わし、現地での求人活動、受け入れ企業との面接を取り次ぐ重要な業務を担っています。

特に監理団体が担う重要なポイントとしては、送り出し機関が技能実習生から多額な手数料、保証金、違約金を徴収していないかなどを確認して選び、送り出し機関と契約を結ぶことです。

技能実習計画の作成サポート

技能実習制度は、外国人が技能実習を通じて技能や知識等を習得することを目的としてしています。そのため、受け入れ企業は技能実習生を受け入れる際に従事する作業を明確にした「技能実習計画」を作成し、日本と送出国の二国間で認定を受ける必要があります。

監理団体は技能実習計画の作成・提出をほとんど代行してくれます。また、作成を指導する場合にも技能等について一定の経験や知識を持っていますので、業務内容の理解しやすい書き方等についても聞くことができます。

入国後講習の実施

監理団体は技能実習生の入国をサポートするとともに、入国後1ヶ月に渡って入国後研修を行います。ただし、必ず同じ監理団体が実施する必要はなく、適切な教育環境がある施設に依頼することも認められているため事前に監理団体に聞く必要があります。

この講習では日本語だけでなく、生活全般に関する指導、入管法や労働基準法などの説明、現場見学といった暮らしや業務をサポートする幅広い講習が行われます。この期間は業務に携わることは一切行われません。

訪問指導

訪問指導は実際に技能実習生が受け入れ企業で技能実習を開始後、定期的に監理団体が訪問し、実習の状況確認や計画の進み具合などをチェックします。技能実習1号では月一回以上、技能実習2号・3号では三ヶ月に一回以上行われる必要があります。

訪問指導を行った場合は訪問指導内容を記録して事業所に保管し、年に一度必ず技能実習機構に提出します。

受け入れ企業の監査

定期監査では技能実習生が計画認定と異なる作業に従事していないか、実習実施者が法令に違反していないかなど、「監査責任者講習」を修了した監理責任者の指揮のもと3か月に1回以上の頻度で定期監査を行います。監理団体は監査終了後2か月以内に監査報告書を技能実習機構に提出する義務があります。

具体的な内容として

・技能実習の実施状況を実際に確認
・技能実習責任者及び、技能実習指導員へのヒアリング
・技能実習生の4分の1以上との面談
・実習実施者の事業所の設備、帳簿書類等の閲覧
・技能実習生の宿泊施設等、生活環境の確認

このようなことが挙げられます。

また、臨時監査も存在し、技能実習計画認定の取消事由のいずれかに該当する疑いがあると監理団体が判断した場合に任意のタイミングで行われます。

技能実習生の相談対応・支援

技能実習生が母国語で相談できる生活相談や、その内容に応じた対応など、実習生が安心して暮らせる環境整備を監理団体は担っています。特に、受け入れ企業で発生している問題などで企業の担当に相談しにくい状況などでも直接監理団体と連絡を取り保護や支援を行ってもらえます。

受け入れ企業の生活指導員が対応の難しい場面でも監理団体に相談することができますので受け入れ企業の負担を減らし技能実習生の生活環境を整えることができます。

技能実習生の帰国サポート

技能実習修了後のサポートについて見落とされがちですが、監理団体は帰国のサポートや特定技能への移行についても相談することができます。
帰国する場合であれば航空券の手配だけでなく、役所への届け出、銀行口座の解約までサポートしてくれるので、受け入れ企業では行うことがあまりないサポートでも監理団体が引き受けてくれます。

送り出し機関や登録支援機関との違いは?

ここでは監理団体と混同しやすい、送り出し機関や登録支援機関との違いを解説していきます。

・送り出し機関
・登録支援機関

それぞれについて詳しく解説します。

送り出し機関

送り出し機関とは技能実習生の母国にあり、海外現地で技能実習候補生を募集し、事前講習を行い、要望に応じて選考をした後に日本へ送り出すための機関です。

監理団体が送り出し機関と契約することで日本の受け入れ企業は技能実習生と雇用契約を結ぶことができます。

登録支援機関

登録支援機関とは特定技能外国人を支援する機関です。監理団体は技能実習生をサポートする組織なので混同しないように注意しましょう。また、登録支援機関は営利組織でも要件を満たせば外国人の支援を行うことができますが、監理団体は非営利組織のみ技能実習生をサポートできるのでこのような違いがあることも頭に入れておきましょう。

特定技能と技能実習の違いについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください!
特定技能と技能実習10個の違い!移行もできる?メリットなど徹底比較

監理団体許可取り消しと悪質な問題

監理団体の中にはいわゆる「ペーパー団体」と言われる実体のない団体が一定数存在します。不正行為や法令違反が認められて取り消しとなる監理団体がほぼ毎月発生しています。
厚生労働省の報告によれば、技能実習法に基づいて監理団体に対する許可取消し命令が令和5年に10件ありました。受入企業も不適切な監理団体と契約することで法的なトラブルに巻き込まれることがあります。

処分の理由としては

・契約の不履行について違約金を定めていた
・訪問指導や監査を適切に行なっていなかった
・虚偽の報告書を作成し、提出した
・適切な入国後講習を実施していなかった

などがあります。監理団体が正しく運営されていない場合には技能実習生に大きな影響を与え、失踪などに繋がりかねません。

また、監理団体が機能していない場合、提携している送り出し機関の質にも影響します。質が低い場合には違法に本人から金銭を徴収する、技能実習生の日本語能力が著しく低いなどのリスクがあります。

このような場合には監理団体を直ぐに変更することが必要で、監理団体が不正を行っている事実を認識している場合には受け入れ企業も罰せられることがあります。監理団体の不正行為に気づいた場合には必ず外国人技能実習機構に報告してください。

【4つ】監理団体を選ぶ際のポイント

実際に技能実習生を受け入れようとしている企業に向けて適切な監理団体を選ぶポイントを4つ紹介していきます。

・受け入れたい国籍に対応しているか
・希望の職種・作業の実習を監理できるか
・規模・実績があり信頼できるか
・サポート内容が必要な範囲カバーされているか

それぞれについて詳しく解説します。

受け入れたい国籍に対応しているか

技能実習生を受け入れる際に最も重要な要素の一つに国籍があります。受け入れ企業は受け入れたい外国人の国民性や文化などから国籍を絞ることがよくあります。しかし、監理団体はすべての言語をカバーしているわけではなく、特定の言語のみサポートを行っています。そのため、監理団体を選ぶ際には受け入れたい外国人の国籍に対応しているか確認しましょう。

一方、受け入れが初めてなどで希望する外国人の国籍が明確でない場合は、対応する国籍が多い監理団体を選ぶことをお勧めします。多様な国籍に対応している場合、国民性でも自社の考え方で選ぶにしても、幅広い選択肢から最適な提案を受けられる可能性が高くなります。
この場合は監理団体が主にサポートしている国籍があればその国籍を選ぶ。または、その国の文化に近い国籍の外国人を雇用することで、文化的な違いによるサポートで困ることが減るでしょう。

希望の職種・作業の実習を監理できるか

監理団体に扱える国や地域があることと同様に、指導や監査ができる職種や作業も異なります。そのため、技能実習計画の作成等で不備が出ないように実習を行う現場や作業の監理に実績を持つ監理団体を選びましょう。

規模・実績があり信頼できるか

監理団体は多種多様で、実績のある団体から設立して間もない団体まで存在します。中には適切に管理ができていない監理団体も存在します。そのような監理団体に加入した場合、技能実習の途中で認定取り消しの対象となることもあります。

監理団体は、受入れ企業が適切に技能実習の運用がおこなえるよう国や技能実習機構のルールに則って指導する役割を持ちます。支援体制が整っていない監理団体で技能実習を行うと、適正な指導・監査・支援を受けられず、受入れ企業が罰則を受ける可能性もあります。

実績のある監理団体として「一般監理団体」であるかの確認も重要になってくるので監理団体を調べる際に一般監理団体の枠から監理団体を選ぶこともおすすめします。

参考:「許可監理団体(一般)(令和6年3月29日現在)」外国人技能実習機構 OTIT

サポート内容が必要な範囲カバーされているか

対応言語と対応職種以外は監理団体で同じように見られがちですが、実はサポートの範囲・内容が全く異なります。
例えば、技能実習生の受け入れ準備についてはすべてを受け入れ企業に任せている監理団体もあれば、受け入れ時の住居・備品の準備から日常生活での手続きまで事細かにサポートしてくれる監理団体まで様々にあります。

配属後のサポートについても定期指導だけ行う団体や定期指導に加えて日常的に受け入れ企業や技能実習生と面談を行う監理団体も存在します。

このため、企業がどの程度の技能実習生を受け入れたかや外国人について理解している人がいるかなどに応じて、適切な監理団体を選ぶことが必要です。当然ですが、サポート体制が手厚い監理団体ほど費用は高くなってしまいますので、毎月支払える費用と相談して監理団体を決定することが大切です。

監理団体の利用方法・流れ

技能実習生を受け入れるために、監理団体の利用方法・流れについて解説していきます。

・技能実習生を雇用する条件を出す
・技能実習生の条件から監理団体を決める
・監理団体に加入する

それぞれについて詳しく解説します。

雇用したい技能実習生の条件を出す

まず、受け入れ企業は雇用したい外国人のもつ文化や性格などから国籍と人間性のイメージを固めます。次に、技能実習生を雇用するための予算や雇用までの期間を決めます。この場合に雇用開始までの期間が長いほうが自社に適した人材を獲得することができます
最後に、監理団体に行ってほしいサポートについて決定します。

技能実習生の条件から監理団体を決める

条件が決まったところで監理団体を決定していきます。
監理団体一覧表には

・監理団体名
・住所
・電話番号
・許可日
・許可期限
・受入れ国
・2号移行対象の職種
・介護職種の有無

についてが掲載されています。

この中から、雇用したい技能実習生の条件に基づいて監理団体を選んでいきます。
受け入れ条件の順番としては受入れ国→2号移行対象の職種→住所→許可日の順番で絞って確認していくことをおすすめします。

住所に関しては、規模が小さい監理団体であれば受けれ企業との距離が遠ければ日常のサポートを受けることが難しいためチェックが必要です。また、条件で最後に決定したサポートに関しては直接問い合わせて確認しなければならないため、候補を絞った後に検討しましょう。

監理団体に加入する

監理団体によって異なりますが、大きな流れとしては

1.監理団体に対して加入希望を出す
2.監理団体からヒアリングを受け希望条件と合致しているか確認する
3.加入受付
4.監理業務の開始

という流れになります。
監理団体に加入するときには入会金が必要であったり、費用のかかり方について様々ですので加入前にご確認ください。

一つの受け入れ企業に対して一つの監理団体というルールはありませんので複数の監理団体を利用して技能実習生を受け入れることもできますので希望条件がまとまらず、予算に余裕がある場合には複数の監理団体に加入することも視野に入れてみてください。

途中変更はできる?

結論として監理団体を途中変更することはできます。
例えば、今後受け入れる技能実習生の国籍を現在就労中の技能実習生と変更したいため、監理団体を変更して別の国籍の人も受け入れられる体制を整えるという場面が挙げられます。

監理団体の変更方法は

1.新規の監理団体と商談
2.現監理団体に変更の主を伝える
3.新規監理団体から現監理団体に必要書類を提出する
4.送り出し機関と新規監理団体との契約を結ぶ
5.監理団体の変更

の手順になります。

監理団体を変更するためには、およそ3〜4ヶ月かかります。この理由として送り出し機関と新規監理団体の契約に時間がかかる場合があるからです。新規監理団体と現監理団体での必要書類の交換や送り出し機関の対応によって変更までの時間が大幅に変わります。変更する際は、準備期間を十分に設けておきましょう。必要書類はかなり多いので以下のサイトを確認してください。

参考:「監理団体の変更届出書」外国人技能実習機構 OTIT

幾度かの監査や指導を経て、少しでも監理団体への信頼が揺らぐようなことがあれば、あらためて情報を集めて選び直すのもひとつの手段です。

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まとめ

この記事では技能実習における監理団体について解説しました。
技能実習では利用する組織が多く複雑になりやすいのでそれぞれについて知ることが非常に重要です。監理団体にも優良認定による特定と一般の違いや監理団体を選ぶポイントまで解説しているので監理団体を選ぶ際はぜひ参考にしてください。






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